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【B.L.T! ~勝利への思い:4月23日】記者会見の風景~反町康治監督の場合~

090423blt今回はちょっと番外編のような感じで、記者会見の風景を。

今季の湘南は、例年よりも取材者の数が多いと思われます。チームが好位置につけているから。ということは当然あると思いますが、なによりは反町監督効果でしょう。「北京五輪の取材のときにいろんな話を聞かせてもらったんだ」とか「現役時代から見てますよ」とか、「新潟の印象はどうですか」と新潟の取材陣に囲まれてみたり(トレーニングマッチで対戦したとき)、いろんな時代を知るいろんなひとたちが集まるわけです。

顔が広い。といえばもっともなんですが、それだけでひとは集まるものではありません。おそらくは、話がおもしろい、興味深い、深い、理論的だ、なるほどと唸らされる、なんだか目が離せない、みたいな感じではないしょうか。とどのつまり、惹きつけるなにかを監督が持っているんだと思います。あると思います。発せられる言葉をテキストで読むだけでも、その理由の一端はおそらく伝わるのではないでしょうか。

とまあそんな具合で、会見にはたくさんのひとたちが集まり、それぞれに質問を投げかけます。会見というのは、取材者がそれぞれどういう視点でゲームやチームを見ていたかも質問から汲み取れるわけで、いろんなひとが集まればそれだけ質問自体にも幅が生まれるし、質疑応答もより沸騰します。

先日の岐阜戦の会見がそうでした。「J2を俯瞰してどう思うか」「守ってカウンターのサッカーになってはいないか」という趣旨の問いに対して、反町監督は、チームの方向性はもとより、サッカーの見え方や現象についてもさらっと触れています。さらにレフェリングについて水を向けられた場面もありました。というのも試合終盤、ペナルティエリアのなかで起きたように見えた相手のファウルが、エリアの外と判定されたシーンがあったからです。

反町監督はこう答えました。
「そのシーン自体は、ぼくのなかではあまり大きな問題ではないんですよ。ただ――今日は全体的に笛に力がなかったと思います。たとえばゴールキックなのかフリーキックなのかハッキリしないとか、ボールがアウトになった際にどちらのボールかすぐに示されないとか、判定にすごく間がありましたよね。そういったことはゲームをおもしろくなくしてしまう。だから、判定うんぬんではなく、自信をもってハッキリ吹いてもらうことが大事だと思います、ゲームのレベルを全体的に上げるために」

思い出されたのは、就任当初の言葉です。ふたたび現場に戻ることを決意した理由はなにか、という質問に対し、反町監督はこんなふうに語っていました。
「自分のなかで、やらなければいけないこと、まだ完結していない部分があるから。最終的には、日本のサッカーの向上のためも含めてさ」
「ゲームのレベルを上げるために」という会見の言葉がリンクします。根底にある想いが表れたくだりのように思えた、記者会見の風景でした。

TEXT BY Daigo KUMAMOTO

PROFILE
隈元 大吾 -Daigo KUMAMOTO- 1973年生まれ フリーライター
オフィシャルハンドブックをはじめ、「J’sGOAL」「MARE」等でベルマーレに関する執筆活動を展開中。
※「B.L.T」は「BELLMARE LOCK ON THE TOP」の意味

COMMENT
取材といいつつ、いつも選手たちからパワーをもらってます。そんな彼らのエナジーが少しでも伝わりますように。