監督・選手コメント
J1第6節 浦和vs湘南 監督・選手コメント
【監督コメント】
●曺監督 総括
お疲れ様でした。関東地区と言っても湘南からは遠いところまで来て頂き、声援を送ってもらったサポーターに勝点3を届けられず、本当に申し訳ないと思っています。
試合の内容的なものは、浦和さんがボールを動かす力があるというのは、何試合もみて分かっていることなんですけど、それに対して最終ラインも、ペナルティから下げないで、コンパクトフィールドを保って攻撃、守備をやろうと。
前半、どうしても自陣に帰って守備をしてしまう時間が多かったので、後半もう少しラインを上げてさらにいこうと思ったのですが、結果的には0-2にされて、相手がゲームをクローズするような形にもっていかれたかなと思います。
選手たちは本当に頑張っているんですけど、まだまだ力不足かなと感じています。ただ、浦和さんとの差とか、J1でやっている時のこういう差を日々感じながら、去年からですが、自分たちはこの一年、積み上げていくしかないと思っています。
いま、勝っていないからとか、今日負けたからとか、選手の力量に合わせたというか、そういう形をとって最終的に何も残らないという感じになるのは絶対に嫌なので、選手と話しながら、いいところ悪いところを整理して、これからやっていかなければいけないなと感じます。
ペトロヴィッチ監督がつくっている浦和というのは、僕も何度も何度も試合を見て、参考になることがたくさんあるんですけど、2年前にプレシーズンで戦って、今日はそれ以来の試合でしたが、まだまだ自分たちが足りないことというのは認識できたので、この後ホームで戦う時はもっと成長した姿を見せたいなと思います。
●曺監督 質疑応答
–前半、何度か高山選手に指示を与えていたようだが?
相手の梅崎選手が高い位置をとってくるので、そこに引きずられすぎないで、駆け引きしながらやれということと、ボールをとった後に引きずられるとなかなか出ていく時間がかかってしまって攻撃に厚みが出ないので、そのタイミングの話をしました。
–このサッカーを続けていけば確実にチームは伸びると思うが、安定方向なのか今のサッカーを続けるのかというバランスの部分で、選手にどんな心理的なマネジメントをしてアプローチしていくのか?
ビデオを見てみないと分からないところがありますが、彼らがプレッシングをしてボールを奪った後に、それをロストしないでシュートまでいけばそれが正しいと選手自身が感じるし、逆にそこでなくしてしまったら、せっかくみんなで連動して奪ったボールがすぐ相手にいくとなると、それ自体が間違っているんじゃないかという印象にどうしてもなりますよね、人間だから。
ですから、その成功体験の数を増やしていくしかないと。今日は相手が浦和だから下がりなさいといは一言も言わなかった。J2では奪ったボールをきちんと相手のいないところで動かしながらクロス、シュートまでもっていった回数が格段に多かったのですが、その成功体験をJ1で増やしていかなければ、我々の生きる道はないと思っています。それがレベルだと思います。
ブンデスリーガのチームも、今年上がってきたチームがほとんど下の順位にいて残念だなと思うんですけど、その違いは相手のプレッシャーのはやさというより、J1のチームの守備力や球際の強さはJ2のチームと比べものにならないくらいありますが、そこのせめぎ合いの中で成功体験を増やしていくしかないと思っています。
●ベトロヴィッチ監督 総括
非常に難しいゲームになると試合前から思っていた。なぜなら湘南は我々との対戦において失うものがない相手だった。2週間で5試合目ということで、選手にとっても厳しい状況での試合だったと思う。ACLのアウェイの長旅もあったが、そのなかでもよく選手たちはよく走り戦ってくれた。2-0という結果だったが、もしかすると3点目、4点目が入ってもおかしくはない試合だったかもしれない。この2週間で5試合目の試合の中で、選手たちは確実に勝つという、プロフェッショナルな試合を見せてくれたことに満足しています。
●ベトロヴィッチ監督 質疑応答
–2週間で5試合の日程のなかでチームが成長した点は?
