ボイス

【ボイス:2022年10月11日】山田直輝選手

共有するスタイルは明確。
1試合1試合、地に足つけて進むだけ
 今シーズンも残すところあと数試合。高い目標を掲げてスタートしたが、今手にしている結果は違ったものだ。

「シーズンが始まる当初、僕は湘南ベルマーレに集まったスタッフ、選手の名前を見たときに、今年はいい順位に行けるんじゃないかって思ったのが一番最初の印象です。5位以内までは思い描けていなかったですけど、このメンバーでやれば一桁順位は目指せるなって、頭の中にパッと出てきた数字ではありました」

 その後、山口監督が5位以内とより具体的な数字を目標として掲げた。

「僕よりも上の目標を目指しているんだなっていうところで、智さんのやりたいことだったり、自信というのは僕を上回るものだったので、『ああ、おもしろい人だな』と思ったのと同時に、『やりがいがあるな』というのは、すごく感じました。やっぱり監督は、船長みたいな役割だと思うので、その監督が5位以内を目指すと言うんだったら、それにみんなが熱量を合わせていかないといけないですし」

 監督が掲げた目標に、熱量を合わせて5位を目指すシーズンをここまで戦ってきた。

「いざ始まると、なかなか勝てないときもありましたけど、積み上げてきたものはあるとは思っていて、最近の試合もそうですけど、勝てる試合で勝てないっていうのが1年を通して多かったかなというのは感じています」

 勝てそうで勝てない、一つ結果に届かない。その原因は、やはり得点だ。

「それはやっぱり単純で、最後の決めるところを決められないっていうことだけだと思う。特に考えることはないかなというか、選手個々の頑張り次第。あとは結果を出せるかどうかというところだと思います。でも、湘南ベルマーレの選手で、必死に練習してない選手はいないので、フォワードだったり中盤の選手だったりが決められないからって文句を言う選手はいない。ただ、プロとして試合に出ているからには、やっぱり結果は必要だし、そこはチームでもっともっと要求していかないといけないとは思っています」

 勝つための要求は、お互いにしている。とはいえ、一朝一夕で要求に応えられるようにはならない。そこはまだ積み重ねが必要なようだ。

「フォワードの選手たちも練習が終わった後に毎日シュート練習をしてますし、僕も一緒にやったりしますけど、要求したところで急にはどうにもならない。そこは難しいですね」

 山田選手は、残留を争うチームにおいて、その話題について落ち着いて話す。なぜなら、このチームに長くいて、絶対的に自信を持っているものがあるからだ。

「僕は最後の最後、この局面で重要なのは、そのチームのスタイルがしっかり確立されていることだと思ってる。そういう面で湘南は、誰が出てもやらなきゃいけないことは整理されてますし、チームでやるサッカーは明確です。そこが湘南の強み。11人が塊となって相手にぶつかっていって、11人でしっかり守れるというのが湘南の良さ。そこを出していくしかないし、それを出せれば残りの試合、いい結果で終われるというふうには思っています」

 もちろん今の順位が、5位という目標から遠いことは理解している。それでも、自分たちのスタイルを信じられるのが強み。

「毎年毎年ですけど、例年よりさらに団子状態だと思う。そういう意味では、勝てる試合をいくつかしっかり勝ち切れていれば、上にも行けたし、逆に最後に追いついた試合だったり、逆転した試合だったりがあったからこそ、今、降格圏内ではないというところはあると思う。5位以内という目標を掲げて、順位を見れば全然ダメだったと思われるかもしれないですけど、僕はそんなに悲観的になってなくて、そのちょっとした差で今の順位だと思う。だから5位以内という目標は、現実離れした目標ではなかったなと、今でも思っています」

 長くこのチームに在籍し、J2から積み重ねてきたそのプロセスを知っている山田選手。だからこそ、時間をかけて高い目標を持つことができるだけの自力をつけてきた、そんな思いがある。

「残り試合を勝てば、まだ上には行けると思うので。僕たちは1試合1試合にフォーカスしているので、1試合1試合しっかり地に足をつけていきたいなと思っています」

取材・文 小西尚美
協力 森朝美