監督・選手コメント
J2リーグ第14節 湘南ベルマーレvs大分トリニータ戦 監督・選手コメント
試合結果詳細はこちら
>>試合結果詳細
【監督コメント】
●曺監督 総括
連戦で勝ちがなかったのでちょっとフレッシュにして、もう一度湘南のサッカーを取り戻そうということで、ゲームに臨んだのですが、大分さんがいつもと違うシステムにしてきたこともあって、少しマッチアップが上手くいかないなぁという感じがしたんですけど、ただそれを差し引いても我々の良さが前半はまったく出せなかったというゲームだったと思います。
それが後半修正されて、少し自分たちのリズムにはなりましたけど、やはり失点のケースもしかりですが、前半の払った代償が後半取り戻せなくて結果勝ち点1に終わってしまったと。まぁ、ポジティブにとらえるなら勝点1を取ったということなんですけれども、僕たちは毎試合勝点3を狙ってやっているつもりなので、そういう意味では、少し残念な気持ちと、よく取り返したなという気持ちが半々かなという状態です。
我々のサッカーを、ということで、当然相手もうちを研究してうちのウィークをついていこうということだったと思いますが、今日に関して言えば失点のケースを除いては後ろの3バックとサイドハーフのディフェンス、キーパーとの連携というものをちょっと見直していたんですけど、コンパクトに保ててましたし、そういう全体の規律という意味では今までの試合よりは良かったかなと思います。
なので、ちょっとあの失点のケースとか、やっぱりやらずもがなのミスが出るというのは、僕の指導がまだ行き届いていないということなので、そういうところの質を高めない限り、上には行けない。あそこで、ミスをしてはいけない所でミスをしてしまう、それはチャレンジしたミスだったら良いんですけれども、なんとなく集中力が欠けたミスが出るというのは、まだまだチームとしての甘さがあると思っています。その辺りをしっかり改善して次の栃木に臨んでいきたいと思います。
●曺監督 質疑応答
–大槻選手を今までにない右サイドで使ったが大槻選手に求めたものはどんなことか?
練習試合で何回かやっているので初めてというわけではないです。後半はサイドに上手く起点を作らないと攻撃のテンポが上がらないなということを思っていました。あそこに左利きの選手を置くとシャドーにボールが入りやすくなるし、ちょうど古橋と祐也(中村)が入ったタイミングだったので。
あそこから上手くコンビネーションで崩していこうというところで狙っていました。大槻は足が止まらないですし、守備力もそこそこある。またチームの違ったオプションになるかなと思います。
今日は出られなかったんですけど、猪狩もそこにはいますので、色んなタイプの選手を組み合わせて今後やっていきたいなと思っています。
だから自分の中では別に初めてやらせたポジションと言うよりも、試していたのでその辺りのイメージは出来ていたつもりでした。公式戦では初めてでしたね。
–前半の湘南らしくなかったという原因はどこにあるのか?
ハーフタイムの最初の5分間、何だろうと思って考えていたんですけど。それが分かれば多分、前半ああいうことにはならなかったと思うんですけども。
自分たちが連勝していたときの選手のイメージと、勝てなくなったときのイメージが選手の中で相反しているというか、初めて試合をやって新鮮な中で「やってやろう」っていうチャレンジしようという時の気持ちと、これやられたらどうしようということがそういったところに出るのか。行くのか行かないのかというところも含めて思い切りがないなと感じています。
それは、ひとつは相手の形もあったんですけど、自分たちが主導して自分たちで握っていくということが最近の試合で少なかったので、そこを少し引きずってしまったかなと思います。
精神的に、後ろ向きではないんですけど、“安全に”という意識が働きすぎちゃったのかなと今は思います。
–今の状態を脱却するためにはどうしらいいのか?
