監督・選手コメント

J2リーグ第38節 東京ヴェルディvs湘南ベルマーレ 監督・選手コメント

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【監督コメント】
●反町監督 総括
雨が止んでよかったという試合でしたね。雨があのまま降っていたらつまらない試合になっていたんじゃないかと思います。雨が止んで、ほとんどボールが止まらなくなった時にお互いのよさが出たということを感じました。言い方を裏返すと、いい状況で試合をしたら6:4で相手のほうが主導権を握るのではないかなという気はしました。この天気が少しはこちらにプラスに働いたかなと思います。
セットプレーでの失点が14点と。今季はそこにちょっと物足りなさを感じています。
最後はなんとかラグビーのボールのようになって点がとれて、勝てはしませんでしたけど、ちょっと得をしたような感じがしました。
成績自体はよくなかったんですけど、今日もアウェイにもかかわらずたくさんのサポーターが後押ししてくれて感謝しております。
これでシーズンが終われば明日から海外にでも行こうかなと思ったんですけど、天皇杯がありますので、休んだのち、次の4回戦で終わりにならないように戦略を練って、ひとつやってやろうと思っています。2週間いい準備をして、ここからチームの中ではいろいろあると思いますが、みんなが同じ方向を向くように努力をしていきたいと思います。
等々力でやりますので、メディアの皆さんも今日と同じように足を運んでいただいて我々の勇姿を見ていただけたらと思います。
明日からずっとPK戦は誰蹴らせようかなということを考えて3日間過ごしたいと思います(笑)

●反町監督 質疑応答
–岐阜戦以来勝てていないが現在のチームに何が足りないのか?

最後の3分の1ですね。最後の3分の1の精度、決定力も含めたところは、やっぱりちょっと足りない。あとはDFもずっとゼロで抑えることができなかったので、しっかり責任を持ってやること。それはセットプレーのところでさっき話もしましたが、やっぱりもうひとつしっかりやらなければいけないかなと感じましたね。

–湘南の監督に就任して3年だが思い通りのチーム作りはできたか?やり遂げたこと、心残りなところは?

監督という仕事をやっている以上は、結果と背中合わせにして生活しなければいけないんですよね。この3年間を振り返ってみると、よかったのか悪かったのかっていうのを自分で判断することは正直できません。眞壁社長に判断していただくのか、サポーターに判断していただくのか、それは何とも言えません。ただ、サッカーというのは当然結果と背中合わせで、J2の場合ではJ1に昇格すれば万々歳で、そうじゃなければまったく万々歳じゃないっていったらそうじゃないんですよね。
サッカーのクラブというのは日々進歩していって、次の世代、または次につながることを考えながらやっていくことも、監督のひとつの仕事であると。
残念ながら、今まであまりクリーンじゃなかったのが、非常にクリーンになってきた。今日カードをもらわなければ、みなさん御承知か分かりませんが、(Jリーグアウォーズで)フェアプレー賞をいただいていたんですね。残念ながらこの天候になった途端に諦めましたけど、見ているお客さんにとってカードも少なくてクリーンに試合をしようと。フェアプレーですね。そういう意識は、まずできたかなと。
もうひとつは、湘南というのは元来、僕が現役の頃から名前は平塚から湘南に変わりましたけど、どちらかというと自分たちがボールを持っているのが前提であるチーム作りをしてきた。つまり、攻撃に特化したことをやってきたと。そのせいかどうかはわかりませんけども、非常に今シーズンをみても、最後のシーンというのは抜きにしても、ダイナミックに長い距離を走って、攻撃に参加するというところは、少なからず出てきた。やっぱり、観に来てくれているお客さんが、すごく積極的に攻撃に行っているとか、誰か一人に頼らずにみんなでコレクティブにやるというのは、徐々についてきた。最後の方は結果が伴わなかったんですけど、ほとんどシュートの数でも相手を上回るようにもできましたし、そこら辺はこれから、もちろん結果と内容が比例すれば一番いいんですけど、そうじゃないにしても、そうした姿勢というのは残すことができたと感じています。これは決して自己満足ではなくて、湘南のこれからに少なからずプラスになる材料ではあると思っています。

–今日、鳥栖と札幌がJ1昇格を決めたが両チームと対戦した印象は?

