馬入日記
【馬入日記:9月7日】猪狩選手、復帰に向けて一歩一歩。
昨年の9月11日、ヤマハスタジアムで行われたジュビロ磐田戦で猪狩選手が負傷しました。
診断結果は右ヒザの前十字靱帯損傷。
突然のケガからもうすぐ1年。ずっと地道なリハビリを続けてきた猪狩選手、いよいよ復帰の日が近づいています。
「今日、ほんの一部だったけど練習に合流できました。やっぱり…楽しかったです。来週、ある程度合流できればと思っています」と猪狩選手。
「あと4日でケガをして1年になります。この1年間はめちゃくちゃ長かったですね。でも長かったけど“もう1年か”とも思う。ケガをして一番初めに馬入に帰ってきた時のことを思い返すと、すごく遠い昔のことみたいに思うんですけど、と同時に早い1年だったとも感じます」
ヤマハスタジアムからクラブハウスに帰ってきた時のことを今も鮮明に覚えているそうです。
「ただただ、(ケガの具合が)どうなんだろうって考えてました。呆然と。検査してなかったからはっきり分からなかったけど、でもスタジアムでドクターに診てもらって、だいたい言われていました。まさか自分がヒザのケガをするなんて思わなかったし、こんなに大きなケガをするとも思わなかった。診断結果が出てからは3日間くらい落ち込みました」
3日くらい落ち込んだと言いますが、その様子は周囲には見せず、明るく元気ないつもの猪狩選手を貫いていました。
「いろんなものが詰まった1年でした。いろいろなことをじっくり考えられた。結局やりたいことはサッカーしかないと思い至った。最初はこの際だから色々なことをやってみようと思ったけど、どうも気乗りがしなかった。“自分にはやっぱりサッカーなんだな”という再確認をした」と。
リハビリとは、とにかく地味なトレーニングの繰り返し。
「本当に超地味ですね。でも結局はそれが大事なトレーニングなんです。最初は歩くこともできなかったから足がつけた時はそれだけで嬉しかったし、徐々に徐々にいろんなことができるようになっていったから、その度に嬉しかった。特にボールを蹴り始めた時は感慨深かったですね。実は、本当にボールが蹴れるようになるんだろうかと思ってたんです。でも蹴ることができた。本当に回復するんだなと感じられた。やっとここまでたどり着いたか、と」
大きなケガも手術も初めてでした。
そして何よりもつらかったのは「8ヶ月くらいでいよいよ復帰だという時に、今度は半月板もやってしまった。その時が一番きつかった」と振り返ります。
「小川さん(PT)には弱い部分を見せていたもしれない。メディカルのスタッフの存在は大きかったです。それに、チームのみんなの存在が大きかった。今年は初めからリハビリだったけど、みんな本当に普通にチームの一員として接してくれたし、リハビリだからっていう壁はまったくなかった。そういう仲間に本当に恵まれてたと思う」と。
チームメイトもまた、猪狩選手の頑張る姿に刺激を受けたり勇気をもらったりしたはずです。
「この間、モチベーションビデオみたいなDVDを作ってくれたんです。3、4試合前くらいのミーティングでみんなで見たんですけど、一人ひとりのいいプレーが入っていて、そこに僕のプレーシーンも入れてくれてたんです。ケガをしたシーンも出たし、リハビリしてるシーンも。それで最後にゴールした時のシーン(札幌戦)が出て…。終わった後にみんなが“お前のところ、一番感動した”みたいに言ってくれたんです。僕自身は、ただ純粋にサッカーやりたいって強く思いました」
最後に、今後に向けての想いを聞きました。
「チームとしても何かしら流れを変えるような選手が求められていると思うし、そういう中にすぐにでも入っていけたらと思う。起爆剤じゃないけどそうなれたらいいなと思います」
サッカーへの一途な想いと共に、一歩一歩、着実に積み重ねてきました。
より強くなった猪狩選手、ご期待ください!