ボイス

【ボイス:2024年6月13日】髙橋直也選手

自分の良さを活かして
チームの攻撃力につなげたい
 アマチュアからプロへ。立場が変わったことによって同じチームでプレーしても、気持ちの持ちようが変わった。そこには、これまで経験してきたサッカーとはまた違ったスタイルのサッカーを実践する影響もあった。

「どちらかというとポゼッションのサッカーしかやってこなかったので、攻守に速いというのは難しさも感じますし、自分に足りないものかなと思いますけど、湘南に入るときは、アグレッシブで攻撃的なサッカーという印象を持っていて、そのなかでも後ろから繋ぐとか、後ろから縦パスを入れるとか運ぶとか、そういうプレーが多く見られたし、そういうスタイルを目指しているという話は聞いていて、そのなかで自分がそのポジションに入ったときをイメージしてみて、チームの攻撃をよくできるんじゃないかという思いはありました」

 これまでとは違うサッカースタイルのチームへの加入を選択する際、気持ちを後押ししたのは山口智監督の存在。

「ユースの頃、トップチームのコーチだったので、現役時代のプレーをよく知ってるわけではないんですけど、すごい選手だったっていうのは分かっています。智さんが自分の良さを知ってくれているから湘南に加入できたと思うし、試合にも使ってくれたりしていると思う」

 意識を変えて工夫することでベルマーレが志向するスタイルのなかでも自分の良さを出せるようになってきている。手応えを感じるなかで、出場機会も得られるようになった。

「(ヴィッセル)神戸戦(4月20日開催第9節)は、結構良さを出せた試合だったと思います。ボールが来て相手を1枚、自分のドリブルとかターンで剥がして数的優位を作るとか、味方に余裕を与えるとか、前進するというのは通用したので。1枚剥がすところだったり遊び心を加えるだったりが自分の良さなんで、そういったところが評価してもらえてるのかなと思います」

 しかし、拮抗した展開のなか最後まで善戦した神戸戦で存在感を発揮した一方で、最後の最後で失点にも絡んだ。

「難しい選択をしてしまったのは自分だし、難しい選択をしたのなら成功させろっていうのは、自分でも思いますし、監督にも言われたことですね」

 馴染んだサッカースタイルが影響したプレーの選択だった。

「今までずっと周りに繋ぐという選択をしてきたんで、今、その選択をしようとしたときに周りに選手がいないというのは、結構あったりします。繋ぐというか、出したいところにいないというか、もうゴールに向かってる。そういった難しさは感じます」

 今も感じる難しさ。とはいえ、その違いを理解し、スタイルを実践するなかで自分の幅を広げることが、本来持っている自分の良さをベルマーレで活かすことへつながる。今は、その道を山口監督の指導のもとに歩む。

「智さんの言ってることとかやってることを吸収してうまくなりたい。なんて言ったらいいですかね、智さんの言うことは自分の身にしたいと思いますし、例えば、ほかの人が同じことを言っていたとしても智さんの方が響くものがあります」

 例えサッカースタイルが違っても、髙橋選手に求められるのはアグレッシブに攻撃に絡んでいくプレーだろう。髙橋選手の個性が輝くときと、ベルマーレのサッカーが進化していく未来は、リンクしているのかもしれない。

取材・文 小西尚美
協力 森朝美