監督・選手コメント
J1第33節 広島vs湘南 試合後監督・選手コメント
【監督コメント】
●曺監督 総括
お疲れ様でした。
いま広島さんはホーム最終戦のセレモニーをされていますが、まず今日マリノスさんが負けて広島さんが最後に優勝できるかもしれないと森保と話して聞いたので、それも含めて広島さんの長年の努力が、素晴らしい結果を出されていることに敬意を表したいと思いますし、どっちが頑張ってくれとはなかなか言えないですが、広島さんはすごくいいチームだと思うので、また頑張っていただきたいと思います。
今日の試合は、J2というステージが決まったあとの2試合ということで、去年は最終節まで昇格の可能性がある、今年は2試合を残して可能性がない中での試合だったので、少し週の入りは重いな、と。僕自身も本当に切り替えられたかなというところで難しいところもあったんですけど、今日のゲームは多少前半システムを変えたり、やり方を変えたりして少し広島用に、という話もしながら臨みました。90分プラスアディショナルタイムをいま振り返ると、広島さんのストロングを抑えながら、よく戦ってくれたかなと思います。
ただ、いま選手たちにも話してきたんですけど、広島さんの選手の ボールを扱う技術、判断、やっていいプレーいけないプレーの質は、残念ながらまだ我々のチームのほうが劣っていると思います。ただそれは、広島さんも今年初めてやったわけではなくて、クラブとして長い時間、それこそ平均年齢をみると28歳で、われわれはまだ23歳くらいで、あと3年、4年、5年どのように積み上げていくかが、このクラブ、チームの価値に繋がっていくので、いい見本にしながらやっていかなければいけないと思います。
ただこの一年、去年もそうなんですけど、選手たちはスタイルを貫きながら、頑張ってくれていると思うので、最終節の大宮戦に向けて続けていくだけです。
●曺監督 質疑応答
–優勝争いをしている広島に対し、前半戦との比較でできたところ、できなかったところとは?
私も選手もそうですけど、前半の浦和と広島の試合が、何もさせてもらえなかったなという印象がある中で、今回も広島さんのボールを簡単にロストしないところやサポートは、非常にレベルが高いなという印象はまったく変わっていません。
ただ、我々も当時より、ボールを持つ時間が長くなっている。ボールを持つ時間がが長くなってくるということは、失った後に守備をする時間ができるということで。そういう意味で、少しサッカーができるようになってきたと思う。その中で、縦のアタックをどれだけ仕掛けられるかということだったんですけど、いいところまで行って崩し切ったところで、最後のところで踏ん張られてしまった。あのあたりの精度や、最後は必ずシュートで終わるという部分で言えば、まだまだ課題は多いと思います。
でも前半戦と比較すれば、攻撃をする時間が長くなって、後ろと前の呼吸が合わせられるようになったことは成長だと思う。前半戦は前の3人に自由にボールを持たれて、シュートまで、という場面がたくさんあった。今日はそこで何とか堪えることもできた。危ない場面も身体を張ってくれたと思います。ゼロで抑えられればよかったんですけど。まだ力が足りないということだと思います。
–中川選手に期待したことと評価は。
彼はおそらく、Jリーグのの中で最も身長が低い選手だと思うのですが、厳しい言い方をすると、今日の出来は良くなかったです。彼のためにえてこの場で言わせてもらえば、身長が低い選手であるが故の良さってあると思うんですけど、簡単にボールをロストする場面もあるし、相手に対してチャレンジ心が少しずつ薄れてきたように見えた。一発でターンするプレーも、前にボールを出すプレーも少なかった。一般的には、19歳の1年目の選手があれだけできればよしとするのかもしれないけれど、僕は、彼は次のステップに入っていると思っているので、今日の出来は物足りないです。
ただ、それを学べたということはマイナスではないと思っています。ボールを扱えるし、ボールと共に動くスピード感もある。サッカー選手に必要なスキルやアイディアを非常に持っていると思います。そういうことを、J1のピッチで発揮できるようになってほしい。期待が大きいだけに、もう少しやってもらいたかったなというのはあります。ただそれは成長の過程の話なので、そのことがイコールマイナスということではありません。
–クラブから来季続投要請が出されていると思うがその答えは。
言いづらいですけど…。神奈川に4クラブ存在するという立ち位置やクラブの歴史も含めて、間違いなく言えるのは、足を止めて選手を悪い意味で入れ替えるようなチームづくりをしてしまうと、先はないと思っているので、そういう意味で自分がここまでやってきたことが正しかったかどうかは、自分では分からないところで、周りから言っていただけるのは有難いのですが…。
最終節が終わった時に、自分の気持ちがどうなっているか。まだ、シーズンは終わっていないので。湘南の監督として、来季以降、自分がどういうことができるのか、自分の中で整理できていないと。人に背中を押してもらってやる、そういう責任では済まないと思っています。最終節が終わった後、そういうことを話したいと思っています。
●森保監督 総括
この試合は我々が優勝に望みをつなぐためには、勝利しかないという状況だった。勝利だけを目指して闘ったて勝利できたことはよかったと思います。
もちろん、優勝に向けては他会場の結果次第だとはわかっていましたが、プレッシャーの中で選手はハードワークしてアグレッシブにプレーしてくれた。ホームで1年間、応援してくれたサポーターの皆さんに勝利を届けられてサポートへの感謝の気持ちが表せてよかったと思います。
●森保監督 質疑応答
–横浜FMや浦和の結果や途中経過は、ご存知だったか?
