ボイス

【ボイス:2024年8月30日】鈴木淳之介選手

フィジカルをカバーする
駆け引きを楽しみたい
 鈴木選手がスタメンで起用されるようになったタイミングと重なるように、チームも試合内容と勝点が結びつくようになってきた。

「それはたまたま重なっただけかもしれないので。自分が出ているときのイメージですけど、本当に相手の一発だけで負けた試合が何回かあった。今はそこを後ろが耐えられているっていうのもあると思うし、前の選手が頑張って追ってくれているのもあるし、ちゃんと決めてくれているっていうのもあって、いろんなことが重なって今があるのかなと思います。でも、3連勝とかもありましたけど、勝点差も近いですし、満足したらすぐに下に追い越される。だから、そんなに先のことは考えず、次の1試合1試合のことだけを考えてやっていくだけですね」

 内容の良さを勝点に結びつけられなかった苦しい期間もあったが、選手たちは常にポジティブだった。

「負けが込んでくると、外から見ると雰囲気も悪く見えちゃうこともあるのかもしれないですけど、チームの雰囲気はずっと良かったので、特に気にすることはなかった。だから劇的に何かが変わったわけでもないと思います。みんなが持ってる力を出して、一人ひとりが戦っている結果が連勝だったりにつながっていると思うので、みんながやり続けた結果だと思います」

 チーム力を表すものに、ポジション争いの激しさもある。積み重ねて今のポジションを掴んだという思いがある分、譲りたくない気持ちも強い。

「気を抜いたらすぐに抜かれるという感覚があります。満足してたらすぐに抜かれると思うので気を引き締めてやっています」

 試合出場の機会を掴んでいるのは、慣れ親しんだボランチのポジションではなく、3バックの一角であることについても新たなチャンスと捉えている。

「出たポジションで自分の力を100%出せればいいなと思っているので、ボランチをやりたいとかは今はないです。出られればいい。1〜2年目と、なかなか試合に出られない時期が続いたなかで、こうやって連続して先発で出ているのはすごく楽しいですね」

 試合に出場しているものの、課題はまだまだたくさんある。

「試合の中で簡単なミスを何回もしてしまいますし、そういうところをなくしてもっと突き詰めてやれば自分の力は出せると思う。自分が中盤をやっていたからわかるんですけど、後ろのミスは影響が大きいのでノーミスでやりたいっていう気持ちは常にある。試合の中での細かいミスは本当になくしたいですね」

 今、足りないと感じているものは2つある。一つは90分を走り切る体力だ。試合終盤に交代することも多い。

「90分持たなくて。後ろがバテちゃうのは情けないので、もうちょっと頑張りたいですね」

 そしてもう一つが筋力。特に最終ラインにいると、身体能力の高い外国籍のフォワードとも対峙することが多い。

「日本人ではありえないような体つきをしている強いフォワードもいるので、当たり負けしない、そういう選手にも勝てるような体にはしたいなと思っています。今はまだ、負けちゃいますけど」

 ただし鈴木選手には、今はまだ足りないフィジカルの強さをカバーするものがある。それは、「駆け引きを楽しむこと」。

「頭を使えばどんな敵でも倒せると思うので、考えながらやっていきたい。駆け引きのところで上回れれば優位に立てると思うので、体では敵わないかもしれないですけど、いろんなことを考えてやっていきたい。サッカーは逆を取ったりとか、騙し合いだと思うんです。相手を剥がすのも駆け引きだと思うし。そういうことを目の前の相手とやるのは楽しい。ずる賢く相手と駆け引きするのは楽しい部分でもあると思うので、やっていきたいですね」

 鈴木選手曰く、サッカーの本質は、「騙し合い」。

「相手といろんな駆け引きをしながら。最終ラインは、特にフォワードとの駆け引きがたくさんあるので、そういうことを楽しみながらサッカーをしたいですね」

 試合を重ねるごとに成長が見える鈴木選手。今後は、フォワードとの駆け引きでどんなプレーを見せてくれるのかにも注目したい。

取材・文 小西尚美
協力 森朝美