ボイス
【ボイス:2022年5月19日】舘幸希選手
プレーも信頼度もレベルアップして。プロ3年目は頼られる存在を目指す
自分のことだけで精一杯だったシーズンを過ごして、
プロ3年目を迎えた舘幸希選手。
ここからの成長に、プロとしての未来がかかる。
今回は、これまでのサッカー人生を振り返り、
今後の自分に必要だと考える成長の方向性を明かす。
プロ3年目のシーズン
「1年目、2年目はがむしゃらに、ただただついていく感じだったんですけど、3年目になって後輩もすごく増えたし、中堅くらいの立ち位置になってきたと思います。自分では、今後はチームを引っ張っていく立場だと思っているので、今は、そこまで満足に試合に出られている状況ではないですけど、自分の気持ちの上げ下げだったり、波だったりに左右されずに、いつも通りにやっていきたい。1年目2年目のようながむしゃらさを出しながら、まだまだ若いということもあってチャレンジもしつつ、腐らず闘争心も忘れずに、いかに中心になっていくかっていうことを日々考えています」
競争の中で勝ち取る必要があるものを踏まえつつ、チームの一員として支える役割も担う。人として一回り成長することを自分自身の課題としている。
「1年目は、試合に出られるとは思ってなかったですけど、使ってもらって十何試合か経験させてもらいました。2年目は、それよりも多く試合に出させてもらって、残留のかかる重要な一戦、最終戦も経験した。で、3年目の今年は定着していくというイメージがあったんですけど、そこはなかなか…、競争もありますし、難しい部分ではあるんですけど」
今シーズンは、開幕から序盤はリーグ戦のメンバーに名を連ねていたものの、今はルヴァン杯に重きを置いた起用となっている。1年目、2年目と順調にステップアップしてきた印象のある舘選手としては、やはりリーグ戦で主力を担いたい思いが強い。それでもここで気持ちを下げることは自分にとっても、チームにとってもマイナスであることを理解している。自分自身に課した課題を見つめながら、選手としての自分の強みを信じて練習に、試合に挑む日々を送っている。
「自分自身のストロングの部分は、そこは絶対に負けないという自信を持ってます。チームの中で僕が一番だと思ってやってますし、自分の良さを出せるように、そこは絶対に見失わずにやろうと思ってます」
舘選手の強みといえば対人の強さ。
「守備の1対1、デュエルのところは絶対に負けないという思いがあります。相手のストライカーと呼ばれる選手たちは屈強で身長も高くて足も速いというところはあるんですけど、地上戦では絶対に負けない自信はあります」
身長173cmは、ディフェンダーとしては小柄なほうだ。「地上戦では」と限定しているところが気になるが、そこはトップリーグで3シーズン目を迎えた経験からの言葉だった。
「高校、大学までは僕も空中戦でそれほど負けなかったし、自信もあったんですけど、J1だと難しい部分がある。だから準備の段階から早くというのはずっとやってきたことだけど、ポジショニングで優位性を保つということをプロになってより突き詰めてやってます。身長が低いディフェンダーとしては、ポジショニングで勝負することが大事ですから。1年目、2年目、3年目と積み上げてきているし、そこは継続してやっています」
空中戦に持ち込まれないポジショニングは、小柄なディフェンダーがプロとして生き残るための知恵。そして今、山口監督からはさらなるプラスアルファが求められる。
「声を出して味方を動かすというところ。智さん(山口監督)は、そういうところをすごく求めている。未然に防ぐということを言われるし、例えボールが来なかったとしてもそこのポジショニングについてすごく細かく修正するアドバイスをもらいます。自分自身も『今、ボールが来てたらどうなっていたかな?」というのは、練習中もそうですし、試合中でも常に考えながらプレーするようにしています」
山口監督からかけられる言葉を、すべてプレーに活かし、自分の強みに磨きをかけたいと考えている。だからこそ、全体ミーティングなどでチームに向けて発せられる言葉についても自分個人に当てはめて考え、より理解を深めようと努めている。
「ミーティングで試合の映像を見ながら、『このシーンだったらポジショニングはこうだよね』という話をチーム全体にしてくれるんですけど、僕自身、それを噛み砕いて咀嚼して、『自分のスピードがあったらもうちょっと内側のポジションでも対応できるし、ボールが違うところに入ったらインターセプトに行ける』とかをイメージする。智さんは、そういうことも考えながら練習でアドバイスをしてくれていると思うので」
ポジショニングに対する意識が高い舘選手は、カバーリングも得意とするところ。そのせいか最近は、任されるポジションにも変化がある。以前は、3バックの右を担うことが多かったが、ここ数試合は、3バックの中央が主戦場となっている。
「真ん中だとカバーリングはより必要な部分ですし、攻撃面ではより全体を俯瞰して見て、どっちにボールを持っていくかだったり、真ん中につけるタイミングだったり、どうやって相手を動かすかだったりというのは、楽しみというか、おもしろみのあるところ。右だとストッパーとして、相手をどんどん潰していって自分が前に出て攻撃参加するという特徴があって、違ったおもしろさがある。ディフェンスとしてやることは変わらないですけど、プレースタイル的には真ん中が向いているのかなと思います」
特に攻撃面で自分の強みを出せるのは、このポジションならでは。
「選択肢が増えるので、その中で選んでいくという作業はおもしろみがあるなと思いました。どっちに行くかもそうですし、僕だったら真ん中に楔をズドーンと入れたりっていうのが自分の強みとして出せるところ。左右のセンターバックはコースも限定されますし、プレッシャーのかかりどころでもあるので。でも、監督は身長などの組み合わせも考えてると思うし、その中でどういう選択になるかだと思うので、真ん中でも右でもどっちでも試合に出られれば、と思っています」
ポジションの希望よりも試合出場が優先。昨シーズンから多くの選手が残ったチームは、どのポジションも競争が激しくなっている。そこで山口監督が重視するのは、昨年の実績より、日々の切磋琢磨だ。
「本来ディフェンスラインは、固定してやっていくところだと思いますから、一度固定されるとなかなか難しいところはある。でも、自分の良さを出せれば絶対にチャンスは回ってくると思っています。ルヴァンカップでも結果を残せばチャンスは来るし、リーグ戦も、残り10分15分で使われたとしても、ゼロで抑えて帰ってくれば全然違うと思うし。智さんは、練習をすごく大事にしているので、そこでのパフォーマンスもそうですし。積み重ねです。使う使わないも、どこで使うかも監督が決めること。だから僕は、準備をして待つだけ。…もう、待つじゃなく、つかみ取りにいくっていう感じです」
試合出場に飢える思いはあっても、むしろその気持ちを糧にして。今は、どんなチャンスも活かせるように、日々の切磋琢磨を怠らずに過ごしている。