FC東京は、皆さんご存知のように、ちょっとケタが違いましたよね。選手のもらっている金額も桁が違うくらいですからそれは当たり前なんですけど。鳥栖は、ファーストクールで当たった時に、僕は「昇格する」と断言してしまったもので、その通りになって嬉しく思っているんですけど(笑)。
やっぱり前の方の攻撃に対する姿勢がより優れていた。札幌、徳島は最近試合をしたので、もちろん相手の試合も何試合も見ましたが、両方とも我々が一昨年に上がった時と同じように、これから厳しいでしょうね。札幌さんが上に上がったので、これから相当いろんなことをしないと、J1の舞台で生き残るのは非常に難しい状況だと思います。お互いに似ているのは、守備というか、リスクを冒してあまり攻撃にいかないチームだったと思いますね。札幌は、J2の中でもパスが一番少ない。シュート数も一番少ないチームがJ1に昇格したというのは、かつて一回もないんじゃないかなと思います。リスクを冒さない分だけ、失点も少ないですし、得点もそんなに多くないんですけど、「堅守速攻型」という意味では、前の方のタレント…内村、近藤、古田といった選手が少ないチャンスをモノにできる力があったというような評価になるでしょうね。セットプレーの失点も非常に少なかったです。草津にやられるまでほとんどやられてなかったですからね。だからチームとしてしっかりと方向性をもって最後までやり抜いたと。
今日の試合で前半2-0と聞いてちょっと驚きましたけど、最後はやっぱり、天気にまったく左右されないスタジアムで、道産子のパワーが出たんじゃないかなと。
ま、美濃部(徳島監督)はこの前会った時に、非常に苦労しているのを見て、監督業は大変なんだなと、客観的に見て思ってしまいました。それも、ある程度経験というか、チームの力かもしれないですね。イシ(札幌・石崎監督)さんは修羅場をくぐりぬけているだけに落ち着いていましたね。

–J2はなかなか連勝できず戦国時代のようだが勝点を積み重ねていくのは難しいか?

おっしゃる通りだと思います。ある程度基礎作りをしっかりやって、徐々にチーム力を強くしていくという3年計画というチームが、栃木にしても、岡山にしてもがどんどん上がってくる。あとは、営業力でどれだけお客さんを連れてきて、それを上手く強化費に繋げるようなことができていくチームがよいのではないのかと。だから、鳥栖なども逆に岸野さんがいろいろと選手を連れていったことで整理されて、上手くスカウトをして韓国からの選手などをうまく入れた。ある意味作戦勝ちだと思います。チームというのはそういうのもチーム力のひとつですから、湘南もこれからしっかりと、私もそうですが、今シーズンは多くのことを勉強したシーズンだったと思いますので、今後に生かしていければなと思います。

●川勝監督 総括
前半、雨がピッチ状態がだいぶ悪かったので、いつものサッカーじゃない、まあ雨用というか、特に相手の背後にボールを落としていくと。強いボールではなく、相手の体を背中を向けるような、そういう攻めをしながらプレーするエリアを少し前に置いて入ろうという狙いだった。
前半、先に点を取られたが逆に選手のいつもの持っている失点直後のネガティブというところを出さずに、追いついてくれた。後半は下も乾いてきたので、ボールを動かす面とか背後に出すボールも、前半より少し変えていった。ただ、ゲーム自体は今は本当にモチベーションが難しい時期なので、最後に2-1で終われれば一番よかったけれど、ちょっと今季のうちを象徴するような競ったゲームの最後の締め方とか、そういうところが最後の最後で出てしまった。ただ、選手は本当にゲームに入っていく上で非常に難しい時期であるけれどもよいモチベーションとかテンションを上げてやってくれたので、感謝しています。

●川勝監督 質疑応答

–J2で一番の得点力ながら失点も多くなかなか波に乗り切れないがそこを越えないと厳しいか?

そうですね。まんべんなく、ちゃんと点が取れていれば一番理想で、一時期集中して大量得点というのもあった。だから、やっぱり点をとって少し攻撃的になった分、失点も増えますということでは簡単に処理できないので、そこは本当に昨シーズンみたいに耐えるというか、忍耐強く1点を守りきるとか、大量点が入ってもゼロで抑えていくということを維持しながら得点力を上げないと本当はいけないと思います。
ただ、個人的に点をとるシーンというのは成長がないと取れないので、何人かの選手は成長とか意識の変化で去年苦しんだ得点という数字はだいぶ変わった。ただ、少しダウンしたDFに対しての強い意識とか統一感みたいなところは来季しっかり戻さないといけない。競ったゲームで落としたりとか、引かれる相手に苦しんだりとかカウンターを受けたりというのは、上位で最後勝ちぬくチームにはそういう脆さはないので、その辺はできるだけ修正して臨みたい。

–来年への手応えは掴んだか?

