馬入日記

【馬入日記:5月29日】新しい1週間のスタート!馬場選手インタビュー

北九州戦に向かう新しい1週間がスタートしています。(北九州戦は珍しく土曜日開催です)

日曜日の徳島戦は0-0のドローという結果でした。
5試合連続の引き分けと、勝ち切れず悔しい試合が続きます。
徳島戦は、遠藤選手の負傷退場、そして大野選手の退場により10人になるというアクシデントがありましたが、気迫で守り切り、さらに守るだけではなく勝ちにいく姿勢をみせた試合でした。

今日の練習後、馬場選手にじっくり話を聞きました。

「先週、プレーの質を上げようという練習をしてきて、そういう意識をみんなが持った中で練習ができたし、練習の中ですごくよくできていたと思います。練習でできてすぐに試合でできるかというのは難しところでもあって、実際の試合では、よくなったとは思うけど、まだまだもっとよくなる部分があると感じました。曺さんが言っているとおり“第2ステップ”に向かうにあたっての意識づけはすごくよくなっていると思う。そこに、相手が入って、プレッシャーがかかる中で、やれるようにしなければいけないと思っています。でもそういう意識的なプレーはいくつか出ていたから、改めて成長段階にあるチームだと感じました。開幕当初の頃のように、守備で圧倒して、攻撃に勢いをもってという回数は少なくなっていると思うけど、ひとつひとつの質は上がってきていると思います」と馬場選手。

当然のことながら、対戦相手のチームは研究してきています。前からプレッシャーにくるなら大きく蹴ってくるという対策をとられているため、前からプレッシャーにいこうにもいけない状況もあります。

「栃木戦が終わった時、マツさん(栃木 松田監督)と話した時に“あれだけよければ、どこのチームも警戒してくるね”という話をしてもらったんだけど、やっぱりどこのチームも本当に研究してきていると思う。分かりやすく、前からプレッシャーがかかるんだったら蹴ってくる。でもそれで、僕らは相手のそういうサッカーに付き合うんじゃなくて、自分たちのスタイルを貫くんだと曺さんがいつもはっきり言ってくれているとおり、スタイルを貫いて、その質を上げていくことだと思っています。自分たちのスタイルを信じ続けることが大事だと思う。個人的にも、勝ててないのは本当に悔しいし、申し訳ない想いもすごくあるけど、自分たちのスタイルが間違ってるかって言ったら、全然間違ってないって思う。そういうところはみんなブレずにやれている。もうひとつ質を上げるという意味では、若いチームが少しずつ大人のチームになっていく上で、“次の段階にいく”という曺さんの言葉を聞いて、自分たちも次の段階にいくんだという前向きな気持ちでやっています」

5試合連続の引分け。勝利がないということであると同時に、負けていないということでもあります。
ここまで16節を戦って2敗はリーグ最少です。

「試合後、紘司さん(坂本選手)と“絶対に次は勝てると感じるものがあった”という話をしました。“全体的に前向きなものが出ていたし10人になっても諦めないという姿勢は絶対に次に生きるから信じてやっていこう”と。全員が勝てないマイナスな気持ちではなくて、勝てない悔しさをプラスに変えようしている雰囲気がある。誰も違う方向に行かずにやれているところが、勝てなくて悔しいけど、成長しているんだという実感に繋がっています。僕は去年いなかったけど、去年いた選手はここで引き分けにもっていけているのは、違う部分だと思うと話していたし、大事なことだと思います」

一人少なくなり、10人で戦うことになった時の意思統一もはっきりとしていました。
「僕は最初ちょっと勢いでいってしまったんだけど、フルさん(古橋選手)と2トップになった時に、フルさんが冷静に全部前からいかずにしっかり狙おうとしているのを見て、気づくことができた。そこからの全員の意思統一はすごくはっきりしていたと思う。前としても、後ろの“意思統一するんだ”という想いを感じながらプレーしていたし、正直僕は1点とれるんじゃないかと思っていました。それくらい、後ろが力強かった」

一人少ない中、アディショナルタイムが5分という表示が出た時、通常ならば、「長い」「早く終わって」と感じるものですが、徳島戦ではそうは感じなかったという方も多かったのではないでしょうか。

