ボイス

【ボイス:2020年4月18日】鈴木冬一選手

今年の目標は、二桁アシスト。
今は、早く試合をしたい気持ちでいっぱい!

毎年、新しく迎える選手のなかには、
高校や大学を卒業し、初めてプロのステージに立つ選手がいる。
彼らがいつ、どんなふうにチャンスを掴んで初舞台に立つのか、
その後の未来を切り拓いていくのか、
はじめの一歩からその成長を記憶に刻むのは、
チームを見守るなかでの大きな楽しみのひとつでもある。
昨年、そんな喜びを味わわせてくれたのが鈴木冬一選手。
今季の活躍にも期待がかかる。

現在、前代未聞の出来事によってリーグは中断している。
とはいえ、選手は、いつでも気持ちはスタンバイOK。
試合が待ち遠しくて仕方がない鈴木選手に、
去年の振り返りと、今年にかける思いを聞いた。

ルーキーイヤーは50点
もっと結果にこだわりたい
 サッカーは、チームスポーツだけれど、チームを構成する選手個々の個性が際立つ競技でもある。試合では、選手一人ひとりのボールを扱う技術にはじまり、サッカーに対する姿勢や試合に臨む態度までもが見えてくる。鈴木冬一選手は、こうしたいくつもの点で注目を集める選手の一人。技術の高さ、その技術を駆使したボールに関わるプレー、そして試合を楽しんでいることが客席にも伝わる姿勢。何よりも、これらをルーキーイヤーに示したことが、ここまで注目を集めた理由を物語っている。
 そうはいっても振り返れば、記憶のなかには積み重ねた時間がある。

「はじめの2〜3ヶ月は慣れるのに必死で、自分のプレーができなくて結構ストレスがありました」

 プロになって初めて迎えた2019シーズンは、リーグ開幕戦、第2節ともに出番がなかったものの、公式戦3試合目となった3月6日に開催されたYBCルヴァン杯グループリーグ第1節vsV・ファーレン長崎との試合で公式戦デビューを飾り、フル出場を果たす。さらに3日後に行われたリーグ戦第3節vs鹿島アントラーズ戦にも途中出場。あっという間に、リーグ戦でもデビューを果たすこととなった。

「だんだんスピード感とかも慣れて、そうしたら自分のプレーもできるし、楽しさっていうのがどんどん増していった。もちろん厳しい世界ですけど、そのなかで自分が成長していくのが楽しくて、やりがいのある仕事だなって思いました」

 結果も早々に出している。3月13日に開催されたルヴァン杯GL第2節横浜F・マリノス戦で、先制点となった指宿洋史選手のゴールをアシストした。本人としては、まだまだ「ストレスを感じていた」時期であり、本来のプレーとはいえなかったのかもしれないが、それでも試合を重ねるごとに、チームのなかでの存在感を増していき、リーグ戦も中盤を迎えた頃には相手選手と堂々と渡り合う姿があった。
 その昨シーズンを振り返って、鈴木選手本人がつけた点数は、「50点」。

「1年目っていうことを考えたときに、試合も半分くらい出させてもらいましたし、いい経験も、自分のなかで良くないこともありましたけど、それらを踏まえて結果良かったと思うんです。でも出来としてはまだまだ50%。2年目からはもう新人じゃないんで、判断基準も変わります。新人と考えると、50点くらいじゃないですかね」

 1年を通してコンスタントに試合に出場し、試合ごとに成長する姿をピッチから観せた。

「始めの頃は楽しさっていうより必死さが強かったですけど、試合に出るうちに、どんどんどんどん楽しめるようになってきたので、それも一つ、成長かなと思います」

 自己分析も冷静。10代らしからぬ度胸の良さも成長を加速させるエネルギーとなっている。

「緊張とか、特にしないんです。自分の信念というのを強く持っているので、焦ったりもしないし。自分の信念を貫き通すという気持ちで普段からいます。そこは、人に合わせる必要もないし、自分の進みたい方向へ進んでいくっていうだけです」

 成長の先に見据えるのは、やはり世界のサッカーシーン。とはいえ、焦ることはない。

「何年かかるかはわからないですけど、僕は、Jリーグでしっかり結果を残してから海外へ行きたいと思っています。でも、今年からは特に結果を出すことを意識していきたいと考えてますし、早く行けるのであれば、という気持ちもあります」

 サイドアタッカーとしてのタスクを担うことが多かった鈴木選手にとっての結果とは、やはり得点に絡むこと。

「ポジション柄、アシストもゴールも取らないといけない」

 高校生からプロへ。立場を変えて感じた戸惑いを差し引いて、ルーキーイヤーの自己評価は50点。2年目ともなれば、そうした戸惑いはなくなる。そうなれば当然、評価のハードルは上がる。自己評価ならなおさらだ。だからこそ2020シーズンは、昨年以上にゴールに直結する仕事を意識してプレーすることを考えている。

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