今年に入って10試合戦っているが、その中で見せた試合というのは、満足できる試合がほとんどだったと思います。ホームの全北戦での後半のプレー以外は。本来、3、4年かかるようなチーム作りを1年でやっているといると感じている。チーム状況が難しかった2011年から、非常に早い速度でこれだけの成長を遂げたチームというのは非常に満足しているし賞賛に値すると思う。チームが4年間、下に沈んでいた中で、選手たちにとっても非常にメンタル的に厳しいものがあったと思う。それを乗り越え、一年で成果を挙げていることは賞賛されるべきことだと思う。サッカーは時間が必要なスポーツ。チームが成長していくためには、1週間、2週間、1ヶ月、半年などで変化していくことは難しい。ただ、我々は1年間で大きな成長を遂げていることは大きな驚きである。
昨年の札幌戦で1-2で負けたが、あの試合に勝利できていれば優勝できていたと今でも100%そう思っている。そういった戦いを経て、同じような立ち位置の相手から、選手たちは確実に勝利をもぎ取ってくれた。そのことは成長を感じるゲームになったと思う。浦和でプレーするのは非常に難しいことであると思う。浦和というのは日本のサッカー界で最も注目を集めるチームである。選手であり監督であり、常にプレッシャーがつきまとう。6試合結果を残したというのは過去であって、我々は常に次の試合での結果を求められている。そういったプレッシャーのなかで戦わなければいけない。それは選手たちにとって簡単なことではない。しかしここまでそういった圧力の中で結果を残していることは賞賛に値すると思う。
–湘南の守備が安定していて流れのなかからチャンスが少なかったと思うが、先制点を奪ってからは相手が攻め上がりスペースができ攻撃がよくなった。先取点が重要だと思うがそれについては?
磐田戦も同じような形だった。毎試合前半と後半があり、試合というのは90分プラスアディショナルタイムがある。どのチームも守備的に組織を作られれば、それを仕掛けて崩すのは難しい。ただ、そうしたディフェンスは労力が必要で、それを90分やるのは難しい。我々がボールを動かでば相手も動き、体力を消耗する。そういう中で相手の穴が出てくるところを突いていく。そこからのクオリティが必要になる。
もちろん、先制点が取れれば、相手は負けているので点を取りに来なければならず、守備的に戦っているときの時間よりもスペースを与えてくれて、我々は攻撃をしやすくなる。我々のチームの問題は、チャンスは作れるけど点をとるのにたくさんのチャンスを必要とするところ。3点目、4点目を取り切れないこと。それが今の大きな課題で、もっと取り組んでいかないといけない。その部分をもっと突き詰めないといけない。サッカーの試合では、3点も4点も5点を取る試合というのはあまりないが、決定機が来たときに決め切ることをもっとやっていかないといけない。
–2012年に湘南と練習試合をやった時と今の印象は?
私はJ1、J2の試合をほとんど見ていて、湘南の監督さんは我々がやっているようなサッカーを目指していて、そういうチーム作りをしていると私自身は見ています。
自分たちの選手にミーティングで言ったことは、開幕戦のマリノス戦に2-4で敗れたが非常にアンラッキーな形だった。そして鳥栖戦は1-0でリードして追いつかれて1-1の引き分け、清水戦でもリードして追いつかれている。川崎戦も1-0でリードしながら、1-1という結果だった。それらの試合を見る限り、私は相手よりも勝利に近い戦いをしていたのは湘南だと思っている。名古屋戦も負けましたが、湘南のチャンスの数を見れば、あれで負けてしまうのは、私は芸術に近いと思う。それだけ際どいゲームを毎試合やっているということは、彼らのチームとしての成長は非常に大きいと思う。
名前のある選手が多いチームではないと思うが、若い湘南のようなチームがこれからどんどん成長していってくれることを願っているし、そうなれば非常に嬉しいと思う。
ヨーロッパのリーグと日本のリーグは違う。ヨーロッパはどのリーグも上の3クラブくらいが質のよい選手を買いそろえる。バイエルン、ドルトムント、バルセロナ、レアル・マドリードというチームは常に質の高い選手をそろえ、常に彼らが勝勝利することが当たり前のようになっている。日本のリーグは各チームの選手の力が非常に拮抗している。もし浦和に長友や香川、清武、本田がいたら我々は常に勝利を求められるでしょう。
うちの宇賀神が浦和の選手で、高山選手が湘南の選手なのかは誰もわからない。もちろん宇賀神はいい選手ですが、その辺は説明がつかないところ。J1は各チームの力が拮抗している、そういうリーグだと思います。
–興梠選手がゴールを決めたことについて。
