昨年からのコロナ禍でリーグ戦・カップ戦を含めた公式戦のスケジュールがタイトになり、試合の際の交代人数が5人に増えている。ベルマーレは、特に運動量の多いポジションで途中交代が多い印象だ。そうした状況の中で、古林選手は途中出場が増えている。

「それは最初から出たいですよ、もちろん。もちろん出たいですけど、そうやってエゴイストな部分も持ちつつ、それだけじゃチームな成り立たないと思うんで、そこはグッとこらえて、途中から出たときにどうするかとか、何をしなきゃいけないかを考えながらアップしつつ試合を見てます」

　選手としては90分通して試合に出るのが当然の目標。しかし、途中出場する選手は、その試合での対戦相手との力関係や得点の状況がはっきりした段階で入るため、託されるタスクはより明確。その使命も重くなる。

「途中出場って一番難しいと思う。負けていたら勢いを持って攻めに行かなきゃいけないですし、かといって失点もしちゃいけない。勝っているときは守備を意識しながら追加点を狙うとか。一番難しいときに出る選手だから途中出場をする選手ってもっと評価されてもいいのかなって思う。子どもの頃は試合を見てて途中出場の選手をそんな風には見ていなかったけど、自分がいざそういう立場になったら、途中出場している選手はみんなすごいなって思います」

　特に古林選手のクロスは精度が高く、得点に直結するイメージを誰もが持っている。得点が欲しい場面で出てくると、スタジアムが期待に包まれるのを感じる。

「自分が出たときはだいたい得点を取るという部分で仕事をしなきゃいけないですし、守備ばっかりやってる場合じゃないことが多い。得点に結びつく場面は絶対に1〜2回は作らなきゃいけないと思って出ています。試合状況によっては難しいときはありますけど、攻撃のところでリズムを作る、厚みが出るように、特にそこを意識して試合に臨んでます」

　フルタイム出場したいという選手としての思いを抱きつつ、途中出場・途中交代でチームに貢献する経験を積んで実感する成長もある。

「スタメンで最初から出るときも、交代で出るときも、気持ちをブラさずに、一つのことに向かっていく。自分のいいところを出しつつ、守備でもしっかり体を張って。そういうところが成長したかなと思います。100％上手くいっているわけではないし、自分が活躍してそれが結果につながれば一番いいんですけど、勝ち切れていない。でも、自分の動き的には悪くないと思っているので、そこをいかにチームのために結果に繋げていくか。ここをもっとやらなきゃいけない。実際、残留争いの中にいるので、これからは特にそこが大事になってくるかなと思います」

　この先も強くなっていける手応えは感じている。そしてベルマーレに選手として帰ってきたからにはJ1の舞台にチームを残すことが使命の一つ。来シーズンもJ1の舞台で戦い続けるために、今はそのことだけを考えている。