監督・選手コメント
J1第31節 湘南vs鹿島戦 試合後監督・選手コメント
【監督コメント】
●曺監督 総括
おつかれさまでした。
今日はちょっと最初の入りを、ご覧になってる方は皆さん分かるかと思うんですけど、違う形にしたり、プラン的に前半は相手の弱いところを突いていこうみたいなことだったりとか、いろんなチーム戦術を与えながら2週間準備してきました。
前後半ともに、退場者が一人出たあとも、そのゲームプランを選手がしっかりおさえられるようになってきたなと。去年までだったら、ただ頑張ってボールに食らいつくだけだったのが、少し状況を見ながら、行くとき・行かないときや、ここはパス、シュート、ドリブルという判断が、今日10人になったあとも非常に研ぎ澄まされているなというふうに僕自身は感じました。
追いついたところでいうと、選手たちは本当に100%、120%、半年前の100%が今50%くらいになってるんじゃないかというくらいの試合ができたと思います。
ただ、試合が始まる前に、鹿島さんはちょっとした隙を与えると点を取ってくるという話をしていました。その伝統は間違いなくチームの中にあると。我々の多くの選手はJ1での経験は1年に満たない。相手は7年も8年もJ1でやっている。そこの経験値をリスペクトしつつも我々の良さを出さなければいけないということだったんですけど、やっぱり同点にしてキックオフのすぐ後に取られて、またセットプレーのフリーキックを直接入れられたというところが甘さであり、そういう意味では、際どい勝負の試合経験にまだまだ欠けていて、そこが勝点1、勝点3を持ってくることができないというふうに自分自身では思ってます。
前半13分でカードをもらい、前半残り15分くらいでもう1枚もらって退場してしまったんですけど。フェアに吹いていただいていると思っています。ただ、前半13分で、ファウルをされた我々が相手に対して残り75分近くある中を、遅延行為をするということは、僕も指導してないですし、ご覧になってる皆さんもその遅延行為は、じゃあ何故に、というところだと思います。何のためにしたのか、見てるサポーターの方もそうだと思います。僕はそれを、勝った負けたじゃなくて、日本サッカー界、それから我々、選手、レフリー、それからサポーターの皆さん、マスコミの皆さんが手を取り合って、今度のワールドカップ、それこそ東京にオリンピックが来る、そのあたりまでどう質を上げていくのかということを進めなければいけない。今日のあの13分の遅延行為は非常に残念だなというふうに思っています。チームとして、お互いに勝ちを目指していく中で、15分以内でファウルをされたチームが遅延を取られるというのは、多分それを基準でいくと世の中の試合の全部が遅延行為になってしまう。ルールというもの、基準というものを、果たしてどういうところで選手に示してあげればいいのかというのは、今の時点で僕も少し難しいなと思ってます。僕は個人的には「何で」ということを聞きたいなと。別に苦言を呈する話ではなく、レフリーのせいで敗れたとかそんなレベルの低い話ではなくて、我々みんなの、それこそサッカーを良くする、サッカー界をもっともっとレベルの高いものにしていく、Jリーグ自体をもっともっとアグレッシブでアトラクティブなリーグにしていくために、そういうことをひとつの題材として次につなげていってもらいたいなと思います。難しい言い方ですけど、素直にそう思っています。
あと残り3試合ですけども、今日のことを、結果として、悪い意味で引きずらないで、試合後にサポーターにもちょっと話をしましたけど、我々にはまだチャンスは残されてると思うので、そのチャンスに向かって全身全霊かけてやっていくつもりですし、出場停止があって悔しい思い、怪我で出られなかった選手もたくさんいるので、その選手も含めて、またしっかり競争してやっていきたいと思います。
●曺監督 質疑応答
–累積で3人出られない中だったが誰が出ても湘南らしいサッカーを見られたと思うが、評価は?
本当に今日の先発、それから出られなかったサブの選手、交代で出た3人とも全員よくやったと思います。(中川)寛斗とカジ(梶川)というちびっこコンビが前にいて、小学生からしたら僕も頑張ればプロになれると、20人いたら15人ぐらい思ったんじゃないかと思いますが、それぐらい、彼らも含めていい準備をしてこの試合に臨んでくれたと思います。
僕は経験値では勝てないけれど、リスクチャンレジやチャレンジする気持ちで絶対負けてはいけないという話を選手たちにしていたので、そのことは19歳の中川もしっかりやってくれたと思います。
–島村選手の投入とともに遠藤選手を一列上げた狙いは?
