馬入日記

【馬入日記:9月5日】山口智監督 オンライン会見の模様をお届け

9月1日、山口智コーチが新監督に就任しました。
先日、メディアの皆さん向けにオンライン会見を行いました。ひとつひとつの質問に真摯に答えていた山口監督、今回の馬入日記では会見の様子を一問一答形式でお届けします。

–急な監督就任となったが決断に至った思いは?

自分はいま何をするべきなのかということを考えた時に、やはり拾ってもらって連れてきてもらって半年一緒にやらせてもらいました。一緒に築き上げてきたものもあったので、引き受ける決断に至りました。
今何が自分にできるのか、やらなければいけないのかというところにフォーカスして、もちろん大変な状況ではありますが、この先どうなるんだということではなく、前向きに、今いる選手たち、スタッフとならより良くできるんじゃないかという気持ちがあります。僕自身もその一員として、リーダーとして、もっといいものが築き上げられるんじゃないかということを感じています。
もちろん今年、コーチとしてやらせてもらって責任を感じている部分はあるんですけど、いまできること、やるべきことに重点を置いて考え決断しました。

–チームの課題、改善したいことは?

今まで築き上げてきたものは間違いなくあると思っています。結果に対してもいいところ、悪いところがある中で、必然性というものをどれだけ自分たちが感じられるかだと思います。やらなければいけないことというのは、やはりベースのところ、サッカーでいう当たり前のところをみんなで共有すること。
意識、技術のところも含めてですが、考え方をもう一度思い出そうと。
いいところだけやっていてもダメですし、自分たちが悪い悪いと言っていてもダメなので、いいことをするために、その難しい嫌なことであったり苦しいことを前向きにやろうという話をしています。
プレーの前に、その意識、考え方、受け取り方。それが一番にやることなんじゃないかと思っています。

–選手にはどんな話をされたのか?またコーチングスタッフにもどういう話をしたのか?

選手には今言ったようなことをベースに、もう一度思い出そう、という話をしました。
できていたことが薄れているという強調はしましたし、いますぐにできること、やるべきことをやっていこうと。その整理をしました。プレーでも、サッカーの本質をもう一度伝えました。
コーチングスタッフに関しては、僕も経験がありますが、各々がすごく責任を感じていますしこれでいいのかということを考えてしまうということは理解しながら、でもやっぱり、だからこそそこを前向きにやってほしいという話をしました。
今までやってきた積み重ねはみんなの積み重ねでもあるので、悔しさとか無念さというものは置いておいて、前向きなパワーを出してほしいというお願いをしました。

–サッカーそのものは変化するのか?

サッカーなので、形とか相手とかいろいろありますし、でもサッカーをすることに変わりはない。その中で積み上げは追及していきますし、サッカー自体の追及もしていきたいと思います。相手があることなので、どちらに比重を置いてとかどういう対策をするのかとか、そういう部分はみんなと一緒にやっていければと思います。

–練習を見た時に「攻守の切り替え」や「縦に速く」と言った言葉が聞かれた。そこは湘南の良さでもあると思うが、まずはストロングを伸ばすアプローチをするのか?

ストロングにしていきたいというか、そこはサッカーの本質だと思いますし、そのスタイルというのは湘南にはもともとあると思いますし、そういう意味でみんなに思い出そうと伝えました。
その中でゴールを目指そうというのは当たり前のことなので、新しく何か言ったつもりはないですし、今までできていたことをまず思い出させる、そこの意識を高めるということをトレーニングの中でやっています。

–残留争いもあるがどんなチーム作りをしたいか?

もちろんこの世界というのは、結果で評価されますし、結果を出すということはもちろん大変なことだと思っています。残留争いをするのは現実的ですが、残留争いを抜け出すには勝っていかなければいけない。やはり勝つ意識、勝つ方法を得られるチームにしたい。勝つための要求をしていく、勝つための生活をしていく、それがいいのか悪いのかということを常に検証しながらやっていきたいと思います。
そのために、嫌な守備もできるチームにしていきたいと思います。常にポジティブで前向きなチーム作りができればと思います。

–山口監督自身の好きなサッカーのスタイルは?