私は今日の彼のプレーに関しては不満を覚えている。なぜなら、彼は非常に難しいゴールを決めた。でも決定的なシーンでフリーでシュートを外した。だからこそ不満がある…というのは冗談ですが(笑)。非常にいいプレーをしてくれた。もし、我々が負けたり、引き分けたたら、彼を怒っていたかもしれません(笑)
【選手コメント】
●武富孝介
できないことのほうが多かった。意識の面でも変えていくことが必要だし、自分でできるトレーニングがもっとあるんじゃないかということを一番感じました。個のところでもっと伸ばせるところがあると思う。伸ばせるところはもっと伸ばさなければいけないと感じました。今日の試合の反省というより、もっとトレーニングをやらなきゃいけないし、もっと意識を高くもって成長しなければればいけないと感じました。
相手が攻めた後のカウンターもうまくいけなかった。まわされている分、足に負担がかかってミスも多くなった。ボールを大事にしようとは言っていたけど、ミスした選手としては相当疲れている状態だったと思う。特に前半はそういう感じが多かった。ピッチの中でうまく修正できればよかった。
湘南らしさというか、前からプレスにいくという意識をもってやっていたけど、前にいっている中でもプレスがなかなかかからないことも感じていました。前にいったらまた後ろに出されてしまうかもしれないという思いもあって、なかなかいき切れないところもあったと思う。
自分自身も収めるところはもっと収めなければいけなかったし、筋トレなども含めて本当にトレーニングがもっと必要だと感じています。
●大野和成
左サイドで個人としては1対1のところで負けなかったり、ある程度うまく守れていた感じはあったんですけど、1本の決定的なパスで失点をしてしまいもったいなかったと思います。
(サイドが違うが失点シーンは?)相手のパスの精度がよく、ピンポイントで合されてしまった。特にそんなに崩された場面はなかったし、後ろとしてはそんなに怖くはなかった。ただそれを90分間、もっとしっかり守れなければいけなかった。
チーム全体を通して、ボールを奪ったあとのパスの精度がまだまだだし、失う数という部分では浦和に比べたら数倍多いと思うので、その差が大きいと思います。
最後のパスや繋げるところをミスしてしまったり、自分たちでリズムを崩してしまったところもあった。そういうところでもっと精度を上げて繋げるようになれば湘南スタイルが出せるのかなと思います。
●菊池大介
プレーの質や精度の部分で違いを感じました。ただ、自分たちの時間ややりたいことを出せる時間というのは毎試合必ずあると思いますし、今日もありました。そういう中、最初のプレーなどでいかにやり切れるかが大切だと感じました
ちょっとしたミスやちょっとした判断で試合が決まってしまうということも感じさせられました。
また、もっと一体感を出すために、一人のミスを助ける動きだったり、ちょっとしたアクションでみんなを前向きにさせるプレーというのをもっと出せればいいと思う。僕はそういうプレーを出すべきポジションにいる選手だと思うので、もっともっとやらなければいけないと思っています。
僕自身は、先週くらいから少し調子も上がってきて、いいメンタルとコンディションで試合に入れたんですけど、後半などは間で受けて簡単に奪われてカウンターを食らってしまう場面もあったし、もっともっと自分らしさを出さなければいけない。悔しい気持ちがありますが、そこは次に繋げていかなければいけないと思っています。
(あと一歩のためには?)やはり決め切る力が必要。J1になると、相手はちょっとしたチャンスで決めてくるし、こちらもそんなに多くは決定機を作れない中で、いかに決め切るかが今年はずっと課題としてある。そこは本当に重要だと思っています。
●高山薫
本当はもうちょっと前からいきたかったんですけど、3バックの選手も前に出てくるし、常に裏を狙われているので難しかった。声援がすごくてピッチ上では選手同士で話すことができなかった。自分たちのボールの時に集まって話したり、そういうこともあると思って、事前にもこっちを見ておいてほしいという話もしていたけど、前半はフリーの場面があっても、呼んでも聞こえず、視野にも入っていなくて受けられないという場面も多かった。
後半はタケ(武富)がセンターバックにプレッシャーにいくようになって、全体としても前からいけるようになったんですけど、前半ももう少し前からいきたかった。どこでスイッチを入れるのか、難しい場面が多かった。
1点目をとられた時以外は、ボールをまわされてはいるけど、シュートまでもってこられることもなくて最後のところはそんなに怖くなかったしうまく守れていたと思う。ただあそこまで引いてしまうと攻撃の時に人数が少なくなってしまう。それが嫌だったから自分としてはできるだけ前にいきたかった。
ただ、相手がすごく張ってくるので出たら裏を狙われることは分かっていたのでなかなか出られない難しさがありました。