ボイス
【ボイス:2019年11月6日】岡本拓也選手
勝つためにプレーしたい
「決断に後悔はないけど、ただまぁ難しいシーズンにはなった。自分個人も苦しいシーズンを過ごしているとは思います。
今年の最初の頃、少しケガをして痛みがあるなか、自分のパフォーマンスが出せない苦しさがあって、でも試合はやってくるっていう葛藤があって。本当にいっぱいいっぱいな状態で浦和戦を迎えて。自分自身目指していた試合だったからここまではやりたいなと思ったんですけど、アップのときにガタが来ちゃったかって感じで」
期限付き移籍を重ねて帰らないまま完全移籍で離れた浦和との初めての対戦。5月17日に迎えた第12節、この試合には並々ならぬ思いで臨んでいた。しかもこの試合は、自分のケガに加えて大きなハプニングもあった。
「まず僕のアクシデントがあって、0-2になりながら誤審があって。すごい大変な試合だったけど、最後はみんなの力で勝った。山根(視来)のゴールが決まったときはうれしくて(笑)。一緒に頑張ってきた選手が最後まであきらめずに、ああいうゴールを決めてくれたのはすごいうれしかった。裏でもう号泣しちゃって。すごいいい試合だったと思います」
試合は勝利し、自身も試合後に他の選手にいじられるほど喜んだが、一方でアップのときにケガをしたことでチームに迷惑をかけたことは落ち込む理由となった。また、ケガも予想以上に長引き、シーズンの前半はほとんど試合に出ることがなかった。
「後半戦に向けて、そこで力を発揮できるように今はリハビリを頑張るしかないと思ったけど、復帰をすればやっぱり復帰してからの方が大変で。コンディションを上げるためには厳しい練習もしなくちゃいけない、でも身体が動かないという状態で気持ちと身体がうまくリンクしなくて。自分のなかでは以前の動けるイメージで動いているけど、身体は筋力も感覚も戻ってないからイメージした動きができない。リハビリ明けは当たり前なんですけど、ちょっと気持ちも身体もしんどかったです」
第21節鹿島アントラーズ戦(8月3日開催)で復帰した後は、後半から途中投入されることが多かったが、第24節ベガルタ仙台戦(8月24日開催)でスタメン入り、続く第25節浦和戦(9月1日開催)でもスタメンでピッチに立った。
「福島でキャンプをやって、試合もうまく途中出場から重ねて行けて、徐々に良くなってきたのかなと思います。浦和戦は、前回悔しい思いをした分、自分の良さを前面に出したいなと思いましたね。前半はチャンスを作れたし、自分自身も突破できていたので良かったと思いますけど、後半はちょっとトーンダウンしてしまったところはあったと思います」
この試合、後半からマッチアップしたのは、関根貴大選手。アカデミーの後輩だ。
「対面する選手が前半と代わって関根が入ってきて、ちょっとお互い牽制しあった感じになっちゃたかなと。お互いにわかってるんで、少し変な探り合いみたいな感じになっちゃいました。試合前から連絡をとっていて、マッチアップできたらいいなと思っていたので、それは良かったんですけど」
浦和戦後は、全ての試合にフルタイムで出場している。それは、大敗を喫した清水エスパルス戦も、川崎フロンターレ戦も。特に清水戦の6失点は、ショッキングだった。
「攻撃面ですごく手応えがあって、自分も走れていたし。本当に失点するまではすごく良かったと思う。ただ2点目の失点をしてから精神的にぐらついた。チーム全体に動揺が出てしまった。やっぱり2点目を与えちゃいけないというのはみんなわかっていたし、気をつけていたセットプレーというのもあった。それでも2失点で抑えておけばまだわからない。それが3点目4点目を取られると厳しい。本当にああなってもみんなでまとまってやっていくしかないとは思う。プロになってから今までにない経験でしたし、なかなかショッキングではありました」
チームとしても、個人としても課題は攻守に渡る。
「失点が嵩んでしまっているので、いいポジションから守備をするっていうのはもう1回やらないといけないと思うし、攻撃面だったら最後のクオリティを上げていかないといけない」
自分の良いときを知っているからこそ、そこに妥協はない。
「自分の良いときはゴール前に、ペナルティエリアに入っていけてるときだから、そういう回数を増やしていきたいなとは思います。復帰してからゴールに近づいてきてると思うし、それを出すためにはベースの守備のところをしっかりやらなきゃいけない」
来年もこのカテゴリーを主戦場とするためには、どんな事情があろうと、これ以上負けるわけにはいかない。
「監督がいない状況で少しずつ少しずつみんなの意識のズレみたいなのが出てきてしまった。少しでもズレてくると僕たちの良さは発揮できないので、もう一度まとまって、難しい状況ですけど、選手だけじゃなくてクラブ、スタッフ、サポーター、みんなで、ベルマーレに関わる人たちすべてで一つになって、みんなで協力して戦いたい。みんな勝ちたいと思っているし、負けていいなんて誰一人思っていない。『勝つ』という目的はみんな一緒だと思うし、勝つことがクラブの幸せに繋がっていくと思うので勝つためにプレーしたいなと思います」
2019シーズンを後悔しないために。ここからまた妥協を許さない時間を歩んでいく。
取材・文 小西尚美
協力 森朝美