僕が描くものに選手を当てはめるのはちょっと違うと思いますし、それぞれの特徴があってストロングがあるので、それを融合させるのがチームだと思っています。
いまの湘南の良さ、カラーを出させるようにやっているので、選手、コーチと一緒に今のチームの良さを築いていきたいなと思います。

–理想の監督像は?

監督がブレてしまうと選手も迷うと思いますので、自分が現役の時にもブレない、何か貫ける芯というか覚悟というか、そういうものを持った監督がよかったなと思いますし、自分もそうでありたいなと思っています。

–具体的な名前を挙げられれば?

西野(朗)さんは長いことやらせてもらったということもありますし、すごくドンと構えている感じがあって、何ごとに対してもブレないというところは勉強させてもらいました。選手としてやらせてもらう中で、選手たち自身が考えていくというふうにもなっていけたので、そういう選手になっていってほしいなという思いはあります。そういったチーム作りができたらなと思っています。

–若い選手への熱い指導も見られるが期待していることは?

若い選手に限ったことではないですが、一緒にサッカーを追求したいという思いも強いので、もちろん若ければ経験が少ない分、その興味というものもあると思うので、そうやって指導する回数も多かったと思います。
今の選手は、自信を持っている部分もあると思いますし、一方で足りないところもあると思うので、その手助けができたらいいなと思っています。選んでプレーするのは選手なので、その引き出しを多くしてあげられたらというのは常に思っています。

–急な監督交代でサポーターも驚いていると思うがメッセージがあれば。

覚悟を持ってやるので、後押ししてもらいたいですし、選手は本当にいい反応をしてやると思います。自分が全責任を持って、選手に思い切りやらせるようにしたいなと思います。
いまコロナの影響もあって練習を見たり、直接声をかけたりできない状況ですけど、その想いは届くので、本当に届けてもらいたいと思います。

–選手としても在籍したことのない湘南でまっさらな状態からスタートして半年間指導してきたと思うが、その中で気づけたこととは?

本当に気づき、発見ばかりで、個人的には間違いなく成長させてもらいましたし考えさせられることが多くありました。それは本当に感謝の気持ちしかないですし、だからこそ引き受けたということもあります。
逆にその中で自分にできることがあるという発見もありました。そのあたりの考え方、やり方は何が正解かは自分自身も分からないですが、いろいろな方法、考え方を伝えながら、選手の反応を見ながら、選手が一番活き活きできるような指導ができればということは常に考えています。

–現役時代から、仲間の気持ちに寄り添うことで築いてきたキャプテンシーがあると思うが、これまで自身が積み重ねてきたものと、監督になったから捨てなければならないものはあると考えるか?

もちろんいろいろな決断をしなければいけないですし、選択をしなければならない。それは当たり前のことだと思います。でも物事の本質ってそんなに変わらないと思うので、そこだけ見失わないようにしたいと思います。自分がまずそれをみんなに要求できる人間でありたいと思うので、そんなに監督になったからと言って変わらず、自分らしくできればなと思います。

–S級を取得した時に描いていた監督像と、指導を続けてきて変わったものはあるか?

やっぱり“選手が一番”というものをブレないで持ちたいなと思っています。指導というかアドバイスですよね。ヒントを与えて選んでもらうというものなので、そのあたりの考え方は変わりました。特にガンバでU-23からスタートして若い選手から始めさせてもらったので、そのあたりはすごく気は使いました。その中で一緒にやる楽しみもありましたが、勝つということの難しさはもちろん感じていますし、自分の理想だけでいける世界ではないということは肌で感じています。
そういう意味でいうと、やはりいまいる選手と向き合って、どう良さを出していくか。そこはマストで必要なのかなと感じています。

–今年ここまでチームの結果が出なかった理由はどこにあるのか?

全員が考えていることがバラバラになることが多かったように思います。やることははっきりしていたと思うんですけど、全てではないですが、その状況を全員で共有できていなかった。みんなの不安がだんだん増えていってしまった。順位や残りあと何試合かというところの外的要素も影響しているように思います。
もちろんコーチとしてもそこをうまく改善したいと思ってやっていましたが、うまくいかなかった。その責任は感じています。
そこをもう一度、違う立場になってですが、アプローチしていくことが大切なのではないかと思っています。

–クラブから残留以外の要求、要望などはあったのか?