後半終了間際に知らされた。僕自身はそういう経過などの情報を入れず、自分たちの勝利だけを目指して戦おうと思ったので。優勝に向けてはもちろん、サポーターに勝利をお届けしたいという気持ちだけでした。
–次の鹿島との決戦に向けて。
我々が勝てば必ず優勝できる。そう信じて戦うことが大切だし、そこに向けて準備していきたい。
–現役引退を表明した中島浩司選手について。
ナカジとは選手時代にも仙台でプレーしていますし、今は選手と監督というお互いの立場で仕事をしています。彼は本当に変わらないヤツだと思う。いつも、どんな時も飄々としているし、努力も怠らない。彼がいたからこそ、去年の重圧下でも優勝できた。今年も、彼自身はあまり出場機会もなかったが、常にチームのことを考えてプレーしてくれているし、トレーニングの時もチームがいい方向に行くように準備してくれていた。試合に絡めない選手に対しても、いつもケアしてくれていたし、彼らが前を向けているのもナカジのサポートがあればこそ。
何より、彼はいつもチャレンジ精神をもって、やってくれている。ミスが起きると、そこから積極的になれないものだけど、ナカジはミスした後も、ボールにしっかりと絡むようなプレーを実践してくれる。若手の手本だし、チームにも勇気をもたらしてくれた。今の広島サッカーにとって、大きな影響を及ぼしてくれたし、彼が伝えてくれたチャレンジ精神もしっかりと受け継いでいく必要があると思います。
【選手コメント】
●高山薫
ボールを持ったら相手はうまかったし、前半はなかなか自分たちのサッカーができなかった。後半はよさを出せるシーンもあった。ボールをとられてしまう時は、1回選択してやめた時の、相手のボールを取りにくるプレッシャーがすごくて、それをとられたら相手にチャンスを与えてしまう。単純にパスの精度などうまかったなと思います。
ただ、それでも勝つチャンスはあったと思うので悔しいです。
(次節に向けて)個人としては、広島の選手みたいにうまいサッカーをする選手ではないですし、がむしゃらに、湘南らしい縦に強い攻撃をしっかりやっていきたい。今日は結果としてそれも封じられてしまったと思うし、点もとれなかった。大宮戦ではそういう自分たちの特長をしっかり出して勝てるように頑張ります。
●梶川諒太
最初はトップ下のような形でで入りました。前期の対戦では引いてしまって相手の思うつぼという感じだったので、最近ずっとできている前から行くことをこの試合でも続けてやっていこうとした。
相手が嫌になるまでプレッシャーをかけていこうという気持ちで入りました。
(先制されたが)もったいない失点ではありましたが、ああいうところをきっちり決めてくるところは上位にいるチームだと感じました。僕らもボールを回しながら攻めましたが、相手も最後のところは堅いですし、そういうところで、前半からもっとシュートを打っていったり、早めにクロスを上げたりといったところがもっとできたらよかったかと思います。でもドリブルとかを使いながら巧く剥がせた部分もあった。なにもできなかった前期に比べれば、できた部分もあったと思う。
(対広島について)今年のなかで一番できなかったのが広島戦という感覚が自分のなかにあって、本当に悔しい想いをしたし、その面で今日は自分がどれだけ成長できたかが試される試合でもありました。とにかくボールを持ったら前に仕掛けていこうと、またボールをどんどん受ける自分の持ち味を出していこうというところで、ボールに係わる機会は多かったと思いますが、やはり決定機に結び付けることができてないことがまだまだ課題だと思います。
●岩尾憲
(センターバックでのスタートだったが)練習試合でもやっているし、裏を取られないように、映像でも一本の縦パスだったり、もしかしたらGKから一本で裏を取られるという映像も見させてもらったので、そういういろんな可能性を試合のなかで判断して、カズ(大野)や翔雅(鎌田)と一緒に合わせてやれたらと思って臨みました。
