馬入日記

【馬入日記:11月8日】湘南らしく戦うこと。大野選手インタビュー

11日の町田戦まであと3日となりました。
練習後、大野選手に話を聞きました。

ここ2試合(富山、鳥取)、しっかりゼロに抑えて完封勝利。
3バックの真ん中を担う大野選手。3人で連携よく守ると共に最終ラインからも“前へ”という意識で全体を押し上げています。

「鳥取戦は、前半は危ない場面もあったけれどゼロで終えられた。後半に限ってはほとんど相手に仕事をさせなかったと思う。相手はかなり蹴ってきたんですけど、後半はそれに慣れたということもあったし、DFラインとキーパー含めて連携がよくなったと思う。怖さもなかった」

後半、鳥取のシュートはゼロ。ほとんどの時間を支配しました。その変化とは…

「前半は前でなかなか起点が作れなくて、後ろもラインを上げにくかった。後半、フルさん(古橋選手)が入ったことで、受けてはたいてリズムを作ってくれるし、タメができるのでラインも上げやすかった。やっぱりフルさんはすごい、フルさんは絶大だな、と感じていました。ラインの上げ下げは後ろだけではできないし、チーム全体でやっていかないといけないと改めて感じました」

ところで、あの劇的な決勝弾のシーン。
キリノ選手の横には大野選手の姿がありました。なぜゴール前にいたのかと言うと…

「攻め残りしてました。けっこう長い時間ボールをまわしてたけど、その前のコーナーの時からずっと残ってた。あれくらいしか上がれる場面はないから。自分たちは、絶対に勝たなければいけなかったし、そのためにはDFラインが下がっていたら相手のゴールと距離が遠くなってしまう。自分個人としてはなるべく高く保って、相手のゴールになるべく近い距離でボールをとれるようにしようと思ってた。最悪、裏に走られても慌てず対応すれば大丈夫だと思ってた。とにかく、恐れずに大胆にやろうと。3人で連携がとれているし、みんなでチャレンジ&カバーしながらやれていると思います」と。

ゴールが決まった瞬間の気持ちはと言うと…

「嬉しい反面、めちゃくちゃ悔しかった。超悔しかった(笑)」と。

なぜなら、ゴール前に走り込みシュートしようとした瞬間、引っ張られてしまいシュートチャンスを失ってしまったから。横から現れたキリノ選手がしっかりねじ込みましたが、大野選手としては絶好のチャンスを逃してしまったわけです。

「内心、きたー!オレ、ヒーローになれる!と思ったら、全然身体が動かなくて。あれ?と思ったら引っ張られてた。本当にオレ、持ってない」

…と言いながらも、ゴール直後の写真にはこれ以上ないほどの満面の笑顔の大野選手が写っていました。「あの1点、ホントに大きかったと思います」と。

さぁそして、いよいよ迎える最終戦です。
「まずは自分たちが勝たないと始まらない。追う立場のほうが湘南のよさが出ると思うし、今年一年間、湘南のスタイルとしてやってきた、その集大成の試合でもあると思う。勝つこともそうだけど、結果を出さなきゃとビクビクするんじゃなくて、湘南らしさを出して勝ちたいと思う」

積み重ねてきた「湘南スタイル」を最後まで発揮したいところ。

「無失点できているけど、DFラインも引いて守ってゼロにしてるわけじゃない。攻撃的な姿勢を出した上でのゼロなので、それは自信に繋がる。やってることは間違いないと思う」と。

大野選手のアシストによる決勝弾で幕明けしたシーズン。もうラスト1試合となりました。
「あっという間ですね。でも、あっという間だけど思い返すといろいろあった。本当に濃い日々です」と。

ラスト90分も“らしく”戦います!

 

ところで!
実は昨日、大野選手は講演を行いました。

というのも、大野選手の出身地である新潟県上越市の小学生が修学旅行で東京にやってきているということで、この機会にぜひ講演をというお話をいただいたのです。

上越市立高田西小学校の6年生82名を対象に行われた講演。大野選手、講演前はかなり緊張していました。

拍手で会場に迎えられ、先生による紹介のあと登壇しました。高田西小学校は出身校ではないのですが、上越出身唯一のJリーガーとして招かれました。ちなみに、学年主任の村井先生は、大野選手の小学校時代に隣のクラスの担任の先生だったというご縁もあったのです。

まずは…
「ベルマーレクイズ」!
実はこのベルマーレクイズ、「ベルせん」でやったことがあるもの。まずはこのベルマーレクイズで緊張をほぐすと…

最初にプロに至るまでの道のりを話しました。
「ゴールを決めたことがすごくうれしくてサッカー選手になりたいと思った」というサッカーとの出会いから、中学生の時に訪れた転機として、県選抜や北信越選抜、ナショナルトレセンに参加するも、通用しなかった悔しさ、練習してもっとうまくなりたいと思ったこと。

そして、中3のときには腰をケガし、半年以上サッカーができなかった経験をしたことを話しました。

そして、一度は夢を諦めたが、アルビレックスのユース監督が声を掛けてくれて親元を離れたこと。ユースでは、プロの練習に参加し、通用せず自信を失ったこと。プロにはなれないと思った時に、ある人から「夢は諦めた瞬間に後悔に変わる」という言葉を聞き、チャンスがあるならとことんチャレンジしようとプロ入りを決意したこと…などを話しました。

そして今、プロ選手として、見に来てくれる人たちの前でプレーする喜びを感じていること。サッカーをやめようと思ったことはないけれど、壁にはぶつかってきた。それでもいつもポジティブな気持ちでこれまでやってきたと話しました。

そして大野選手が「みんなに伝えたいこと」として“3つの約束”の話をしました。

まず「仲間を大事にしてほしい。友だちは一生もの。いまとこれからの出会いを大事にしてほしい」と。

そして「感謝の気持ちを持つこと。とくに親への感謝。小さなことでも“ありがとう”を伝えるべき。恥ずかしさを捨てて、勇気を持って」と。

最後に「夢を持つこと。失敗は付きものだけど、失敗を恐れずにやってほしい。ツライこともたくさんあるけど、夢が叶ったときはそれ以上の喜びになる。その喜びをみんなにも味わってほしい」と語りました。

さらに、ボールを持ってきた大野選手と実際にボールを蹴ることに。

たくさんの希望する子どもたちと室内ながらもボールでパス交換。「速い!」と感嘆する子も。締めは、大野選手の小学生時代を知る村井先生と感動のパス交換!

質問コーナーではたくさんの質問が出ました。
「プロになるために心掛けたことは?」「サッカーをやめようと思ったことは?」「走るのがツライときはどうすればいいですか?」「ミスしたときにどう切り替えるか?」という大人顔負けの質問も。

そして「いまの目標は、このチームでJ1に行くこと」という力強い答えもありました。

子どもたちは「普段聞けない話を聞くことができてよかった!」「仲間を大切にって思っているつもりだったけど今日話を聞いて、ちゃんとやろうと思った」「夢を諦めないことが大事だと思った。自分も夢に向かって努力したい」「3つの約束をこれから続けていきたい」という感想がありました。

「やっぱり上越の子は純粋でかわいいなぁ」と大野選手。

最後はみんなで記念撮影をし、一人ひとりにサインをして終了。

子どもたちもとても喜んでくれましたが、大野選手自身にとっても本当に嬉しい時間。
最終戦を前に、地元の子どもたちから大きな大きなパワーをもらったことでしょう。