PARTNERパートナーとの取り組み

SHODAN -湘談-

「湘南ベルマーレを根底からサポートしたい」
胸の広告だけにとどまらない三栄建築設計の想い

MELDIA GROUP 株式会社三栄建築設計 ×湘南ベルマーレ

湘南ベルマーレのオフィシャルクラブパートナーであり、筆頭株主でもあるMELDIA GROUP 株式会社三栄建築設計(以下、三栄建築設計)。湘南対談企画「SHODAN-湘談-」第6回は、同社の執行役員で経営企画本部長兼社長室長を務める榎本喜明さんをお招き。水谷尚人・湘南ベルマーレ代表取締役社長と語らうこれまでの歩みとこれからに、支援という枠組みを超えた両社の深い関係性が浮かび上がります。 以下敬称略

――三栄建築設計は2016年より湘南ベルマーレのユニフォームパートナー(胸)、そして筆頭株主となりました。一連の経緯と背景にある想いをあらためて聞かせてください。

榎本 東証2部に上場する頃、弊社は急激に社員数が増えていました。そこで社員をひとつにするような、インナーモチベーションを高めるコンテンツを求めて、横浜F・マリノスさんとスポンサー契約を結んだことがサッカークラブへの支援をスタートしたきっかけです。その後4年間を経て、ベルマーレさんから、スポンサーとしてだけでなく、より本腰を入れて支援してほしいというお話をいただきました。当然、横浜F・マリノスさんとの関係がありますから一度はお断りしたのですが、一方で、我々としてもサッカークラブを根底からサポートしたいという考えがありました。加えて当時、湘南エリアに支店を出す計画もあった。そうして検討を始めたなかで、全員で走るというベルマーレさんのチームコンセプトを伺い、限られた予算で地域やサポーターの方々とともにさまざまな困難を乗り越えてこられたクラブの歩みに触れ、感銘を受けました。我々は社員の平均年齢が30歳前半という若い会社です。全員で家づくりに取り組むという理念も掲げている。育成に力を注ぐベルマーレさんのコンセプトや全員で攻守に走るチームスピリットに我々の企業理念が合致して、関係をスタートさせていただきました。

水谷 1年あいだを空けるという話もありましたが、我々としてはJ1定着を期するシーズンでもありましたので、お願いした次第です。

――いま話に出ましたが、三栄建築設計は若い力を大事にされているのですね。

榎本 そうですね。創業者であり代表取締役社長の小池(信三)は25歳で起業していますし、今年で創業29年目となりますが、30代を中心とする若い集団としてこれまで成長してきました。ですから、若いひとたちの力をどのように活かしていくか、いかにやる気を引き出すかといったことは会社としてつねに考えていますよね。

水谷 小池さんが以前、全社員と面談するとおっしゃっていました。

榎本 はい。いまはさすがに管理職だけですね。管理職だけでも100人ほどおりますから。

――スポンサードするだけでなく、クラブを根底から支援したいという想いはなぜ生まれたのでしょうか。

榎本 我々はサッカーについては素人ですから、チームをどうこうしたいという気持ちは当時もいまもありません。ただ入口がインナーモチベーションなので、せっかく多額のコストをかけるのであれば、ユニフォームの広告にとどまるのではなく、ベルマーレさんともっと一体感を持って取り組みたいと考えました。

――どのような点にベルマーレの魅力を感じていますか?

榎本 まず、三栄建築設計やMELDIA GROUPの知名度はさほど高くないですよね。その点、ベルマーレさんの名は広く知られている。ですから、「Jリーグの湘南ベルマーレを支援している会社」として、お客さまに弊社をより認知していただけるというメリットは当然あります。そのうえで、先ほど申しましたように、若い選手を育成し、積極的に起用するといったチームのコンセプトが弊社のそれと合致し、イメージ的にもマッチしている。その意味では、逆にこちらが助かっている部分もあります。

水谷 いえいえ、おかげさまで我々としては経営基盤が安定し、感謝しています。さらに触れておきたいのは、小池さんが2017年に設立された一般財団法人メルディアの存在です。サッカーを続けたくても続けられない子どもたちを援助したいというお気持ちから小池さんが仕組みをつくられたんですよね。いまトップチームで活躍する田中聡もお世話になりましたし、素晴らしい取り組みだと思っています。

――両社の関係がスタートした2016年、ベルマーレはJ2に降格しました。翌年J1に復帰しましたが、今季はふたたび残留争いの渦中にあります。なかなか成績が安定しないことについてはどのように受け止めていますか?

榎本 当然J2には落ちてほしくないですし、普通のスポンサーの感覚であれば、2部になったら減額したいと思うでしょうね(笑)。でも我々には筆頭株主としての立場もあります。

――つまり「自分事」になる。

榎本 はい。ユニフォームの胸に広告を貼り付けているだけであれば、成績によって区切りをつけるかもしれませんが、ベルマーレさんとは勝ち負けを超えた関係性を築いてきていますから、簡単に買ったり売ったりするつもりはありません。ですから我々の立場から言えるのは、J2に落ちないように頑張っていただきたいということですよね。加えて、紆余曲折の歩みのなかでも、現在ブンデスリーガや日本代表で活躍している遠藤航選手のような方をこの場所から輩出している。それは湘南ベルマーレの意義であると思いますし、期待するところです。

水谷 我々もまさしくそう考えています。小池さんがそうであるように、ひとを育てることやひとを応援することをこれからも粛々と続けていきたいですね。

――これまでの6年間で印象に残っている出来事はありますか?

