ボイス
【ボイス:2021年7月30日】池田昌生選手
攻守両方で上げていきたい
「そもそも僕自身が高卒でプロになるという目標、夢があった。それで2017年ですね、8月か9月に練習に参加させてもらったんですけど、その年に湘南がJ2からJ1に上がったのもあって、採れないという話になって。そこで提携している福島の練習に参加してくれという話をもらって、練習参加から福島に加入という形になりました」
大学経由でプロになる選手も多い中、大学でサッカーをやるという選択肢はなかった。
「シンプルに、大学の4年間サッカーに打ち込める自信がなかったというか(笑)。僕、高校が東山高校なんですけど、ここは鎌田大地選手(フランクフルト)がいたというのが選んだ理由の一つなんです。鎌田選手も高卒でプロになっていて、それを目標として高校3年間やってきたので。高卒でプロになることしか頭になくて」
とはいえ福島は、スタジアムの問題があり、池田選手が在籍した期間にJ2ライセンスが下りる目処は立っていなかった。そうなると籍を置く選手には、それなりの覚悟が必要だ。
「自分が思い描いていたプロサッカー選手とのギャップがやっぱりあって、そこに戸惑いや葛藤が正直、最初の頃はありました。高卒でプロになることは叶ったけど、J3だったので。自分で選んだんですけど、モヤモヤというか。練習場などの環境的なことは、やっぱりJ1と比べると違うので。でも、湘南のスカウトの牛島さんがしょっちゅう福島にも来てくださって、なんのために福島に入ったのか、なんのためにサッカーをやっているのかっていうことを何度も言ってくださって、日々モチベーションを保つような言葉をかけてくれたのはありがたかったです」
仲間にも恵まれた。
「家族や子どもがいる選手もいたし、上のカテゴリーからきた選手もいる。でも全員がもう一度上のカテゴリーだったり、J1で活躍したいっていう選手が集まってきてますし、それこそ高卒の僕とか大卒で入った選手は、上だけを目指して日々の練習に取り組んでました」
モチベーションを落とさず、サッカーに取り組み続けた結果、ベルマーレからのオファーを勝ち取った。
「湘南の試合はあんまり見てなかったですけど、1度練習にも参加していたし、牛島さんが何回も福島の練習に顔を出してくれていたのもあるので、勝手に親近感が湧くというか、身近な存在になっていた。実際、加入しても本当に馴染みやすかったです。コロナでキャンプの部屋が一人部屋だったり、難しいところはあったんですけど、その分グラウンドでコミュニケーションを多く取るようにしてましたし、もともと在籍していた選手も、意識して話すようにしてくれていたと思います」
持ち前のコミュニケーション能力でチームに馴染む一方、チームとしてカテゴリーの差がもたらす違いには驚いた。
「サッカーという面でJ3からJ1の差っていうのはあるだろうなっていうのは思ってましたけど、自分の中でやれる自信があったから選びましたし、いざ実際に入ってみたら個人としてのレベルの差っていうのは特にないなって素直に思いました。どちらかというと練習の質、パススピードだったり、切り替えの速さだったりというところはレベル差を感じました」
福島時代もパススピードや切り替えの速さなどは、要求されていた。しかし、J1で要求されるそのレベルは、想像を超えていた。
「技術の差は多少あると思います。今でも練習中に『上手だな』とか『すげえな』ってちらほら思うことがあるので、シンプルに選手一人ひとりのレベルの差は多少なりともあると思うんですけど、それよりもチーム全体としてのレベルの差を感じました。一人ひとりの意識だったり、さらに上を目指している集合体なので、それがプレーとして表れているのかなとは思います」
練習からレベルの違う環境に身を置く今、そこにいることの意味を感じている。
「自分が目標としているところの選手には、まだまだなれてなくて、そのためにJ3とかJ2よりはJ1に自分を置くことで成長のスピードが全然変わると思うし、それを今、実際に感じています。なので、もっと早くからJ1で戦いたかったなというのは思います。1年前、19歳、20歳からJ1でやっていれば、もっと成長していたんじゃないかなっていうのは、すごく思いますね」
練習グラウンドで、公式戦のピッチの上で、経験するすべてが成長スピードを加速させることを感じている。だからこそ新たに突きつけられる課題にも前向きに取り組んでいる。
「もっと一つひとつのプレーの精度と強度を上げること。パスの精度、シュートの精度。プレーの強度というのは、これから暑くなってきますけど、きつい状態のときでもスプリントできるとか。チームの選手のためにスペースを空けるためのランニングだったり。いつも言われていることは自分のスピードを前に活かすこともそうだけど、守備のときに後ろにスプリントすること、プレスバックの強度も大事だと。僕自身の課題はやっぱり、プレーの精度と強度を高めること。それは攻撃も守備もどっちもなんですけど」
守備も攻撃もどちらも求められるポジションでもある。しかし、レベル高く要求されるのもまたJ1のチームにいる喜びでもある。
「めっちゃ楽しいですよ。 J3のときに見ていた選手たちと一緒のピッチに立って試合をしているっていうのがやっぱり楽しいですね。代表選手とか。今、その選手たちとやってるなって」
J3で戦いながら夢見た舞台に今、立っている。もちろんそれだけで満足するつもりはない。むしろこここそがスタートラインだと知っている。