選手がどのぐらい替わるとか、うちの場合は昨季、晃誠(柴崎)を抜かれたりとか、高木兄弟を抜かれたりなどがあった。そのままメンバーを維持してさらに強化ということは、今はなかなか難しいので、その辺は自信というか、ある程度「こういう形がうちのチームの点を取る上での形」というのがだいぶ選手も含めて整理できたと思う。今からは選手が来季へ向けて、どのぐらい残ってどのぐらい替わるかということを考えながらやっていきたいと思います。

–昇格した札幌と鳥栖はどんなチームか?

鳥栖はいいチームだと思います。バランスがよく取れている。ゲームに対しても謙虚というか、全員がサボっていないというか。特別にこれがすごいというよりも、全体的にやっていて圧迫感を感じます。札幌は、アウェイで2-4で負けた印象が強い。うちとしては勝たなければならない内容だったし、結局は紙一重の部分がさっき言った、DF力だったり全員が同じ意識を持っているかだったり。そこをもっと強く持って準備したりプレーしたりしないとという。差は感じなかったけど、逆にそれで悔しいですね。

–失点が増えた原因は何か?

セットプレーで失点しているのは、去年のほうが多いんですよね。ただ今年はセットプレーでの失点が少ないのに、セットプレーでの失点がものすごく多いインパクトが残ったり、完全に崩されての失点は全体の10%ぐらいしかないんですよ、本当は。ほとんど自滅というか、自分たちのミスだったり、パスミスなどのイージーミス、もしくはいつも練習でやっているカウンターのDFの準備のところなんですよね。だから、崩されたとか、振り回されてどうしようもない失点というのは、検証すると本当に少ないんです。
昨シーズンはそういところを得点力が本当に低いから、もの凄く全員が意識して、カウンターの準備とか、競るようなゲームの時のセットプレーの失点とか、昨シーズンは平均身長が一番低かったけど、大事な試合でのセットプレーでの失点というのが全くなかったんですよね。今季はそういうので追いつかれたり、負けてはいないけど勝ちゲームを勝点1にしたというのが相当あったので、得点力が上がって点差が開いた分、隙というか油断が出た。もしくは同点で耐える時に、去年なかったようなちょっとしたミスがあった。何かのミスやカウンターが点になりやすい競技だけど、昨季はそれを最小限に抑えていたので、得点力が上がっても、そこは本当にもっとシビアに意識してやらないと。それをやれば、半分近くの失点は減らせるはずだから、そこは全員分かっていると思うので、そこも修正したい。

 
【選手コメント】
●アジエル
6年間プレーしたベルマーレでの最後の試合ということで、ユニホームに袖を通した時にはやっぱりすごく気持ちが入りました。
スタートから入らなかったのですが、逆にベンチからじっくり見ることができました。雨が強く、ピッチも重たかったので、前半はかなり難しい試合になりました。後半はピッチがかなり乾いてきたので自分の特徴が活かせるかなと思っていました。負けている状況で入ったので、なんとか逆転したかったのですが…。でも最後にルーカスが決めてくれたので良かったです。
サポーターには本当にありがとうと言いたいです。感謝の言葉しかないです。ピッチに入る時に自分の名前をコールしてくれたり、ゴールの後のみんなの声は忘れられません。
ベルマーレでの出来事は全て僕の心に刻まれています。だから、皆さんも僕のことを忘れないでください。
皆さんと過ごした6年間、本当に幸せでした。本当にありがとうございました。

●田原豊
(ゴールは)狙い通りだった。大介(菊池)がイメージ通りのいいボールを入れてくれたしタイミング的もよかったと思います。
前半のピッチコンディションはかなり難しかった。
全体的に悪くなかったと思うけど、やっぱりちょっとした隙でやられてしまっている。
セカンドボールの予測という部分でも課題を感じた。航(遠藤)がクリアしたボールが相手ボールになることが多かったと思う。
ちょっとした隙でやられてしまうのが今シーズンの反省点だったと思う。どのチームもちょっとした隙でやられてしまうものだけど、上位にいくチームはその隙を作らないし逆に相手の隙を狙っている。
個人としては序盤ケガなどで出遅れてしまったのが反省点です。