榎本 たくさんありますよ、書けないことも含めて(笑)。でも真面目な話をすると、2018年のルヴァンカップ優勝はやはり思い出深いですね。なかなか経験できることではないですよね。

水谷 そうですね。決勝戦の試合後に小池さんの胴上げもありましたよね。

榎本 ありました。スタンドからピッチに下りて、記念写真にも納まって。そういうところにもスポンサードするだけでは得られない一体感を覚えますし、社長のベルマーレに対する想いをすごく感じます。あの日は埼スタに足を運んだ社員も多く、支店にはベルマーレのユニフォームと一緒に優勝記念Tシャツも置くようにしました。

――9月より山口智監督が新たに指揮を執っています。どんなことを期待しますか?

榎本 全員で走る、全力でプレーするという姿勢に我々は惚れていますから、湘南らしさを追求してほしいと思います。

水谷 山口監督はそうしたことを細部にわたって強く求めています。

榎本 ベルマーレさんのサッカーはすごく気持ちが伝わってくるので、引き続きプレーで魅せてほしいですね。我々も全力でお客さまのために仕事をしますし、ベルマーレさんをサポートします。

――ところで、来る第33節横浜FC戦は「三栄建築設計スペシャルデー」となります。スペシャルデーに対する想いを聞かせてください。

榎本 弊社が株主となってまもない頃、スペシャルデーを開催したときに、我々のキャッチフレーズを模した横断幕をゴール裏のサポーターが掲げてくれたことが印象に残っています。いま現場では、サポーターの方々に弊社をより身近に感じていただきたいという想いから、スペシャルデーにやってもらいたいことをツイッターで募集し、いただいた企画をもとに、サポーターの皆さんと一緒にその日を盛り上げたいと考えています。

――冒頭のお話にあった、「ベルマーレと一体感を持ちたい」という想いがすべての取り組みに通じていると感じます。長引くコロナ禍のなかで、今回はどのようなスペシャルデーにしたいと考えていますか?

榎本 非常時の世の中においては、スポーツイベントは不要不急のコンテンツかもしれません。でも一方で、不安を抱え、苦しんでいる方々に力を与えられる存在でもあると思います。そうした状況のなかでスペシャルデーを開催できるわけですから、我々も微力ながら、ベルマーレさんの力を借りて少しでも皆さんの不安を解消し、頑張ろうという気持ちになっていただけるような一日にしたいと考えています。そしてベルマーレのサッカーを観て元気をもらってほしい。それを実現するためにはやはり勝って、この苦しい時代を一緒に乗り越えていきましょうというメッセージを皆さんに発信できたらと思います。

水谷 このコロナ禍で試合を開催できるのはありがたい話ですし、やらせていただく以上、地域のひとたちや観戦してくださる方々に元気を届ける戦いをしなければいけない。選手もスタッフもフロントも皆そう思っています。

――最後に、ベルマーレとともに今後どのように歩んでいきたいか、聞かせてください。

榎本 ベルマーレさんは地域を大切にし、地域に根付いているクラブです。弊社としても湘南エリア一体でもっともっと家をつくりたいと考えているので、お客さまとベルマーレ、そして住まいをつくる我々が一体となって湘南地域を盛り上げていけたらと思っています。あと、一度ぐらいリーグ優勝してほしいかな(笑)。

水谷 私がベルマーレを手伝うようになった2002年当時、現在代表取締役会長の眞壁(潔)は営業先で必ず「絶対J1に戻ります」と話していました。無理だと思って聞いている方もきっと多かったと思いますが、でもそれを言い続けて2009年に11年ぶりのJ1復帰を果たし、その約10年後にはルヴァンカップ初優勝も成し遂げた。ですから、次の10年に向けても口にして行動することは大切だと思っています。新しいスタジアムの構想もありますし、我々は経営面も含めてさらに頑張らなければいけない。

榎本 新しいスタジアムの構想が実現した暁には大きな成果をひとつ期待したいですね。

水谷 はい。榎本さんに以前いただいた三栄建築設計さんの本に、リーマンショックのあと、リストラしなければ会社がもたないと周囲から言われたとき、「リストラして社員とその家族を幸せにできなくなるぐらいなら会社をやめる」と小池社長がおっしゃったという逸話があり、私はすごく勇気づけられました。コロナ禍の厳しい経営状況のなかでご支援を続けていただき、ほんとうに感謝しています。今後ともよろしくお願いいたします。

(インタビュアー 隈元 大吾)

10月23日(土)横浜FC戦「MELDIA GROUP 三栄建築設計スペシャルデー」 (https://www.bellmare.co.jp/269360