【馬入日記：12月22日】猪狩選手、福島へ期限付き移籍。「湘南で培ってきたものを出し切る」

先日、発表がありましたが猪狩選手が福島ユナイテッドFCへ期限付き移籍することとなりました。
猪狩選手の他にも、村岡選手、河野選手、田村選手の期限付き移籍が決まっています。

猪狩選手は今年のチームでは一番の古株。
ユース出身であり、さらには平塚出身ということもあり、一度クラブを離れるということは大きな決断です。
チームにとっても、サッカーにとことん真面目で、明るさ満点の猪狩選手が来季のチームに不在というのはとても寂しいものです。
猪狩選手にいまの心境などを聞きました。

「今は、寂しい気持ちと頑張って結果出してやろうという気持ちの両方があります。話をもらって最初の頃はかなり悩みました。湘南を離れるのかという想いもあったけど、行くと気持ちを決めたら、しっかり福島で何かしらを残したいという気持ちが強くなっていきました。今はその気持ちを大事にしたいと思っています」

“何かしらを残したい”という想いを本当に強く抱いています。

「福島は震災もあって、やはりまだまだ大変なところもあると思う。今回福島でやらせてもらえるというのも何かの縁だと思うし、感謝してサッカーに取り組まなければいけないと思っています。自分も小さい時に、地元でベルマーレの試合を観て夢を持ったように、例えば小さい子がサッカーを見てカッコいいなとか、大人の方でも面白いなとか、そういう気持ちになってもらえたら嬉しいです。本当に自分の力を出し切って、一生懸命やりたいという気持ちでいっぱいです」と。

ベルマーレで過ごす中で一番印象深いことは何かと聞きました。

「自分の中での宝物の記憶は、やっぱり2009年のゴールを決めた時です。1点だけだけど、まさか本当に自分がここで決めるとはという想いで。“平塚競技場で決めたい”とずっと思っていたけど、本当に決められたというあのシーンが一番かな。今でも鮮明に覚えてます」

忘れもしない2009年の札幌戦。
2-2で迎えた終盤、81分に決めた劇的なゴール。猪狩選手のあの1点は、チームにとっても本当に大きな1点でした。ベンチから選手もスタッフもみんなが飛び出し、スタンドが総立ちになりました。
猪狩選手の「宝物の記憶」は本人のみならず、記録にも記憶にも残るゴールでした。

そして、大きなケガをし長いリハビリを懸命に乗り越えた経験も。

「プロに入ってから、順調だったかというと全くそうではなかったし、大変なことのほうが多かったと思う。でもそういう試練があったからこそ、試合に少しでも出られたら、本当に嬉しいし楽しいし…、この瞬間のためにサッカーまた頑張ろうって思えた。厳しい中でも自分がブレないでやり続けるということを学べたと思います」

決していい時ばかりではなかった中で、それでもとにかく前向きにやり続けてきました。

「いい時は、何もかもがよく動くと思うけど、悪い時に何ができるか。なんとかいい方向にもっていきたいと思ってやり続けるのは楽なことではないけど、ベルマーレでそういうことをたくさん学べたということが大事な経験だったと思っています」

共に戦ってきた仲間については。

「自分がいた7年間、毎年毎年すごくいいチームになるなと思っていました。他のチームのことはよく分からないけど、本当にチーム力や結束がすごい。今年でいうと、年齢が近い選手が多かった中で、フルさん（古橋選手）や東美さん（下村選手）といったベテランの選手が本当にチームを支えてくれていたし、前ちゃん（前田選手）など若い選手もしっかりついてきてやっていたし、この一年は特に、上から下まで、みんなが同じ方向に向かっているチームだったと思います。みんな仲がよかったけど、サッカーになればしっかり切り替えてやっていた。普段の生活をグラウンドに持ち込んでしまってはおかしなことになるので、そういうことはすごく大事なことだと思うんですけど、メリハリをつけてできるチームだったなと思います」

そして、高校時代からお世話になってきた曺監督については。

「最初は、プロの監督になって違う感じになっちゃうのかなって思ったけど、曺さんは変わらずに曺さんのスタイル貫いていて、チームも個人も成長させてくれて、本当に感謝しています。それは人柄含めて、曺さんにしかできないチームづくりだと思うし、高校の時から含めて、毎年いいチームになると感じていたので、さすが曺さんだなと思います」と。

福島では、どんなプレーを見せたいと思っているでしょうか。

「湘南でずっと培ってきた前へいく姿勢やゴールに向かうところ。クロス、フィニッシュで終わるというところは前面に出していきたいと思います。何より気持ちのこもったプレーをピッチで発揮したいと思います」

最後に、サポーターの皆さんにメッセージを。

「もう一度、福島で自分と向き合って、一生懸命戦ってきます。福島でたくさんの人に元気を届けられるように、湘南で培ってきたものを、来年一年、しっかり出し切ってきたいと思います。福島とベルマーレは強く繋がっているチームなので、ぜひ試合を観にきてもらえたら嬉しいです」

強い覚悟を抱いて、来季を迎えます。
ぜひ引き続き、猪狩選手への熱いご声援をよろしくお願いします！