●高山薫
最初はグラウンドがよくなかったので難しかったのですが、豊さん(田原)の競ったボールを狙っていたのでシュートまでいくことができました。自分自身は後半も含めチャンスがあったと思う。そこを決めていたらという悔しさがあります。それから、クロスはピッチが悪くても関係ないと思っていたのでそこは意識していました。
今日はいいプレー見せようという以上に、球際で負けないとかそういったところを意識していました。途中、相手に流れがいったんですけど最後に盛り返すことができた。
(ルーカスの得点に繋がったパスは?)最初は竜太くん(佐々木)を狙ったんですけど、竜太くんがずれて健太郎さん(大井)に当たって最後にルーカスが決めてくれました。
(今季を振り返って)上出来とは思わないですけど、一番最初を思い返せばまさかこんなに試合に絡めるとは思っていなかったので正直自分でも驚いています。シーズンを戦っていく中で目標が上がっていきました。できるなら二桁得点をとりたかった。
(天皇杯はユースまで在籍した川崎との対戦ですが?)めちゃくちゃ楽しみです。等々力でサポーターがいる中でプレーすることは小さいころからの夢でした。鳥肌が立つくらい嬉しいです。

●坂本紘司
同点にされてそのまま沈んでしまうことも多かったんですけど、みんなで鼓舞して何とかしようという気持ちは最後まで持ち続けていました。
味方に声をかけるという仕事をずっと続けていかなければいけないと今日改めて感じました。
ゴールを決めた選手も素晴らしかったんですけど、見えないところで健太郎(大井)とか後ろからずっと途切れることなく声を出していた。逆転された時も落ちることなく、本当に目に見えるところではないけど、根気強くやり続けることがチームのためになるという、ひとつ学びがありました。
本当に勝ちたかったですけど、チームにとって価値のあるゲームにしていかなければいけないなと感じています。
(監督が会見でフェアプレーについて話していたが?)ファールして止めるということには、ある意味未来がないと思いますし、ファールせずにいかにボールを奪うかということは監督から学んだことです。数年前までは田村を筆頭に(笑)、非常に警告の多いチームだったんですけど、ファールせずに粘り強く守備をするということは監督の指導が浸透して身になってきていると思います。それが湘南のスタイルとして引き続き、学んだことを続けていきたいと思います。
クリーンな中でファイトするという湘南のスタイルを浸透させてくれた監督に感謝していますし、来年にも繋いでいかなければいけないと思っています。
(今季のJ2リーグについて)レベルが上がっていると思いますし、年々上にいくのは難しくなってきていると思います。しっかり理念をもって継続的にチームづくりをしているチームが今年も上にいきましたし、僕たちも学ばなければいけないと思います。もちろん新しい力が必要ですが、監督や選手が代わっても湘南のスタイルを押し出してやっていく根気強さが必要なリーグだと感じました。
ヴェルディもそうですけど、リーグの前半で結果が出なくても継続してやってきて順位を上げてきたチームがあるように、負けがこんできた時に揺らがずに、一喜一憂せずにシーズンを通してやり続けるということの大切さを感じました。
充分に上にいけるポテンシャルがあるということは終盤に見せられたと思うので、しっかり勝点をとれる強さを身につけてまた戦っていきたいと思います。

●ルーカス
今年のリーグのラストゲームということで、本当は勝ちたかったですが、負けて終わるのと同点で終わるのは全然違うと思うので、ピッチに入った時にはなんとかゴールを決めたいと思っていました。
センターフォワードとして、ポジションをどこにとっておくかということを考えていて、ああいう場所にいて決められたのでよかった。健太郎(大井)がスライディングしてくれたから自分のところにこぼれてきた。
6年間、ベルマーレに貢献してきた選手だし、アジエルを気持ちよく送り出すためにもゴールを決めたかったのでゴールが生まれてよかったと思います。
若い選手で海外から来ている1年目はなかなか試合に出場しない選手が多い中、自分は出れてこうやって点もとれて、すごくうれしいです。勝敗はもちろん大事だけど、自分にとっては試合に出られてチームの一員になれているということがひとつの勝利だと思っています。すごく大切な一年でした。