ボイス
【ボイス】石原直樹 引退会見
【石原直樹 ご挨拶】
本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。
先日、クラブのほうからリリースさせていただいたとおり、昨シーズンをもって引退することになりました。
2003年に湘南ベルマーレに入団して、大宮アルディージャ、サンフレッチェ広島、浦和レッズ、ベガルタ仙台と、5チームでプレーさせていただきました。指導者の方々、各クラブのスタッフ、関係者の皆様、ファン、サポーターの皆様、そして私に関わるすべての皆様、19年間本当にありがとうございました。
また、この場を借りて、両親や、どんなときもサポートしてくれた家族に感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。
【質疑応答】
–突然の発表だったが、決断に至る背景、どういうプロセスを経て決断に至ったのかを教えてください。
まずは、湘南ベルマーレに戻ることが決まったときから、最後のクラブ、湘南で引退したいという気持ちで戻ってきました。
昨シーズンが終了して、クラブのほうから違う形で力を貸してほしいという話があり、湘南で引退したいという気持ちと、まだ続けたいという2つの気持ちがありました。
しかし、どのクラブでもいいという気持ちは僕の中でなくて、その中でなかなか決断できない自分がいました。ですが、時間が経つにつれて頭の中で整理され、遅くなってしまいましたが、あのタイミングでの報告となりました。
–19年間を振り返ってどんなサッカー人生だったと思いますか?
無名の僕を、湘南ベルマーレはキャリアのスタートとして獲ってくれた。そこがスタートで、僕自身も19年もできると思っていなかったというのが本当のところです。
湘南、大宮、広島、浦和、仙台と各クラブで自分自身が各クラブで成長できたのかなと思っています。
–アンバサダーとしての活動がスタートしているが、今後の抱負は?
選手とはまた違う立場でクラブの力になるということで、まずは湘南ベルマーレをたくさんの方に知ってもらいたい、また、ベルマーレの価値を上げたい。お世話になったクラブなので、しっかり貢献して恩返ししていきたいと思います。
スクールやアカデミーの活動に顔を出して一緒にサッカーをしたり、イベントに参加したりしながら、チームを知ってもらうこと。いろいろなことを学びながら、サッカーを見て、伝えていきたいと思っています。
そうですね、自分がこれからどういう道に進んでいくかということは、今すぐに決めなければいけないというわけではないと思うので、今はしっかりアンバサダーという仕事の中で方向性をつけていきたいと思っています。
これまで、サッカーキャリアの中で素晴らしい監督やスタッフの皆さんに出会っているので、そこで得られた経験というのはしっかり伝えていきたいということは思っています。
–いま抱いている将来の夢は?
夢ですか、そうですね。まだはっきりはしていないんですけど、指導者の道に行くならば、やっぱりベルマーレで監督をしてみたいなというのは、そういうのはあります。
–広島のメディアとして広島時代のことを伺います。石原選手の広島での活躍が鮮烈でしたが、特に2012年、2013年の連覇は石原選手の力なくしてはできなかったと思いますがそのあたりの思い出は?
僕にとって広島時代の3年間というのはすごく濃いものでした。リーグ優勝から連覇できたこと、ナビスコカップ、天皇杯と決勝の舞台にも立たせていただいたり、ACL、クラブワールドカップ出場と、本当になかなか経験することのできないことを、最高のチームメイトと一緒にその舞台に立てたということは僕の中で大きな財産となっています。
そのつながりというのは一生消えないと思うので、とてもいい時間を過ごすことができました。
–その中で2013年の鹿島戦の優勝を決めた2ゴールについては?