「10人だから早く終わってくれなんて思わなかった。早く終われ!が普通だと思うんだけど、やっぱりこのチーム、普通じゃないから(笑)。笛が鳴った時、もう1、2分あるんじゃないかって思った。選手の投入を見ても、入ってきたのは祐也(中村選手)だし、“よし、点とりにいくんだ”と思えた。前に僕と祐也がいて、一発は狙っていこうって話をした。そこまでもっていけなかったというのはやっぱり力不足だったと思う。10人でも、うちのチームはみんなそれ以上に走れるから、もっていける力はあると思っていました。だから終わった時の感覚としては、10人で引き分けにもちこんだというよりは、点がとれなくて力不足だということだった」

がむしゃらにボールを追い、走り、体を投げ出して守り、なんとかしたいという気持ちの伝わるプレーでした。

「それは…本当にサポーターの力なんですよ。この間は特に、例えば追ってスライディングで外に出した時に起こる声援で、もともと100あったパワーが10になっていたとしても、20とか30に跳ね上がるような感覚だった。キツイけど、まだ走れた。それは、何かっていうと、サポーターの作ってくれた雰囲気が本当に後押ししてくれた。本当にそうなんです」

「それからもうひとつ…」と馬場選手が言ったのは、チームメイトの存在。

「航(遠藤選手)がすごく悔しそうにしているのを見て、後半に入る時、ロッカーでみんなに“今日は航のために勝たなければいけない”という話をしました。航が背負ってるものというのは、19歳のアイツにとっては重すぎるものだと思う。航は泣いていたけど、航がいなければ勝点いくつとれてないんだっていうくらい貢献度が高い。たかがPK1本外したくらいで、当然、誰も何も思わない。そういうものを航はあの歳で背負って、すごく責任を感じていた。だったら、航の感情をみんなで想って、どうしても勝ちたかった。これまで、プレッシャーある中で3本も決めてきた。アイツは本当にすごいとみんな思ってるから、たまには、オールドボーイズ(笑)が助けないと。そういう、いろんな状況があって走れたんだと思います」

PKのことも、負傷退場となってしまったことも、どれほど本人が悔しいか。それをチームメイトが感じ、代わりに取り返してやるんだという想いをプレーにぶつけていました。

試合後、阿部選手が「10人になってからも、賢治とヤマ(山口選手)と紘司さんの、チームのために掛ける声にみんなが助けられた」と話していました。

「声は、自分の役割の一部になっていると思います。最初は意識的に声を出さなければいけないと思っていたけど、徐々に声かけは当たり前のようにやらなければいけないものに変わりました。ピッチの中では、後ろと一番前が、一番全体が見えるんです。特に、攻められてる時はみんなの表情が見える。顔を見て“なんて声をかけよう”って考えてプレーしています。ただ僕にとっては、ヤマさんと紘司さんがピッチにいてくれることが本当に有難いことだった。プレー云々以上に存在によって落ち着く。いることで、大きいなと感じた。紘司さんが、体を投げ出して戦ってる姿勢で会場の雰囲気をガラっと変えたし、スライディングでシュートブロックしているのを見るとまたパワーが湧いてきた。紘司さんがあれだけやってたらやらなきゃいけないって。僕なんかまだまだだと。自分がみんなに声をかけていこうという意識を持ち始めてから、改めてそのすごさや力というのを感じます」

試合を重ねれば、ケガ人が出たり累積警告で出場できない選手も出てきます。
それがシーズンを戦うということです。

「ケガなくサッカーをやらせてもらってる有難みを感じながらプレーしなければいけない。誰でもみんな、1回は悔しい想いをする。そういう時に、悔しさを知ってるヤツがどう支えるか。そういうところを大事にして、みんなで戦っていきたいと思います」

エネルギーが湧いてくるような言葉の数々。
チーム全体のことを考え、仲間を想い、支えてくれる人を心から大事にする。
湘南ベルマーレはここからだ。そう思える芯の強さを感じました。

次節、アウェイで北九州と対戦です!