航(遠藤)は昔からボランチもDFの右も真ん中もできたんですけど、去年から真ん中のラインコントロールの重責を担いすぎたところがあって、ボールを奪うことや運ぶこと、本来あの年代でやらなければいけないことを僕がさせていなかったところもあったので、チームの状況を見て、右やボランチをやらせようとはもとから考えていました。あの展開ではやはり中盤でボールを奪ってひっくり返すことが大事だったので、亮太(永木)と2人を置いて、そこの圧力をかけて、前の、最後はステボとフル(古橋)が2トップで大介(菊池)と亀(亀川)がアウトサイドになりましたが、そこにいいボールを供給して、ボランチが最後1枚ペナのなかに入っていき、クロスもしくはセットプレーの流れ、ロングボールから点を取ろうと思っていました。
–仮にこのあと甲府が勝った場合、得失点差もかなり離れているが、そうなった場合でもこれからもやることは変わらないか?
もし甲府さんが勝たれたら、全部勝って相手が負けることをお祈りするしかないけれど、15人でやってもいいということであれば5、6点取れるような練習をしてもいいけどサッカーは11人でしかできないので、可能性がゼロでない限りそういうことがあっても戦い続けようと思います。今日の試合も含めて、それこそ最後の試合でここに戻ったときに可能性がゼロになってないように、ホームに少しでも可能性を残して帰ってきたいという話を今したので、そういう結果を出せるように、相手どうこうよりも自分たちがどうしなければいけないかということを選手たちに話したいと思います。
–1点追いついた場面でそのあとすぐにやられたが、監督のなかでは勝点3を狙いにいこうという気持ちだったか?
いや、あのタイミングで追いついたので、この試合は1でもいいかなと思いました、あのときは。やはり10人だったので。ただ、キックオフのすぐあとだったので、この1回はね返したときに話をしようと思っていて、相手が力をかけて追いこんでくることは分かっていたんですけど、うちの選手の対応はそれまで全然悪くなかったので、それをあえて俺がかぶせて言うのも神経質すぎるし。そういうなかで、1本隙をつくってしまった。ほとんど大迫選手やダヴィ選手、ジュニーニョ選手に対して分析通り彼らはよく対応したと思いますけど、そこはまだ力不足でした。
●トニーニョ セレーゾ監督 質疑応答
※総括はなし
–立ち上がり攻め込まれるシーンが目立った。特に右サイドの裏を突かれるケースが多かったと思うが、どう対処しようと考えたか?
いろんな要素が影響される。ひとつは天候の状況、風が非常に強く、ビルドアップの際に無理して繋ごうとしていたところ。蹴るにしてもすこし強めに、風を計算して予測しながら考えなければいけなかった。相手はスピーディで機動性、技術がしっかりしたチーム。とくに攻撃陣は自分たちの特長を生かそうとしていた。ボールをサイドに集めてサイドからインカーブでボールを入れる、その際に逆サイドからDFの背後や間に選手が入っていくことを狙っていた。それに対しては侵入させないよう進路に入ればいい。もうひとつはインカーブで入れる時点で利き足を限定すればいい。シンプルな指示で解決できました。ただそれ以外のところでは大きな怖さは、前半彼らがチャンスをつくることはなかったと思うし、逆に前半は我々のほうがチャンスは多くあったのではないかと思います。
後半というか途中退場者が出て、我々のほうが人数が多いわけなので、相手のDF陣に対してプレッシャーをかけることが望ましい選択だったがそれがうまくできず、あるいは伝われず、数的優位の状況を活用できなかった。もうひとつは、前半は小笠原選手、後半立ち上がりに伊東選手にカードが出たところで、シビアなレフェリングというところで、微妙な判定のところで気を付けなければいけなかった。そういうところから選手たちがちょっと消極的な守備になってしまい、目で追い掛けて守備するようになってしまった。相手のペースになってしまい、相手のサッカーになってしまって、最後のほうは引き分けで終わっても彼らのほうが引き分けに値する内容だったのではないかと思います。ただ最後まで諦めずにやり続けることが実ったかたちに繋がったのではないかと思います。
とくに後半は自陣でボールを回す、あるいは中盤で回し、もうすこし相手陣内深くでボールを保持して崩す、あるいはパスワークをすることが改善すべき点だと思います。
