馬入日記

【馬入日記:11月26日】「想いを背負って」山口智監督 囲み取材

オリベイラ選手の突然の訃報に、たくさんの方々からメッセージをいただいています。
オリベイラ選手への深い愛情を感じると共に、チームに温かく寄り添ってくださっていることにも、クラブ一同心より感謝いたします。

チームは27日(土)の徳島戦に向けトレーニングを重ねています。
25日のトレーニング後に行われました、山口智監督の取材の様子をお届けします。

–今週のトレーニングはいつも通り行えている状況ですか?

今週に関しては非常に難しい状況なので、プレーできる状態をつくることにフォーカスして取り組んでいます。いつもの週と比べると少し違うとは思うのですが、週末の試合を自分たちができる状態にしなければいけないということにフォーカスして練習しています。

–とても悲しい出来事がありましたが、オリベイラ選手のことはどう受け止めていますか?

正直、未だに信じられないですし受け入れられない自分がいます。
その衝撃というのは計り知れない、言葉では言い表すことができない出来事だったということは間違いないですし、日常を普通に送れるような状態ではありません。
その想いは僕を含めてチームの中にあるんですけど、でも時間は待ってくれないですし、彼の想いも背負ってやっていこうという話をして、みんな取り組んでくれていると思います。
いろいろなことを考えると、信じられないという想いと、当たり前のことですけど、気持ちが落ちるところがあります。
でもとにかく試合に向けては、今日、明日とトレーニングをして明後日がもう試合なので、そこに向けてフォーカスをしなければいけない。
シーズン自体もあともう10日弱で終わるので、そこまでは彼の想いを受け止めてサッカーをしようと。
自分自身もそのスタンスで、やっている状況ではあります。

–選手たちの様子はどうでしょうか?

いつも通りやろうとはしてくれています。でも普通の状態ではないので、そういう部分でどう同じ方向を向かせるかというところは一番難しいところでもあります。ただ、選手たちがやろうとしてくれているのは間違いありません。
試合では、いつも通り、いつも以上に勝つということにフォーカスさせ、それを表現してもらいたいなと思います。

–オリベイラ選手は明るい性格でムードメーカーだったと思いますがチームにもたらしていたことは?

おっしゃるとおり、本当に陽気で常に前向きな選手でした。コーチ時代にバックアップメンバーの練習を見させてもらっている時から、いろいろなアプローチをさせてもらいましたが、サッカーに対する想いというのは熱いものを感じていましたし、日本で成功したいということはいつも言っていました。
常にサッカーと向き合っていたなということに対して、自分自身も勉強させてもらった部分は大きいですし、考えさせられた部分も多くありました。
いま、こうしてサッカーができる幸せを表現しなければいけないということは、自分自身もそうですし、選手にも思っているので、サッカーに対する彼の取り組みを感じて想いを表現できると思います。消化するのは難しいですけど想いを背負ってやりたいなと思います。

–日本でこうなりたいとかそういう話をしたことは?

とにかく日本でプレーし続けたいということは言っていましたし、試合に出たいという想いも強くあり、僕らのアドバイスも謙虚に受け止めて表現しようとしてくれました。それは彼の素晴らしい人間性のところだと思います。
試合にはなかなか絡めなかったですけど、間違いなくそういう聞く耳を持っている選手でした。とてもコミュニケーションを取りやすい選手で、パワーをもらっていました。

–最後にお別れはできましたか?

そうですね、運ばれる時に僕はできました。ただ選手やスタッフが大勢で行くことができなかったので、まだできていない。だからこそ信じられないところがあると思います。

–試合に向かう難しさがあると思うが選手に投げかけていることは?

簡単に受け入れられることではないので、切り替えろとは言えないですし自分自身も受け入れられない。それが自然なことだと思います。
でもやらなければいけないことというのは、納得はできないだろうけど理解はしてほしいという話はしました。選手にもその想いはあると思います。自分たちがやろうとすることだったり、やれるマインドというのを今週は大きなテーマとして取り組んでいます。
考え出すとどうしても悲しくなってしまうので、サッカーをする選手の表情を見ながら、声をかけながらやっています。ただこれが試合の時にどうなるかということは分からないことですけど、選手自身はその想いを持っていますし、出せる状態ではあると思うので、チーム全体でそこに向かっています。

–湘南のサポーターだけでなく多くの人が心配し応援しているがそれに応えたいという想いもありますか?

そうですね、自分たちの良さというのは自分たちで分かっています。ホーム最終戦ということもありますし、彼がいる時も、湘南らしさというのは常に表現しなければいけないということは言っていました。
そこは変わらず、もちろん状態は難しいですけど、そこの本質的なところは変わらずやろうということは選手は理解してやってくれています。
応援してくださる皆さんに対しても、今年最後のホームでの試合なので、楽しみでもありますし、そういう想いも背負ってやってくれると信じています。

–苦しい時こそやってくれる選手たちではないかと思いますが?

受け入れろとは言えないですけど、彼の想いを背負ってやることが今できることですし、選手には常々言っている「いまできることをやろう、やりたいことはその次だ」という話をしている中で、選手はそういうマインドになってきてくれているので、もちろん悲しみとかいろいろな感情はありますけど、とにかく次の試合に向けてできることを今やっている状況ですし、それ以上のことは無理してもできないよという話はしています。
皆さんにそう見ていただけて、「さすが湘南だな」と思ってもらえるような試合をしたいですし、それを今から、今週は特にできる状況をつくるという意味でやっているところ。僕自身も含めて強い気持ちで迎えたいなと思います。

–勝利のために大事なことは?

相手があることなので、相手の良さを消さなければいけないですし、徳島さんの独特な立ち位置をどう攻略するかはテーマになると思います。ビルドアップに対する守備の部分の難しさをどう消すのか、攻撃に関しては奪った後のスピード感というのは大事にしたいと思っています。
徳島さんということもありますけど、とにかく自分たちがやってきたことをどう相手に当てはめて相手の良さをどう消すのかは確認しながらやれているので、あとは表現してほしいという想いですし、表現してくれるだろうという期待感があります。

–サポーターの後押しについては?

コロナで無観客の時は寂しいものがありましたし、今は声は出せない状況ではありますが、それでもいろいろな工夫をして想いを届けてくれている。
それが僕たちにはもちろん届いていますし、後押しになっていることは間違いありません。
選手をもっともっと押してあげてほしいですし、その想いを背負って戦える選手たちなので、そういう雰囲気でやれることは楽しみです。

徳島戦は明日27日(土)14:00キックオフです。
共に戦いましょう。