練習の中でも試合の中でも、シーズン始まりから言っていることは全然変えていないんです。
ただ、選手は監督じゃないですから、選手が自分の肌で感じるボールと自分と相手とのフィーリング感。それっていうのはやっぱり自分たちが一生懸命やったことで結果が出なければ、なんとなくダメなんじゃないかと思って、少し判断が遅くなったり、少し顔出しが遅くなる。それがチーム全体に波及していると自分は思っています。
我々のチームはJ1で去年までやっていたという選手たちばかりじゃない。
今やっているのは、もしかしたら彼らにとっては失敗体験に近いことかもしれないですけど、成功体験もしなければいけない。ただ逆に言えば、ゲームの中で上手くいかないなという失敗体験も、彼らが本当に一人前になっていくためには必要だと思うんですね。
だから、選手が成長する過程の一つの道筋だと僕は捉えているし、シーズンを通して右肩上がりにずっと行くとは最初から思っていませんでしたから。
相手が来て、じゃあコンパクトにうちがやろうとしたけど、そこで判断のミスとか、チャレンジしないようなミスが起きてしまうと。それは、精神的なこともひとつあるし、勝ってきたことによって、失敗してしまうとちょっと恥ずかしいなというものもあるかもしれない。
以前なら、失敗してもいいじゃんって思えるんだけど、やっぱりその位置にいちゃうとどうしても人からどう見えるかっていうことが気になっちゃうと思うんです。
そういう精神的な自分の立ち位置というのが開幕の時と今は確実に変わっている。変わらざるを得ないところで彼らはプレーしている。これは、ドルトムントやマインツなどドイツのチームでもきっと同じことだと思うんですけども、勢いだけでは絶対に勝てない。
やっぱりそこで、成功体験も失敗体験もしっかり自分の中で入れて、じゃあ俺は何をしなければいけないのかということに戻る、ひとつの時期かなと僕は捉えています。
–勝っていると上しか目に入らず、現実とのギャップをどう埋めたらいいのか?監督のチームマネジメントとしてはどうか?
自分が考えているのは今まで14試合やって、今日の試合も含めてですけど、どの試合も実力差が出て勝ったという試合はないんですよね。本当にギリギリのところで勝ってきて、それがどっちにいっているかという話なので。
選手に対して言うのは、チャレンジするミスと集中力が足りなくて起こったミスでは、ミスの種類が全然違うと。集中力のないミスがそういう自分たちが新鮮な時に多くあるかというと実はそんなにないんですよ。
今、やっぱりこういう時期で連戦を重ねることによって、試合に対する新鮮感も少しずつ薄れてきている。でもこれは僕が監督で初めて試合したときと同じで、人間というのは慣れてくると自分でなんとか新鮮さを作らなきゃいけない。
そのために、先発で出たり、サブで出たりということがあるかもしれないし、練習内容もフレッシュにしていかなければいけない。
僕は今、湘南が目指すハイプレッシャーでコンパクトな中で縦にボールを入れて味方を追い越していくというスタイルを磨いていくしか、この湘南ベルマーレというクラブの魅力はないと思っています。今更、違うことをやりましょうっていうのは違うと思います。上手くいかない経験の中でも、僕はそれはひとつの積み上げだと思っています。そういう積み上げのプロセスをしっかり踏ませてあげたいなと思っているんです。
最終的に42試合終わった時に、ああいう時期もあったけど、やっぱり湘南はここでやりきったなと。それを貫いたというふうに僕が持っていくことが一番彼らにとって大事だと思っています。
勝てていないことを人がどうこうじゃなくて、自分がどうだったかという矢印を向けろよと言っています。
そういうことって大事なことだと思うんです。サッカー選手だけじゃなくて人間としてもそうだと思うんですけど。そういう部分で彼らが向き合う時間にしてもらいたいなと思います。
この5試合が5連敗で終わったかもしれない。でもギリギリのところで引き分けに持ってきているのは、彼らがその中でも学んできているところだと思うし、それをポジティブに捉えて次の栃木戦に臨みたい。この栃木戦に勝てば、この5試合というのはすごく意味がある。開幕で京都さんに勝った以上に意味のある勝利だと思っています。
選手と一緒に苦しんで、苦しみ合って、なんとか光を得たいと思います。
●田坂監督 総括
まずはじめに、いつも大分出身の関東のサポーターの方がたくさん集まってくれて、今日も終わったあとに非常にあたたかい声を掛けてくれた。選手に対して下を向くな、また次やろうという声を掛けてくれたので、非常に感謝したいと思います。
今日の試合内容も、選手は非常によく戦ったんじゃないかと思います。なにがよかったかというと、ボールをしっかり動かせた。ここ数試合はボールを動かせる試合が徐々に増えてきた。とくの今日の前半は、もちろんシュートまではなかなか行けなかったが、しっかりボールを保持してサイドや背後を突いたところは、うちの狙いとしているサッカーが徐々に出始めている、非常に匂いを感じる。もちろんフィニッシュのところで精度を高めるトレーニング、枚数や入りなどはしていかなければいけないが、開幕から着実に進歩している。正直に言えば、こういう試合内容で勝ちたかったが、失点の場面は古橋がいいボールを蹴りましたし、あれはしょうがないというところ。
選手に言ったのは、つぎの試合で勝点3を取ればこの1が活きるので、ぜひとも町田との試合、また準備して戦いたい。
●田坂監督 質疑応答
–前半は守備が効いていたと思うが徹底したスカウティングを?
