ボイス

【ボイス:2018年5月31日】大野 和成選手

個の成長こそがチームの力に!
サッカーと向き合うよろこびを日々実感

曺貴裁監督が指揮を執って7度目のシーズンは、
クラブとしてJ1に住み続けるために挑む4度目のシーズンでもある。
この挑戦に臨むのが、新加入を含めた34人の選手たち。
彼らの成長こそが欲しい未来を引き寄せる。
2度目の新加入となった大野和成選手もまた
自らの成長をチームの力へと願う選手の一人。
チームメイトと競いながら、支え合いながら
今はまだ見えないゴールを目指す。
今シーズンもまた、切磋琢磨の日々が始まった。

取り戻した自分らしさ
チームメイトに感謝
 6月に開催されるワールドカップに向けて、いつものシーズンよりも早い2月下旬に開幕したJ1リーグ。約3ヶ月弱の期間でリーグ戦15試合、YBCルヴァンカップグループステージ6試合の計21試合を戦い抜き、中断期間を迎えた。なかでも3月の最終週から続いたリーグ戦とカップ戦の試合が中3日、中2日で組まれた15連戦は、チーム一丸とならなければ乗り越えられない厳しい日程となっていた。こうした戦いのなかで選手たちは、それぞれが課題や気づきと日々向き合っている。リーグ開幕戦にはスターティングイレブンに名を連ねた大野和成選手も、濃密な3ヶ月の間にサッカーに対する自身の姿勢やスタメン争いの厳しさを味わうことになった。

「正直、途中からちょっと心と身体がバラバラ気味のところがあった。行くべきところ、行かないところに迷いが出て、なかなか自分の思うようなプレー、自分の良さを出すことができなかった。調子が良いときは、何も考えずに行くべきときにいけるから。だから、出られないのは納得といえば、納得している部分があります」

 キャンプインから開幕までは順調に過ごしてきた。開幕戦からスタメンも勝ち取り、その後の数試合も納得がいくものだった。勝敗は黒星先行だったが、内容的には前向きに捉えられる状況で、チームとしては悪くない滑り出しだったといえる。ところが、大野選手自身が振り返るのは、試合を重ねていくにつれて自覚する自分自身の迷い。そして、その迷いが原因となって思った通りのプレーができないもどかしさだった。そうした状況を曺貴裁監督が見逃すはずもなく、結果、第8節サンフレッチェ広島戦ではサブに回り、第9節横浜F・マリノス戦の出場を果たすもこの試合を最後に、リーグ戦からは一旦離れることとなった。

「気負いすぎたっていうか。やらなきゃいけないっていう気持ちが先走って、なんか空回りしていたってすごく思う。チームに対する責任とかを考えすぎていたし。だから自分を見つめるのに良い機会かなと思いました」

 今シーズンから完全移籍で加入した大野選手。その決断は、簡単なものではなかった。そうした思いが自分自身への重圧となっていたのかもしれない。

「今、大事なのはこのチームでしっかり成長すること。初心に返って、心と身体をしっかり戻すこと、自分を正してやっていくべきだなと思う。結局は、自分の良さを出すことがチームの勝利に繋がるし、自分のプレーをすることがこのチームへの責任を果たすことに繋がると、改めて思った」

 リーグ戦に絡めないまま自分を見つめ直すなかで得たチャンスは、ルヴァンカップグループステージ第5節アウェイで戦ったヴィッセル神戸戦。特にこの試合は、3日前のJ1リーグ第13節ベガルタ仙台戦で前半のみで交代となった雪辱も兼ねた試合だった。

「ルヴァンカップに出る選手は、リーグ戦ではなかなか試合に絡めてないメンバーが多いんですけど、ひたむきにボールを追うとか、チームのために走るとか、そういうのをすごく感じる。きついですけど楽しいし、すごく一体感がある。そのなかで自分も一選手として自分を出そうと考えたらすごく良い試合ができた。やっぱこれだなって思った。僕が気負いすぎても良くないんだなと思いました」

 週末にリーグ戦、ミッドウィークにルヴァンカップが組まれた15連戦の終盤、リーグ戦は連敗を喫するなか、ルヴァンカップではフレッシュなメンバーがベルマーレらしくアグレッシブに戦い、チーム全体を刺激するような試合を観せた。その試合に出ていたのは、現段階ではリーグ戦ではバックアップメンバーに廻ることが多い選手たち。グループリーグ突破へ負けられないという重要性もあったが、リーグ戦出場への足がかりとしたい選手も多かっただろう。

「みんなで守って、みんなで攻めて。久しぶりにやりきった感があった、チームとしても個人としても」

 会心の試合後は、リーグ戦第14節で久しぶりにベンチ入りし、再びミッドウィークのルヴァンカップV・ファーレン長崎戦に出場。グループステージ突破に貢献した。こうした積み重ねが中断期間前最後のリーグ戦、第15節ジュビロ磐田戦でのスタメンを引き寄せた。

「リーグ戦でメンバーが代わっても、一体感を持ってやらないといけないと感じた。一人ひとりが迷うとバラバラになって攻撃も守備もチームとしてやるべきことができなくなるから。だからこそまとまることの大事さを感じている。自分はやっぱり連動して守備をするために指示を出して周りを動かさないといけない。こういったことはすべてルヴァンカップで感じたこと。僕は本当にルヴァンカップに出ていたみんなに感謝している」

 磐田戦は、ルヴァンカップ長崎戦から中2日という過密日程だったが、大野選手以外にも端戸仁選手や齊藤未月選手が2試合連戦でスタメンに名を連ねた。

「ルヴァンに出たメンバー同士で頑張ろうぜって言っていたし、リーグ戦に出ているメンバーにいい影響も与えられていたと思うんで、仁も未月も連戦だったけど、僕も含めて3人できっかけを掴んでこの試合に臨めたのはすごく良かったと思う」

 この3選手の出場は、ベルマーレのポジション争いの激しさを端的に表す起用でもあった。とはいえ、大野選手にとってはここからが再スタートでもある。

「ルヴァンカップのおかげで、シンプルにゼロから、しっかり湘南で成長しようと切り替えたからまた自分らしくできるようになった。そういう意味では道筋というか、これからやるべきことが見えてきている。シンプルにがむしゃらに泥臭くプレーしようとか。いろいろ思っていたことはなしにして、がむしゃらにこの試合を楽しむとか。湘南に染まる、じゃないですけど、染まらないとこのチームはやっていけない、だから湘南らしくがむしゃらにやろうと。あとはそれを続けていくしかない」

 まず狙うのは、ルヴァンカッププレーオフステージでのスターティングイレブン。大野選手らしい攻守にアグレッシブなプレーを期待したい。

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