馬入日記

【馬入日記:6月3日】吉濱選手がJデビュー&初ゴール!「自分らしさ」とは

日曜日の北九州戦で73分に途中出場し、Jリーグデビューを飾った吉濱遼平選手。86分にいきなりのJ初ゴールを決めました!
今年の4月、松蔭大学からの特別指定選手として登録され、トレーニングを共にしてきました。

ゴールシーンは、左サイドの宮崎選手からクロスが入り一度はGKに防がれるもこぼれを古橋選手が拾い吉濱選手へ。落ち着いて放った左足シュートがネットを揺らしました。

しかし残念ながら、それでもまだ2-3という1点のビハインドにあったため、喜ぶ間はありませんでした。
吉濱選手もいち早くボールを拾いセンターサークルに猛ダッシュで戻していました。

「ゴールシーンはよく覚えてないんですけど、泰右(宮崎選手)が持った瞬間に抜くと思ったのでゴール前にいればチャンスがあると思っていました。フルさん(古橋)からきた時にはイメージができていました。こぼれ球だったので8割9割はフルさんと泰右のゴールです。あれを外したらダメです」

「自分のゴールじゃない」とまで言う吉濱選手。
それは、自分の最大の特長であるドリブルからのゴールではなかったから。試合直後も「自分らしさをもっと出したい。次はこぼれ球じゃなくて自分でドリブルで持ち上がってゴールを決めたいです」と話していたのが印象的でした。

途中交代で出場した時に意識していたのは…
「前で出たのでやっぱりゴールです。曺さんからも“前でもって、どんどん仕掛けろ”と言われていました。前でもって仕掛けることはできたけど、その後ドリブルでもってシュートまでというシーンは出せなかった。またチャンスをもらえたら、自分らしいプレーを出したいです」と吉濱選手。

デビュー戦でしたがピッチに入った時はそんなに緊張もなかったとか。
「グラウンドでは緊張はなくて試合にもすんなり入れました。自分の初戦というよりも、負けていたから、とにかくやらなきゃという気持ちが強かったです」と。

現在大学2年生。
フロンターレの下部組織出身。小学生時代(スーパークラス)、5年生の高山選手のヒザにのって話を聞く1年生の吉濱選手の写真なども持っているそうです。「薫くん(高山選手)には可愛がってもらったんです」と吉濱選手。

またJr.ユースを指導していた曺監督にも指導を受けました「小学生のゲームにコーチたちが交ざってくれたりして、本気になるんだけど負けて、悔しくて泣いたりしてました(笑)」なんていうこともあったとか。

しかしその後は順風満帆だったわけではないのです。

昨日のデビュー戦、そしてデビュー戦でのゴールに…
「母親は泣いていました。一時、サッカーを辞めたことがあるので、その時はドン底だったし、本当に心配をかけてしまった。だから喜んでくれたことが嬉しくて。やっと恩返しができます」と吉濱選手。

高校1年でフロンターレのユースを辞め、サッカーから離れた時期がありました。
「サッカーを辞めて、でもボールを蹴りたいと思っていた時に、僕がすごく尊敬している高校の先生が“サッカーやれよ”って言ってくれたんです。大師高校のサッカー部で、いい仲間ばっかりだったんですけど、僕が入ってやっと11人揃うくらいの、もしかしたら川崎市で一番弱いんじゃないかっていうくらいのチームでした。だからプロになるなんて考えられず、大学に行く気もなかった。でも、そのチームでは、僕の持ち味であるドリブルを思い切り出せたんです。そうしたら、松蔭大が拾ってくれたんです」

大師高校、そして松蔭大学共に、プロ選手を輩出したことはありません。
松蔭大学からの特別指定選手も初めてのことです。

「去年(松蔭大1年時)、総理大臣杯の関東予選の1回戦で東海大と対戦しました。結果は4-4で最後にPKで負けたんですけど、その時に2ゴール1アシストしたんです。そういうこともきっかけで、去年は横浜FCの練習に参加したこともありました。そのあたりから、少しだけプロを意識し始めました」

自分の持ち味を出すことで掴んできたチャンス。
挫折を経験したことで、自分の中に確固たる思いがあります。

「萎縮して自分のプレーが出せないくらいなら、チャンレンジしてミスして怒られたほうがいい。バイタルだったら自分でいきたい。それが僕のスタイルだっていう意思があるので、スタイルを変えたくない。一度どん底を見てるから、僕は失うものはないというくらいの気持ちで思い切ってやりたい」

昨日の試合を経験し、改めて感じていることは…。

「やっと実感が湧いてきています。ようやくベルマーレの一員になれたかなという気持ち。でもまだまだです。これからもっとやっていかないと」

秘めたる思いは想像以上に強いものがあります。
これからのさらなる飛躍、ぜひご期待ください!