ボイス
【ボイス:2020年12月29日】岡本拓也選手
キャプテンとしては50点
キャプテンは、これまでの選手生活を通して初めての経験。シーズン初日の練習後に浮嶋監督から打診され、そのまま素直に即決した。
「純粋にうれしかったですね。光栄なことだと思ったし、J1のクラブでキャプテンを経験できるっていうのはなかなかないことだなと思うので、『はい、わかりました』って感じでした」
もちろんキャプテンの大変さは、先輩たちを見て理解していた。それでも、その大変さを超えて求めたものがあった。
「去年のシーズン、自分のなかではすごくうまくいかなかったシーズンだった。ケガもしたし、手術もしたし、個人としての成績も残せなかったので物足りなさがあった。それにベルマーレも5年目になって、同じチームに5年いるということがなかったので、自分はこのままでいいのかな? 同じことをしててもなっていう気持ちもあった。ベルマーレが変わるタイミングで自分もやっぱり何か変わらないといけないと思ったので、キャプテンを引き受けることによって人間的にも成長できればなと思いました」
目論見通りといっては酷だが、社会的な情勢も手伝って、難しいシーズンを過ごし、人間的にもサッカー選手としても大きく成長した年となった。が、そこは「この社会的な状況のなかで大変なのは、みんな一緒じゃないかなと思うので」と自らの立場を特別扱いすることはない。
また、その社会情勢が試合開催に影響し、タイトなスケジュールが組まれたことで、多くの選手に出場のチャンスが周り、今シーズンは若手も多く活躍した年となった。岡本選手も高校生で2種登録され、プロデビューをしている。その目には、どんなふうに若手選手が映っているのも気になるところ。
「いや、本当に頼もしいなと思いますし、なんというか、臆せずプレーをするなっていう印象がありますね。物怖じすることなく練習のときと変わらないようなテンションで試合をしてますし、肝が据わった選手が多いなと思います。本番力があるというか。『試合で、こういうプレーができるんだ』と思わせる選手が多いですね」
思い返せば、自分自身も高校生でデビューを飾っている。比較してもらうと、「今思うと、自分も同じように相当怖いもの知らずな感じだったと思うんですけど、それがやっぱり若さの特権だと思う。僕もホント何にも考えずにプレーして、上の選手にすごい助けてもらって、カバーしてもらっていたんで、そういう役割ができればいいなとは思っています」と笑った。
自分が受けた恩を後輩に返していくのは、どんな世界でも同じ。今、岡本選手はそういう立場にいる自覚がある。しかもキャプテンとして、彼らをまとめてきた。
「まとめてきてはないですね(笑)。そんなに大層なものじゃなくて、本当に一緒に積み重ねてこれたなと思います」
キャプテンとしての自分に点数とつけるとしたら「50点」だという。
「半分が悪すぎたので。どんなに難しい年だったとしても結果は残さなければいけない仕事ですし、満足できる順位ではないので」
だからこそ、来シーズンに託す思いがある。
「今シーズンは、僕たちもそうでしたけど、ファン・サポーターの皆さんに本当に苦しい、悔しい思いをさせてしまったと思うので、来年はしっかり自分たちの戦いを披露しないといけないと思っています。それに来シーズンは、ベルマーレにとってここ数年でもすごく大事な年になると思うので、そういう覚悟を持って戦いたい。一緒に戦ってもらえたらうれしいです」
取材・文 小西尚美
協力 森朝美