もちろんスカウティングはどのチームに対してもやっていますが、あえてこの試合のために、いままでダブルボランチだったが1アンカー、2トップ2シャドーに変えた。なぜかというと、湘南とやるときはシステムが一緒でマッチアップするので、どうにかしてギャップをつくりたかった。この試合まで温めていたやり方で、そこがうまくいった。やはり宮沢のところがフリーになったし、村井と為田がすこし高い位置を取ることによって、ハンと永木の横でボールを受けてしっかり起点になった。最後の崩しはうまくいかなかったが、中盤でボールを動かすことと、守備も堅いディフェンスができた。アンカーにして2シャドーがしっかりボランチの横、アンカーの横を固めるというところで、映像を見直さなければわからないが、中をやられたシーンはカウンター以外ほとんどなかったのではないかと思います。
–昨季まで前田俊介という天才がいたが、天才を中心にチームをつくるのと、イーブンな力の選手たちをハードワークさせるのと、どちらのほうがやりやすいか?
やりやすいというのはないですが、僕はどちらも好きです。
天才がいたら、天才はやはりすごい感性があるので、とくに去年、俊とぼくは初めて出会って、いままでの評価も話も聞いていたが、実際やってみていろんな角度で彼にアプローチしてあげれば、チームプレーもできるしなおかつ自分のよさも出せる。去年に関して言えば非常にハードワークもできたし点も決めてくれた。
かといって天才がいないチームも、僕自身作り上げるのは好きです。なぜかといえば、ひとに頼ることなく、みんなで今年はとくに戦いましょうと。誰も天才はいない、スーパースターはいない。俺たちはまだJ2で何も結果を出してないチームだと。そのためにはみんな一人ひとりハードワークしなければいけないということと、チームのやり方をしっかり全うしようと。それに疑いの気持ちを持っているとできない、何も達成できない。最後の責任は自分が取るから、そのためにみんなはいまやっていることを追求し、質を上げていこうという話はシーズン前からしてるし、それが開幕してから徐々によくなっているという感じは受けています。
まだまだ理想を言えばもっとやらせたい部分もあるし、もっと育てたい選手もいる。為田の名前を出すのはなんだが、去年より非常にいいパフォーマンスをしているし、もっともっといろんな選手を育てたい。
逆にその中から天才を出してやりたいというぐらいの気持ちで頑張りたいと思います。
【選手コメント】
●古橋達弥
全体的にボールが前に運べていなかったので、前で動き出して起点を作らなければいけないと思って入りました。後ろの選手がボールを持った時に前で動き出そうということを意識しました。
自分が入ってからも、もうちょっと厚みのある攻撃をしたかった。ボールの失い方が悪くてカウンターを受けることもあった。もう少しうまくゴール前までボールを運びたかった。
(アシストのシーンは?)ニアに入ってくる選手が見ていたので低めのボールを蹴ろうと思った。航(遠藤)の入り方がいいし、自分がそこに合わせればきっちり決めてくれる。
(前半を見ていて感じたことは?)ボールが横横で、後ろでまわしていることが多く、相手が怖がるようなボールが入らなかったしゴール前にいくシーンが少なかった。相手が嫌がるところにボールを入れて、そこに絡む選手がいなければ相手も怖くない。全体的にボールを前に運んでそこにサポートいくという意識を増やしていったほうがいいと感じていました。
(以前との変化は?)コンパクトにしようとはしているけど以前より前の3人のアプローチの距離が長くなっている。相手が下りてきて数的優位をつくってまわしているので、そういう状況の時に無理にガンガンいっても、相手もうまいのでなかなかとれない。相手もしっかり自分たちのことを研究してきているし、そう簡単にはやらせてもらえない。