湘南の良さというものをもっともっと広げる、作る、思い出させるということは要求されていますし、試合だけでなく日頃の練習、サッカーに対する取り組みという点からできるようにしたいと思っています。今できていないということではなくて、今以上のものを求めていきたいということでこの決断に至ったという説明を受けました。その中で僕が外からきているので、違うカラーを入れながら築いていってほしいという話は受けました。

–ご自身も若い頃からプロの世界でプレーしていたが、湘南にも若い選手が多い。若手にどういうアプローチをしていきたいか?

とにかくまずはサッカーをきれいにやろうとしないことが大事だと思っています。スペシャルなところがあるからこの世界に入れていると思うので、そのスペシャルな部分を出せるように必死に毎日取り組むこと。できることを思い切りやる、やり切るというところからスタートしてほしいと思っています。
ああしろこうしろと説明して頭の中で思っていても、状況を見れなければ何もないと思うので、とにかくいろいろなものを見ることと、思い切りトライしてほしい。
自分もそうだったなと思いますし、まぁきれいにできないタイプだったのでそれもあると思うんですけど、失敗を何回も繰り返して、思い切ってやってほしい。ミスも受け入れながら成長していくんじゃないかなと思います。

–山口監督が現役の時は選手が受ける情報量の違いがあると思うがアプローチの難しさはあるか?

うーん、でも自分の時と比べていないので。プレーするということも変わらないですし、サッカーのルールが変わったわけではない。ややこしく悩むよりもできることをやってみて良い方向に繋げられるようにしたいと思います。
海外の映像が見れることはすごくいいことだと思いますし、また海外に出て行く選手が多いのも、日本のサッカーにとっては間違いなくいいことだと思います。そういった選手たちに影響を受けて自分も目指したいと思えるとか身近にあるということは素晴らしいことだと思います。
でも見れたからと言ってできることが増えるわけではないので、今自分にできることをコツコツとやる、それが大切だと思います。

–坂本SDと共有したことは?

お互い覚悟決めていると思いますし、クラブとしても坂本さんとしても覚悟を持って僕にオファーをくれて、僕も覚悟を持って受けているので、その覚悟を常に持ち続けるということは、お互いの共通理解としてあります。
このチームを良くしたいという思いはブレずに持ち続けてやりたいと思います。

–監督からアプローチをするところとピッチの中で選手が判断するところの配分については?

そこが一番難しいと思います。先ほど情報が手に入りやすいという話もありましたが、そこばかりに引っ張られないように、数字もすごく大事にしていきたいですけど必要のないところもあるので、必ず裏腹なところが出てくる。
バランスがどうかと言われると答え方が難しいところもありますが、状況とか今の順位、またスタートのメンバーによっても変わってくると思います。
その前に、プレーヤーとして当たり前のことをもっともっと自分たちでできるようにならなければいけない。その上で、試合になった時の冷静さや判断、相手の立ち位置に対してはもちろんアプローチしていくつもりです。

–試合中の選手交代は肝になってくると思うがイメージしていることは?

おっしゃられるように、すごく大事な要素だと思うので、メンバーを選ぶ時からいろいろな想像をし情報を活かしながら準備したいと思います。ただ選んだからには、自分の責任としてその選手を信じて送り出しますし、そこはスタッフと共有しながらうまくできればなと思っています。

–湘南のカラーに山口カラーとしてどんなものを付け足したいか?

湘南のカラーとはまず何なのかということをもう一度見直して、皆さんが思ってくださる湘南カラーと本当に一致しているのかというところ、また自分たちが本当にそれをカラーにしていくのかということを考え、いいところをもっと思い出すという意味でいま作業しています。
それプラスαは、止める蹴るにはこだわりたい。どういうポジションがいいポジションなのか、それがどうゴールに繋がるのかというこだわりは持ちたい。選手にも、それをするために守備があるんだよ、嫌な守備もするんだよという説明はしました。そのあたりで細かなカラーを出していきたいと思います。

–どういった選手をピッチに送り出したいか?

ベースとしては戦える選手。何を武器にするかは選手のスペシャリティを選びたいと思いますが、まずは戦える選手を選びたいと思います。