馬入日記
【馬入日記:12月4日】中村選手インタビュー「目の前のことをやるだけ」
8月に右アキレス腱断裂のケガを負った中村選手、日々、懸命にリハビリに励んでいます。
以前、馬場選手が「祐也や憲(岩尾選手)が本当に頑張ってるから、絶対に弱音を吐けない」と話していたことがありましたが、中村選手も岩尾選手も、サッカーに対するものと同じように、リハビリにも日々真摯に取り組んでいます。
「今できることは本当に限られているので、そのできることをやるだけという感じです。長いケガで休むことになってから、小川さん(PT)がいろいろ考えてくれて、自分に足りない、弱いところを鍛えられるようなメニューを組んでくれているので、ケガしているなりにいいモチベーションでやっています。J1になったら、今以上のフィジカルが求められると思うので、いまできる中で来年に繋がることを少しでもやって、強くして、自分やチームのプラスになることをしていけたらと思っています」と中村選手。
抱えている悔しさや苦しさは計り知れませんが、その想いをぐっと心に収めて黙々とトレーニングに励む毎日です。
「やっぱりサッカーができないというのは、サッカー選手として苦しいことですけど、いまこの現実を受け止められるかどうかが大事だと思う。チームに迷惑をかけているというのは本当に申し訳ないところで、それだけは本当に常に気がかりです。でも、その中でいまできることをやらなければいけない。最初は落ち込んだけど、切り替えて前に進むしかない。本当にいま“やるしかない”が合言葉になっています(笑)」と。
今シーズン、中村選手は8試合に出場し2得点。
第18節の富山戦で決めたゴールは、チームにとって本当に大きな1点でした。
初めての敗戦(水戸戦)から連敗、その後5試合引分けを挟み、17節で北九州に敗れ、実に8試合勝利なしの状態で迎えたホームでの富山戦。
0-0で迎えたアディショナルタイム。古林選手からのクロスに、決めたのは中村選手でした。
その後9試合負けなし。大きなターニングポイントとなった試合でした。
「出場時間は短かったんですけど(70分に途中交代)、チームの状況的にもどうしても勝ちがほしいと誰もが思っていました。そういう時に途中からでしたけど、いい意味で平常心で入るということを意識しました。点を取りたいとは思ってるんですけど、気持ちばっかり焦るといいプレーができないので、平常心でやれたらいいのかなと思って試合を見て準備していました」とその時を振り返りました。
ゴールが決まった瞬間、何かが爆発したようにスタジアムが歓喜に包まれました。
「自分の中では今季一番印象に残ってるシーンです」と中村選手。
大きな大きな、勝点3でした。
そして、自動昇格を決めた日の夜。
平塚競輪場で行われた「J1昇格報告会」において、選手たちがステージに立ち挨拶をしていた時のこと。
サポーターの皆さんから「祐也ー!!」という声と大きな拍手が沸き起こりました。
「あまりチームに貢献できなかったという想いがすごく強くて、でもチームメイトがピッチ上で頑張ってくれて結果が出た中で、あの時、自分に声をかけてくれたというのは素直に、本当に嬉しかったです」
中村選手のチャントが歌われる中、控え目ながらも本当に嬉しそうに手を挙げる中村選手の姿が印象的でした。
もうしばらく、リハビリは続きます。
オフ期間もほとんど休みなく、自分の身体と向き合う日々です。
でも。
「今はまだできる範囲は小さいけど、そのできる範囲のことをしっかりやりながら、濃い1日1日を過ごしています。地味だけどそういうことが今後に繋がっていけばいいなと思っています。先を見るのも大事だけど、いまはケガと向き合うことと、今後自分が強くなるというところを目指して、目の前のことをやるだけです」
力強く語られた言葉。
心の強さとサッカーへの想いを感じるものでした。