そこはしっかり、追い込めそうな時に追い込まないと、がむしゃらにいくだけでは難しいのかなと思います。
ただ、前で起点を作らないと押し上がっていかない。全部が全部後ろからつないでいくのは難しい。そういう時と、しっかり前で起点を作って時間をつくって押し上げていく時と2つの戦い方ができればと思います。
ゴール前にいくシーンが減っているので、そこは増やしていかなければと思います。
(勝てない試合続いているが?)あまり考えすぎずにやっていったほうがいいのかなと思います。若い選手は考えすぎるとよくないと思うので。ピッチに出たら本当に自分のプレーを出していく。それを全員がやっていければ変わっていくと思う。これからです。
●遠藤航
(得点シーンは?)マークの前に入ればチャンスになると思って入りました。フルさん(古橋選手)がいいボールをくれました。
前半と後半をみても分かるように前半は体が動いていなかった。相手というより自分たちに問題があったと思います。
個人としてはやりにくさは感じなかった。できるだけ相手のワントップに対して強くいって自由にさせないことを意識していました。そこで制することができるかどうかでリズムが変わってくると思っていました。そういう意味では、ほとんど勝てていたし特に後半はセカンドも拾えていたので、そういうところは続けていきたいと思います。
(攻撃については?)できるだけサイドチェンジを多くしてポゼッションができればと思っていました。後半はよくなってきた部分はあったんですけど、少し味方同士が近くてなかなか大きな展開がなかったので、そういう部分で修正を加えながらポジショニングできれば2点目がとれたかなと思います。
●大野和成
90分を通して失点の場面以外は危ないシーンはなかったし、本当にあの1点だけ守り切れればという気持ちです。
失点に関しては、フォーメーション云々ではなく、一瞬の気の緩みだったと思う。それは絶対に修正できる部分なので、来週、同じ過ちを繰り返さないようにしたい。
勝ち切れないことがまだまだ。最初に失点してしまうとどうしてもゲームプランも後手にまわってしまうので、ディフェンスとしては頑張ってゼロに抑えて先制点をとって、いい形で試合を進めたい。そこはもっと意識しなければと思います。
●阿部伸行
失点のシーン以外は体を張って守れていたし、セットプレーも集中していたと思います。試合前、DF3人とコンパクトにしてやろうという確認をしていたんですけど、そこもしっかりできていた。うちの3バックは全員1対1が強いし、今日もいい対応をしてくれていたと思います。後半、よりコンパクトにしたからこそ、いい守備から攻撃にも繋げることができたと思います。
(終盤、ビッグセーブもありましたが?)あの場面も、隣で航(遠藤)がファーを切ってくれていた。みんなで守るというテーマがプレーで出せた部分だと思います。
他にも、守備が集中しているなと思うシーンがいくつもあった。間違いなく次に繋がる試合になると思う。もちろんホームだし勝ちたかったけど、次の試合は自信をもって戦えると思います。
失点のシーンは、ああいうシーンが試合の中で全くないということはないので、その1本がきたところで抑えるというのがGKである自分の仕事だと思っています。最後、ボールを触ったんですけど浅かった。第一関節でしか触れなかったんですけど、あともう一関節分くらい深く触れればポストに当たったシュートだったと思う。
栃木戦に向けては、今日やれたことはまたそのままできるようにすること。90分トータルでいいパフォーマンスが出せるように、前半からエンジン全開でいきたい。トータルでいい時間を作れるように、栃木戦までの5日間の練習の中で、チーム全員でしっかり意識してやっていきたいと思います。