ONLY ONE STORY

29 MF MIYUKI HIDETOSHI

MY STORY

-紆余曲折、出会い

プロになりたいと本気で思ったのは中学1年生の時です。自分の中でプロに行く一番の近道だと思って、中学・高校とJFAアカデミー福島に行きました。
必ず高卒でプロになると思いながらサッカーをやっていた中で、ヴァンフォ―レ甲府でプロになるという目標が叶いました。
華やかなサッカー人生をイメージしていましたが、1年目に前十字靭帯断裂のケガをしてしまいました。
復帰してからもなかなか試合に出られず、2年過ごした甲府を離れることになりましたが、なかなか次のチームが決まらずJ3の相模原に行きました。プロになってからの3年間でJ1、J2、J3の全部のカテゴリーを経験しました。

その後、自分の中で設定した目標があって、必ずJ2以上でやりたいという思いがあったので相模原を1年で退団することを決めました。
とはいえ、なかなかチームが決まらずいろいろな人に助けてもらってようやく1チームに声をかけてもらうことができたんです。でも、最終チェックのために練習に入って確認させてほしいと言われた時、反対の前十字をまたケガしてしまって…。
直前までいってチームも決まらず、その時はショックでしたけど、そのリハビリ期間中が僕のその後の人生を大きく左右するような期間だったかなと思います。

というのも、所属チームがなかったので、3年ぶりにJFAアカデミーにお世話になったり、JFAアカデミー繋がりの選手が神奈川大学にいて、監督をされていた長谷川大さんに話をしてくれて神奈川大学で1ヶ月半練習をさせてもらったり、相模原でもう一度練習させてもらったりと、その時に出会った方たちに本当に助けていただきました。
いろいろな方にお世話になり、信頼関係を築くことができ、自分自身も人として成長することができたと思える一年間でした。

その後、レノファ山口に拾ってもらって、そこから4年間プレーしました。拾ってもらえた恩を返したいという気持ちでプレーしていましたし、僕にとっては霜田監督と出会えたことが本当に大きな出来事でした。
霜田監督は自分のサッカーに対する考え方を変えてくれた方です。
出会う前の自分は、サッカーが好きでそれが仕事にできて嬉しいな、楽しいなという気持ちでやっていたんですけど、ある時霜田監督から「サッカーに人生懸けてるか?」と言われたことがあって。「それぐらい好きです」って答えたと思うんですけど、「じゃあ、体脂肪はどうなんだ?寝る時間は、栄養面どうなんだ?」って細かい要素のことをたくさん言われて、そう考えたら人生懸けてるって言えるのかなと思う自分がいました。
キャプテンという立場を24歳でやらせてもらっていたんですけど、監督の意図やチームを引っ張るというのはどういうことなのかとを色々考えさせられました。

キャプテンをやるにあたって、霜田監督からは「自分が困った時、パッと後ろを振り返った時に自分の後ろに何人の人がついて来てくれているかを常に考えて生活をしなさい。先頭に立つ人が右に行ったり左に行ったりしたら後ろの人も迷うし、先頭が迷ったらはぐれなくても良かった人がはぐれてしまうこともある。ちゃんと真っすぐ歩きなさい」といったことを言われました。
それってどういうことなんだろう、と考えながら2年間キャプテンをやらせてもらいましたが、自分の中で一番大きく変わった時だったと思います。

MY ASPIRATION 2021

-決意

去年移籍を決断して湘南に来ましたが、正直苦しい時間を過ごしました。
霜田さんに出会う前の感覚でサッカーをやっていたら、すぐに移籍を考えたり、もしくは意固地になって主張してみたりという自分だったと思います。でも、山口から出る時に「どんなことがあろうと、ちゃんと耐える力があって、力を発揮できる能力を備えているから自信を持って送り出せる」と言って送り出してもらったので、そう思ってくれている人が一人でもいるということが支えだったし自信でもありました。
自分だけ違う道に行くということは考えられなかったし、少しずつですけど歩みを進めて一年間を過ごせたと思います。そういう意味では、試合になかなか出られないながらも成長を感じられました。ただ、このまま終われないという思いも常に持ってやっていました。

自分たちは試合に出てこそ評価されるものなので、環境を変えるというのは選択肢として悪くないと思うし、プロの世界では普通のことだと思います。
でも、同じ環境でも自分が出て活躍できるように、自分らしさを出しながらチームのためを思ってプレーする、ということを僕は選択したので、最後までやり切りたいと思います。
去年満足できることはひとつもないので、自分自身も変化しながら、信頼を勝ち取っていきたいと思っています。

そういう意味では、自分が自信を持っているところと、やらなければいけないことが整理できて今シーズンに臨むことができています。
もちろん、人と一緒じゃ意味がないという気持ちもあるので、自分らしさをきちんと出しながら、チームの勝利のために力になりたいと思っています。
本当に大事な一年になる、という決意のもとで毎日を過ごしています。