ボイス
【ボイス:2021年9月23日】町野修斗選手
「俺に来い」というメンタルで、ゴールを決めまくりたい!
今シーズン、移籍加入した町野修斗選手は、
4年目を迎えたプロ生活の中で、
J3、J2、J1と、Jリーグのすべてのカテゴリーを経験している。
とはいえ、J1のステージで公式戦に出場したのは
ベルマーレで過ごす今シーズンが初めて。
プロ選手として歩んだ道のりと、満を持して臨んだJ1での手応え、
そしてシーズン終盤に向けての展望を聞いた。
フォワードとしての武器
プロサッカー選手として4年目を迎えた町野修斗選手のここまでの道のりは、常にスタートラインに立つ挑戦を続けて来た結果、拓けたもの。例えば、今シーズン実現したベルマーレへの移籍は、4年前にゴールした直後に立つことになったJ1の舞台で公式戦に出るというスタートラインから始まった挑戦で得た結果ともいえる。
「マリノスでは1年間、練習もなかなかできないくらいの戦力外だったんで」
高校卒業後、プロ選手になるという夢を叶えたクラブは、横浜F・マリノス。高校時代に練習に参加し、当時の監督に期待されての加入だった。しかし、加入した年に新しい監督が就任し、状況が変わる。プロになるというゴールテープは切っても、試合に出るためには、再び新しいスタートラインに立たなければならなかった。
「監督が代わるのがプロの世界。誰が監督でも選手として認められないとプロとしてはやっていけない。そういった面で甘かったと思います」
10代でプロになった選手の大半は、公式戦への出場機会が少なくても2〜3年はそのチームで過ごすことが多いもの。しかし、町野選手はルーキーイヤーの経験で「試合に出てこそ」という意識を強く持つようになり、必要としてくれるチームへの移籍を決断する。その先が当時J3を戦うギラヴァンツ北九州だった。
「小林(伸二)監督が気にかけてくれて、『一緒にどう?』と言ってもらって。僕を必要としてくれているというのが伝わった。監督とは面識はなかったんですけど、フォワードを育てるのが上手な監督という話を聞いたりもしていたので、北九州で成長しよう思って行きました」
J1からJ3へ、身を置く舞台を移すことに燻る思いがなかったわけではない。それでも移籍する決断が揺らぐことはなかった。
「そのとき北九州はJ3の最下位で。プロとしてJ1でやっていけると思っていたら、J3の一番下のチームへ行くのかっていう、やっぱり変なプライドもありましたけど、向こうに行ってからは『やるしかない』『必死にやろう』と思いました」
小林監督との出会いも刺激になった。
「北九州に着いてまず挨拶に行ったときに、すごく明るい方で、『一緒に頑張ろうな』みたいな気さくな感じで言ってくれて。プロ1年目が外国人の監督でコミュニケーションに苦労したので、そこで衝撃を感じたというか。『楽しみだな』って思えました」
実際に小林監督は、町野選手の指導に時間と手間を惜しまなかったという。
「小林監督は特にしゃべりやすいというか、コミュニケーションが取りやすい監督であったなという感じはします。自主練もよく付き添ってもらったり。それが当たり前に感じるくらい、やってくれてましたね。
自分自身も、まずはサッカーを、練習ができるというところにも感謝して。当たり前じゃないんだって思えましたし、素直にサッカーが楽しい毎日を過ごしました」
身長185cmと体格的にも恵まれた町野選手。フィジカルの優位さに加えて、スピードもあり、裏に抜けたり、ターンをして一瞬で局面を変えたりするなど、フォワードとしての引き出しは多い。そのプレーの一つひとつを取り上げては、ていねいに磨きをかけてくれたのが小林監督だった。
「クロスは捻らずにまずは来た方向のサイドを狙うとか、入り方も今のはちょっと早かったなとか。前を向くターンとか、ターンの種類とか、シュートを選択するときのコースとか。今のシーンだったらどっちに打てばよかったのかとか。本当に細かいところまで教えていただいた監督です。まだまだ完成形では全然ないですけど、成長させてもらったと思ってます」
経験豊富なベテランや向上心の塊のような若手が集ったチームメイトの存在もまた、成長意欲を掻き立てた。
「本山雅志さんがいたり、池元(友樹)選手がいたり、加入した年はJ3でしたけど、J3にいるチームではないという印象もありました。夏には髙橋大悟とか北川柊斗くんとか椿(直起)とかが入ってきて、3人とも前のポジションの選手だったので僕自身も刺激になりましたし、そういうところでまたレベルアップしたのを覚えています。みんな仲が良くて、いい人たちで、本当に良くしてもらっていたので、このチームで勝ちたい、昇格したいという思いが強かった。だからJ2に昇格できたのは本当に大きかったですね」
J3からJ2への昇格に貢献し、2020シーズンは完全移籍で北九州に加入し、J1昇格をめざす戦いに挑んだ。
「前半戦は9連勝して1位で折り返したり、手応えはありました。でも1シーズンを通して戦うメンタルが足りなくて、後半戦は失速してしまった。J2はかなり難しいリーグというのは聞いていたんですけど、その通りだったというか。このチームでJ1へ、という思いはあったんですけど」
北九州で過ごした2シーズンで磨き上げた武器はJ1クラブからも一目置かれるようになり、自身のステップアップのチャンスを呼び込んだ。
2021シーズン、町野選手は再び新しいスタートラインに立つことを選択した。