馬入日記

【馬入日記:8月8日】一体感と競争と。松本選手インタビュー

前節の横浜FC戦で2010年以来の公式戦出場を果たした松本選手。
前回の出場時はまだ順天堂大の特別指定選手でした。2年の時を重ね、プロになってからは初めての出場となりました。

まず試合全体の感想を聞きました。
「支配率も悪くなかったし、チャンスの数もうちのほうが多かったかなという印象。ただ、ワンチャンスをものにされてしまった。悲観的になるような内容ではなかったと思うけど、やっぱり勝てなかったというのは、一番悔しいところです」と松本選手。

また、自分自身については「落ち着いてプレーすることはできました。試合の前に、自分が以前出た試合とか学生の時の試合をビデオで見たんですけど、その時に比べたら自信をもってやれていたと思う。そういう部分では少しは成長できたかなと思います」と。

ビッグセーブもありましたが…
「いや、あのセーブで終わっていればよかったけど、あの流れのコーナーで失点してしまったので悔やまれます。あそこでもう1回引き締めてやれればよかった。それがあの試合の唯一の悔いです」と振り返ります。

失点のシーンは横浜FCの攻撃が重なった時。松本選手のビッグセーブの後のコーナーキックから、田原選手にヘディングで叩き込まれました。
とはいえ、大きなピンチはその失点のシーンのみ。ディフェンス陣と連携して、粘り強く守っていました。

「DFが身体を張ってくれるのは、この間の試合に限ったことではなくてずっとそうなので、安心して任せられる部分です。練習でもずっと一緒にやっているし、自分もいつ出てもいいように、練習からDF陣とは話をしていたので、うまく協力して試合を運べたとは思います」

この1試合、松本選手にとって本当に大きな90分でした。

「硬くなりすぎて何もできないのは嫌だったし、誠一さん(齋藤GKコーチ)も“楽しめ”と言って送り出してくれた。特別指定の時からここにいて、再びチャンスがもらえるまでに、ケガやいろんなことがあった。誠一さんには、僕をイチから叩き直してもらったというくらい、すべてを変えてもらったと言っても過言ではないと思うくらい、いろんなことを叩き込んでもらった。だから、あの1試合に勝って恩返しというか、ここまで自分自身を変えてくれてありがとうございますという想いを伝えたかった。それに、サポーターの方からも“ずっと待ってるよ”と言ってもらったり、フロンターレのサポーターの方もここまできて激励してくれたり。そういう方たちも頭に浮かんできた。どうしたら喜んでくれるのかなと考えたら、とにかく楽しんで、気持ちの入ったプレーを見せることが一番だと思っていました」

プレーしている松本選手は、試合を楽しんでいるように映りました。溌剌と、堂々とプレーしていました。

以前と一番変わったところは?と聞くと…
「一番は自信がついたと思います。前に出るのか出ないのかということでドタバタするんじゃなくて、こうだと決めて、迷いがなかった。そこは一番変わったところだと思います。僕にとっては、まだようやくスタートラインに立てたという感じ。やっぱり特別指定の時に出るのと、しっかりと仕事になってから出るのとでは心境は全然違うなと感じています」と。

サポーターの一番近くでプレーをするのがゴールキーパー。ましてやニッパ球のような近さであれば、声はこれでもかというくらいに届いていたことでしょう。

「キックオフの寸前に名前を呼んでもらって、めちゃくちゃ鳥肌が立って、泣きそうになってしまった。“止まってくれ!”と思ったら止まったんですけど(笑)。でもあの声援は…ぐっときました」

さぁすでに、新しい1週間が始まっています。
次節はアウェイでアビスパ福岡との対戦。毎週のことですが、GK3人の激しい競争が行われています。

「横浜戦の1試合で得るものは大きかったし、試合に出なければ分からないことはあるので、それを経験できたのは自分のプラス要素です。これで、今季3人とも試合に出たことになる。また試合に出してもらえるように頑張るだけです。GK3人は一人ひとり個性が違うけど、すごく一体感がある。一人ひとり、いいプレーができるように頑張れば、チーム全体、フィールド全体のレベルも上がっていくと思うので、3人と誠一さんとでまた頑張っていきたいです」

“一体感”と“競争”という真逆の状態が、ベルマーレの中では常に起こっています。
切磋琢磨して過ごす日々は、成長の日々です。