シュートを打たれたところもありましたが、おおむねよかったかとは思っています。
(ビルドアップについては?)そこは自分の特長でもあるし、ゲームをつくるというところでいうと、せっかくそこをやらせてもらえるならいい意味でボールを動かしたいと思っていた。思ったより相手が前から来たこともあって難しかったが、切り替えの部分など、前に入れるという意識で特長は出せたかと思います。(0-1という結果について)やはり広島の選手は見ていても今日実際に戦っても、判断のところでミスが少ない。僕らは自分たちで自分たちの首を絞めてしまっているシーンがあることは否めないので、きょう感じたことを活かして、もっともっと改善していかなければいけない部分はたくさんあると感じました。(ボールを奪ったあとに再度奪われるシーンがチームとして多かったが)判断の部分というか、一人ひとりの準備というか、僕らのスタイルとして縦パスが基盤にあることは全体が解っているけど、もっと深く理解して、もっともっと一人ひとりがいい準備をして速くボールを動かすイメージを共有できなければいけないと感じます。ひとりでも判断が遅れてしまうと、こういう相手は切り替えが速いので、準備という部分ではもっとできるんじゃないかと思います。
●亀川諒史
自分の中では、シーズンの中で一番ダメだったかなと思っています。攻撃の面でもパスを消されるという場面も多くて、消極的で後ろ後ろになってしまった。ディフェンスの面でもミキッチにやられる場面も多かったと思う。
すべてやられたというわけではなかったけど、やられる場面は多かった。あそこはすべて対応しなければいけないと思う。本当に攻守において一番悪かったと感じています。
走ることや自分たちがやってきたことでは上回れたかもしれないですけど、やっぱり広島の選手の止めて、蹴るであったり、そういうところの差はすごく大きいと感じたし、そこが本当に差なのかなと思います。
走るのは勝ててたけど、ひとつトラップしてから蹴るというのが一歩遅れたら詰められる。でもうちは寄せてもそれを剥がすうまさがあった。個人としてもミキッチはすごくいいサイドアタッカーなので、やってやろうという気持ちで臨んだんですけど、結果的に完敗だったと思っています。
この広島戦の1試合でも、チームとしてもそうですし自分としてもすごく学ぶところが多かった。ここから学んで成長しなければいけないということはすごく感じているので、大宮戦までの1週間でどう改善できるかを頭に入れて戦いたい。最終節をホームで戦えるので、サポーターの皆さんと最後に勝利のダンスで終わりたいと思います。
●鎌田翔雅
前半は4バックでしたが、最初のほうは将太(古林)と二人で少しバタバタしてしまったところがあったので、将太に少し負担をかけてしまったかなと思います。途中から狙っている形にはできたんですけど、もう少し最初からできていればというのが心残りです。
ディフェンスに関しては、憲さん(岩尾)もカズ(大野)もカメ(亀川)もチームとして狙ったことは出せていたと思います。失点はしてしまいましたけど、相手の一番得点になる形というところでやられてはいなかった。ゼロで抑えられていればというのは、やはり悔しいです。
(危険な場面で救っていたと思うが?)今日に関しては危ないところのイメージがありましたし、自分のよさは出せたと思う。でもよさを出せたのがこのタイミングということが悔しいです。
ずっとこの何試合か、同じような戦いをしていて、でも最後のところで勝ち切れないままラスト1試合まできてしまったので、ここでひっくり返すことができれば、自分たちの成長を見ることができると思う。あと1週間、成長してなんとか勝ちに繋げていきたい。