馬入日記

【馬入日記:11月17日】団結力で勝負を。馬場選手インタビュー

シーズンが終わり、今週の練習はオフとなっています。
19日から練習がまた始まりますが、リハビリ選手たちは一足早く昨日から練習が再開しています。

朝から室内、グラウンドでみっちり練習に励んだ後の馬場選手に話を聞きました。
経過は「順調!」ということ。しっかり確かめながら完全復活を目指し回復している最中です。

まずは今の心境を聞きました。
「J1はすごく嬉しいし、最初の頃は試合に出させてもらって力になれたかなという部分もあるけど、最後に出られていないのでどちらかというと嬉しい反面、悔しいし羨ましいというのが素直な気持ち」と馬場選手。

今シーズンは28試合に出場し9得点。チームを引っ張る活躍で存在感の大きさを示しました。
しかし、昇格争いも佳境となってきた9月20日、練習試合で第5中足骨を骨折し、全治3ヵ月という診断を受けました。
どれほど悔しい想いを味わったことでしょう。

「ちょうど勝てない時期に重なったケガだったので、ケガをした悲しい気持ちというより悔しさとかもどかしさを感じた。自分がいたら何かできたかというと、それは分からないけど、みんなが苦しんでる時にピッチに立つことすらできない自分に、すごい苛立ったし、情けないなと思った。でも、普段のみんながいつもどおりだったから、自分もマイナスな気持ちにはならなかった。みんなのお陰でリハビリもしっかり取り組めたと思う」

馬場選手自身はそう言いますが、悔しさを押し殺して明るく振る舞い、みんなを元気づけようとする姿がいつもありました。

「自分としては、試合でみんなが落ち込んだ時に何か声をかけられればいいかなと思っていました。個人個人の雰囲気を見ながら、元気なさそうな奴に話を聞いたりということは意識してやっていました。でもそんなことが必要ないくらい、最後の昇格がかかった試合の週でも、いつもどおりだった。負けられないという状況でもいつもどおりだったみんなはすごいと思う」と。

その最終戦。
大変な盛り上がりの中激しい試合が繰り広げられ、バックアップメンバーはみんなメインスタンド側のメディアセンターの上で固唾をのんで見守っていました。

「最終戦は前日の夜から眠れなかった。自分はやらないのに、実際ピッチに立った選手より緊張してたかもしれない。終わってから、安心したのか腹痛になったし(笑)、めっちゃ緊張してたんだなと思った。でも、あの結末は予測できた。本当に向こう(京都vs甲府)は引分けで終わって、うちは勝って終わるなという予感があったんです。ずっとそう思ってた。今週、決まるな、と。それはみんな思ってたんじゃないかな。不思議だけど」

ピッチに立っている選手たちはいつも「リハビリを頑張ってる選手がいる」と口にし、リハビリ選手たちもまた「何かチームの力になりたい」という気持ちで過ごしていました。そのお互いの気持ちで支え合っていたように感じます。

「みんな、チーム想いなんだと思う。ケガ人もサッカーやってる選手もみんなすごくチームのことを考えてる」

結局42試合も戦って、終わってみればわずか勝点1差で掴んだJ1昇格でした。
あの試合の勝点1がなければ、あの1得点がなければ…と思いを巡らせると、すべてに大きな意味があると感じさせられます。

「本当に、誰ひとり欠けてはいけなかった。そういうシーズンだった。団結力で勝ち取ったということは誇れるところだと思う」と馬場選手。

馬場選手自身はどんな一年だったでしょうか。

「プロになって、たかだか5年しかやってないけど、こんなにチームをよくしようと思い続けられたことは、今までなかった。その気持ちは切れなかった。試合に出たときもあれば、出られなかった時もあったけど、どんな時もチームを想う気持ちだけはあった。ケガをしてからはより一層“勝ってくれ”って思っていました。それに、ケガをしてから、いろんなイベントや地域の活動に呼んでもらって、そういう機会を作ってくれたから想いを継続できたところもあります。“ケガしてる時にごめんね”って言われたけど、イベントに行かせてもらってみんなに“早くケガ治してね”って言われてモチベーションを保てた部分もあった。ピッチに立てない分、イベントでベルマーレのことをもっとみんなに知ってもらいたいなと思って臨めた部分もありました。だから、ベルマーレをしっかり想い続けられた一年でした」

その“気持ち”は痛いほどに伝わってきました。

「伝わっていたらいいなと思う。それがここに来るって決めた理由のひとつだし。ベルマーレに行って何もできなかったらオレは終わりだぞと思ってた。だからベルマーレに行きますって、簡単に返事ができなかった。それくらいの覚悟は決めてきたつもりだった」

さぁそして、来季に向けては…
「みんながビビらなけれ鳥栖のようになれるかなと思う。鳥栖は有名な選手がたくさんいるわけではないと思うけど、でもああやって今結果を出している。うちのクラブにとってはすごく勇気だし、希望になる。あまりメジャーじゃない選手が集まってるけど、うちらしくやれればみんなに希望を与えられると思う。その可能性を秘めていると思うしいい自信をもって戦いたいです」と。

今年、本当にたくさん「湘南のサッカーは面白い」という言葉をかけていただきました。
その湘南のサッカーをJ1の舞台でも発揮したいところです。

「最初はこんなサッカー一年もたないってよく言われたけど、全然持つからねって思ってたし現に持った。少し大人になってサッカーした部分もあったけど、うちのスタイルはなんら変わらずに、まったくブレずにやり続けて、そしてJ1に上がったというのはすごく価値があると思う。それをもっと多くの人に見られる舞台でやれたらさらにベルマーレというクラブの価値が上がると思う。このサッカーがJ1で出せたら、ある意味革命を起こせると思う(笑)」

改めて、その湘南スタイルのサッカーができたのはなぜでしょうか。

「やっぱり練習からじゃないかな。要所要所、突然出た選手が活躍したということもあった。ずっと出ている選手でも出られなくなるかもしれないという危機感をもって練習をやっていて、そういう緊張感が常に練習で生まれていた。練習でやったことしか試合で出ないっていうけど、あれだけみんな練習でやっていたから、最後逆転で昇格できたり、ホーム最終戦の時にギリギリでキリノが点をとったりだとか。みんなが必死にやってきた結果だと思う」

日々の積み重ねの重要性はこれからも変わりません。
コツコツと、そして一体感をもって過ごす日々です。

「僕はスタッフも会社の人もみんなが頑張ってやった結果だと思っています。もちろん、選手もクラブとしてももっとよくならなきゃいけないと思うけど、でも全部含めてすごい一体感があったと思う。来年、紘司さん(坂本選手)がいなくなったら責任感のないチームになってしまったな、なんて絶対に言われたくないし、みんなでまた力を合わせて頑張りたい」

団結力。
これをベルマーレの強みとして、また思い切ってチャレンジします!