あとは自分としても反省する点としては、交代のところでダヴィ選手を入れてしまった。あそこはどちらかというと土居選手と似たようなタイプの本山選手を入れたほうが、相手が前がかりになっていて、ボランチの背後に大きなスペースがあったので、もうすこしそこをうまく活用すればもうすこし楽な展開に持っていくことができたのではないかと思います。
途中から運動量が、疲労性から足が止まってしまうのは当たり前だが、ジュニーニョ選手や遠藤選手の足が止まってしまったところがありました。
あとはカードをもらっている小笠原選手と伊東選手というところのマネジメントをしなければいけないが、伊東選手を交代することにしました。なぜかというと、カードをもらった時点でうまく守備の仕方を、経験値から体の当て方や守備の対応をしなければいけないので、そういった部分で、伊東選手のほうが若いので運動量もあるし体も反応できるので、その部分で2枚目をもらって退場者が出る危険性もありうるので、西選手を入れて対応する。小笠原選手を置いたのは経験値というところでうまい守備の仕方があるので、2者の選択のところではそういう判断をしました。西選手に関しては、あくまでも僕の観点ですが、うちが人数が1人多いわけで、攻撃的な特長を持ってる選手なのでもうすこし攻撃的にできたのではないかと思います。どちらかというと守備の部分をしっかりやった印象が残りました。
相手の交代は前の選手であり、そこからロングボールを多くして、セカンドボールを拾ったり逸らしたボールに対する反応をやっていた。それが分かった時点でラインの押し上げをしっかりやらなければいけないという反省点が残ります。僕はディフェンスラインが下がり過ぎたかなと、深さを作り過ぎて、相手に自陣のペナルティエリアの付近まで来させる条件を与えてしまったところが反省すべき点。もうすこし高い位置を保ちながら相手に圧力をかけ続けることをやらなければいけないと思います。
最後のほうで不注意から失点してしまい、そこで諦めずにチームの得点王が救ってくれた。技術、視野の広さ、落ち着き、とくにボックス内での仕事の仕方は十分理解している選手なので、そこで勝点3を取ることができました。ただ引き分けで終わったとしてもおかしくない試合だったと思いますし、それはなぜかというと、相手が勇敢で我々よりも1人少ないなかで運動量を上げて、最後まで戦い抜いた姿勢を僕は讃えなければいけないことだと思うし、引き分けという結果で終わっていても正当な結果ではないかと思っています。
–ゲームが終わって曺監督と話していたようだが、どんな話を?
曺監督とは今季始めに監督会議の場で僕に笑顔で接してくれたし、初めて会ったにもかかわらずいろんな話をざっくばらんにしてくださった監督で、そのあたたかさを僕は忘れてはいないし、今日に関しても引き分けが僕は妥当な結果だったのではないかと思うと、みなさんに言ったように伝えた。それは同業者として、いまいる立場はもしかしたら僕も味わうかもしれないし、そういった経験も僕はしてきた。ただそのなかで、1人すくないなかで、勇敢な選手をピッチに立たせ、それも配置を変えていた。退場になる前から4-2-3-1から4-3-3に変えたり、4-1-4-1にしてみたり、いろんなことを試合のなかで工夫しようとした。1人少なくなったときも選手をバランスよく配置して、自分たちの特長を最大限に引き出そうとしたところに関して、僕は同業者として讃えなければいけないし、たとえ最後はうちのチームの得点王が能力の高さというところで勝点に結びつけることができたが、内容からしたら勇敢に運動量を11人に対して上げて、最後はその頑張りのご褒美として同点に追いついたところは彼らの実力だと思うし、素晴らしいサッカーを10人になったときもやっていたことを僕は讃えたいと思います。
【選手コメント】
●遠藤航
試合の途中でシマさん(島村)が入った時にボランチに上がるように言われて、人数が少なかったのもありますけど、負けていたのでやっぱり前に行かなければいけないと思っていました。いつも後ろをやっているときよりは自分のポジションを高い位置でプレーできるようにということは意識していました。前でボールを奪ってチャンスを作れたことはよかったと思います。
(ゴールは?)クロスは最初のところで僕を越えるかなと思ったけど、DFに当たりそうな気がしたら実際に当たったてこぼれてきた。シュートはゴールも見ずに感覚で打った感じですけど、やっぱりあそこに人数をかけて入っていったことがよかったと思うし、ああやってDFに当たりましたけどあそこに入りこめたのが得点に繋がったのかなと思います。
