ボイス

【ボイス:2021年9月23日】町野修斗選手

チャンスを作るプレーでも
チームに貢献したい
 オリンピックが開催された今シーズンは、約1カ月の中断期間を挟んでいる。そのため特に中断を控えた前半戦は、5連戦、7連戦などが続くタイトなスケジュールで試合を経験することとなった。

「シーズンを通して試合を戦うコンディションを整えるということについては全然経験がないんで、まだ完璧に掴めていないんですけど、前半戦、特に中断前の3試合ぐらいは自分自身のコンディションも良くて、ボールタッチに余裕があったり、身体のキレもあって、そうすると『けっこう、できるな』ということも感じられた。だから中断は、自分としてはちょっと残念でした」

 とはいえ、多くの試合を残した段階で1カ月の中断を迎えるのは、ここまでの戦いぶりからチームを見直すのにちょうどいい機会ともなるもの。チームとしての手応えは、どのように感じているのだろうか?

「中断の直前は、ちょっとゆるさが出て失点が多くなっている状態だったと思います。それは最終ラインの問題とかではなくて、11人で守備をして11人でゴールするのが湘南だと思っているので、全員の問題。守備は11人でするわけですから、もうちょっと一人ひとりの球際だったり、ファーストディフェンスであったり、ファーストディフェンスが決まらないと後ろはスライドできないですし、人にもつけないと思うので、コンパクトさとか距離もそうですけど、そういう意識も大切かなと思いました」

 全員守備、全員攻撃を標榜するチームの在り方に共感しているだけあって、まずは守備の反省が口をつく。しかし、最前線を主戦場とする選手としては、やはり攻撃面が気になるところ。

「振り返ると、勝点1を拾えてたときには守備を我慢強く耐えていた試合が多かった。ただ、どの試合からかというのははっきり覚えてないんですけど、引き分けじゃダメだ、勝たないといけないっていうみんなの思いが少しずつ増えていった。でも勝つためには、攻撃のチャンスが少ないっていうことを感じていて。シュートの本数というよりは決定機をどれだけ作れるか。例えば、ウェリがいるときにどれだけいいクロスをフリーで上げさせてあげられるか、とか。ウェリのゴールは全部ヘディングだと思うんで、どれだけそういう状況を作れるかとか、1対1の場面を作れるかとか。チャンスの数を増やすことが攻撃の課題だと思っています」

 攻撃を活性化し、チャンスを作り出す役割が担えるプレーの選択肢の多さも町野選手の特長。自らを活かすことがチームの課題を克服することにもつながることも感じている。

「ここ最近はウェリとの途中交代が多いので、役割として長いボールを受けてキープすることも求められると思いますけど、僕はより周りの選手との距離やボールの出し手の位置とかが重要な選手。裏を狙って走ったところにパスを出してもらったり、ターンで局面を変えることも得意なので、そこで自分や周りの選手にチャンスを作り出すこともできる。周りとのコンビネーションも好きなので、そういうところで戦っていきたいなと思います」

 個人的に今一度見直しているのは、「たられば」と振り返った決定力。

「決め切る力、しっかり決められるようにもう一度準備していきたいなというところですね。ボールが来るまでの準備とか動き出しとか気持ちの部分。『来るかなー』程度じゃ多分ボールが来たときに『本当に来た!』という思いになるんで、『俺に来い』というメンタルで準備しておく。そういうところも大事かなという思いと、チャンスが少ないことが決めなきゃいけないっていうプレッシャーになっちゃうと思うんで、たくさんチャンスを作れるように僕もやっていきたい。最近はラストパスの質も上がってきていたし、練習でもラストパスで1対1のシーンを作る場面が増えてきていて、そこも自信になっている。チャンスを作ることでも貢献していきたい」

 フォワードとして人に使われて活きるプレーを得意としているが、人を活かすこともできるのが町野選手。残りの試合、町野選手のフレキシブルなプレーがチームに数多くのチャンスをもたらすシーンを期待したい。

取材・文 小西尚美
協力 森朝美