僕は2012年に広島に入ったんですけど、その年もリーグ優勝しました。ただ僕の中ではあまりチームに貢献できなかったなという気持ちが強くて、嬉しかったですけど、100%喜べたかというとそうではなかったんです。
2013年になって、頭から自分が出たときに、ここで優勝できたら本物だなと、そういう気持ちで挑んだ2013年でした。
最後ああいったちょっと劇的というか、ドラマがあって優勝できたので、気持ちの入った2ゴールだったのかなと思います。
–この会見が偶然にも広島戦であって、広島のサポーターもたくさん来ていますがメッセージがあれば。
本当にいい思い出しか広島にはなくて、広島を出るときに直接挨拶をすることもできませんでした。今回湘南まで足を運んできてくれたサポーターの方々がいるので、自分の言葉を直接伝えられる機会があってよかったと思っています。
–一番最初の質問で、ベルマーレに戻るときから最後のクラブにしたいと思っていたというお話があったが、サポーターからしても「あの直樹が帰ってきた」という思いがあった。湘南に対する思い入れとは?
プロキャリアをスタートしたチームでもありますし、在籍年数も一番長いので、特別な思いというものはずっと持っていました。
湘南を離れたときに、いつかは帰りたい、戻りたいとずっと思ってプレーしていました。また眞壁さん、水谷さんをはじめ、坂本さんなど、会うたびに僕のことを気にかけてくれていたので、そういったすごく温かさというものをずっと感じていました。
–戻ってきてベルマーレで印象的な出来事とは?
やっぱり違いというのは、僕が19年前にいた時のクラブより大きくなっているなというのは戻ってきて感じたところです。
あとは、やはり戻ってきたときのゴール、復帰してからの初ゴールというのはすごく印象に残っています。
2020年開幕戦、対戦相手は古巣でもある浦和レッズだったので、僕の中では熱くなるゲームでした。Jリーグの中でも2020年のファーストゴールだったんじゃないかと記憶しているんですけど、古巣に戻った最初の試合で、まだまだ魅せたいということを思っていたので、しっかり結果を出すことができたことはひとつ良かったと思いますし、いろいろな感情が重なった中のゴールだったので、より印象に残っています。
–こんなに長い間できると思わなかったというお話がありましたが、長い間やり続けることのできた原動力とか支えがあれば教えてください。
やっぱり湘南入ったときもそうですし、大宮、広島、浦和、仙台に行ったときも、難しいと感じることだったり、ちょっと「これは大きな壁だな」と思うことがあったんですけど、先輩を見たり人の話を聞いたりして、自分で何とか乗り越えようと、そういう気持ちでやってきました。それが選手として人として成長できたんじゃないかなというふうに思っています。
–引退に至る背景のところで葛藤が続いていたというお話だったが、その中で引退を決断したというのは湘南で最後終えたいという気持ちのほうが勝ったからなのでしょうか。
正直、やりたい気持ちのほうがやっぱり強くて、半々ではなかったんですけど。ただ、先ほどにも言ったとおり、どのクラブでもいいという気持ちは僕の中にはなくて。そうなったときに、38歳の年齢で、残りというか最後が見えている中で、やるべきかやめるべきかという、その2択になったときに、時間が経つにつれて湘南で始まり湘南で終わりたいという気持ちになりました。
いろいろ含め、いろんな方に相談し、家族に相談し、最後は本当に納得行く形で辞めることができました。
–先程、ベルマーレのことをもっとみんなに知ってもらいたいとおっしゃっていましたがどのような活動をしていきたいですか?
最近スクールのミーティングなどにもに参加させていただいて、湘南エリアというのはすごく広いんだなというふうに改めて感じています。まずは子どもが少ない地域も含め、いろいろところを回れるチャンスというのが僕の中にあるので、一緒にサッカーをして、楽しんで、サッカー好きになってもらいたい。そういうことから、少しずつもっと興味を持ってもらってベルマーレを知ってもらいたいなというのがあります。
–改めて、サポーターの皆さんに一言メッセージをいただけますか。
19年間、応援ありがとうございました。すごく長いようで短いサッカー人生でしたけど、石原直樹のプレーというものをしっかり残せたんじゃないかと思っています。
本当に皆さんの声援が力になったので、本当に感謝しています。また次の自分の夢に向かってしっかり歩いていきたいなというふうに思っています。本当にありがとうございました。