(失点については?)切り替えてはいたんですけど、シンプルに相手の長いボールから隙を突かれてしまった。あそこの最初のところで、チャレンジ&カバーがあそこだけ3バックの距離があいてしまったかなと思います。
勝点をとりにいくしかないし、次の試合までに2週空くので、この2週間をいい準備期間にしなければいけない。可能性のある限り、僕らは諦めないし、最後まで戦い抜くしかない。まずはしっかり頭を切り替えて、次に向かっていければと思います。
●大野和成
試合の入りは悪くなかったし、10人になってからも10人とは思えないぐらいみんなハードワークしてくれた。1点取られてからも、追加点は与えないようにとディフェンスラインで声を掛けながらやっていた中で、割り切って守れていたと思います。
同点に追いつくことができましたが、最後の場面は自分が対応していた。相手が切り返すのは分かっていたし準備もしていたが、ターンが引っ掛かってしまった。本当に申し訳なかったです。点を取ったあとだったので、非常にもったいない対応だった。非常に悔いが残る1対1。読んでいただけに悔しいです。
●中川寛斗
試合が終わってすぐなので、まだ頭を整理できていないところもありますが、やはりいちばん印象に残っているのは失点のプレー(FK)です。
プロである以上、自分が犠牲になるときもあるし、自分がイエローをもらっても止めなければいけないところだったと僕は思うし、この試合を機に、もっとプロらしくというか、もう一度自分を見つめ直して、プロとしての今後の生き方を自分のなかで整理して、つぎの練習や練習試合に臨みたいと思います。
平常心で試合に臨めたことは間違いないし、チームの流れを崩さず、且つチームの力になれたという実感を自分でも持っているけど、でももっともっと、湘南はここで終わるチームじゃないし、チーム全体が周りに流されず地に足つけてしっかりプレーできれば、やっていることは間違いないので、なにか起こせるんじゃないかと思います。
●永木亮太
ただでさえボールを動かすのがうまい相手なので、一人少なくなるとかなりキツかったですけど、焦れることなく追加点を奪われることもなかった。そこまではよかったですけど、自分たちが点取ったあとのキックオフから相手のスイッチが変わったと自分の中では感じた。そこでやられているようでは、うちもまだまだ甘いということだと思う。本当に反省しています。
もう本当に、最終節まで可能性を残して戦いたいし、相手の結果もそうですけど、自分たち自身を見つめ直して、しっかり練習中から湘南スタイルに磨きをかけていきたいと思います。
●菊池大介
10人になって、やるしかないというふうに逆に割り切れた。11対11かと思うぐらい普通にやれていたと思います。僕もどちらかというと攻撃に重点を置きながら、すこしジュニーニョを気にしながら考えてやっていました。
体力的にはいけると思っていたし、後半はどれだけ攻撃に絡めるかというところに意識を置いて臨みました。何度かチャンスに絡めた部分はあったけど、もうすこし自分で中に入ってシュートで終わるシーンが多くあってもよかったと思う。ボールが入ったら仕掛けてクロスかシュートでしっかり終わろうと思っていたので、ゴールはそういう気持ちが繋がったと思うが、チームとしてあの直後の失点はいただけない。気が緩んだというようなことはなかったけど、もう1点取れば逆転できるという気持ちだったり、点を取るまでの意識とはすこし違っていたかもしれない。鹿島は隙を見逃さないで点を取るチームなので、今日は本当に隙を見せないでいこうと試合前から話していた。そのなかでのあの2失点は反省しなければいけない。
●亀川諒史
事故みたいな形で10人になったんですけど、そこで諦めるなんてあり得なかったし、10人になっても憲くん(岩尾)の分まで10人が走り切れば10人も11人も変わらないという気持ちでした。最後まで走り切って、同点になったところまではよかったんですけど、最後の失点は自分たちの甘さだと思うし反省しなければいけない。
僕自身はオフェンスに入ったら、パスが来なくても自分はオーバーラップをしようと思っていました。前半は何回か、自分にパスは来なかったけどカジくん(梶川)が前を向ける場面も作れたし、犠牲のランというのは絶対にやろうと思っていました。10人になってからもとにかく運動量を相手よりも多くするしかないと思って、そういうところはできていたと思います。でも、もっともっと自分でゴールを狙ったりということは貪欲にやっていかなければいけないと思っています。
本当に残り全部勝つつもりでやらないと無理な状況やと思うし、チームの中で誰一人諦めていないので、やるしかないと思っています。