完全移籍を決めた理由の一つとして挙げたプレー面の変化。ベルマーレで4年目を迎えた今シーズンのプレーを見ると、加入したばかりの頃のプレーはまるで別人のようだ。

「ゴリゴリのファイタータイプのセンターバックだったんですけど（笑）。昔の僕を知っている人が見たら、びっくりするようなポジションをやっていると思うし、信じられないようなプレーをしていると思うんですよね。自分でもこういうプレーというか、ポジションができるとは思っていなかったですね」

　3バックの右を務めることが多かったベルマーレでの1年目。2年目からは、一列前、右のサイドハーフを担うことが多くなり、やるべきことが増えてプレーに変化が現れた。敵陣深くサイドをえぐったり、ペナルティエリア内まで侵入して、攻撃に絡むシーンが数多く観られる。

「映像を見たりもしますし、いろんな選手のプレーを見ながら、『これなら自分もできるんじゃないかな』とか『ちょっとやってみようかな』とか、そういう繰り返しだと思います。曺さん（曺貴裁前監督）からは『思い切って良さを出せ』と言われました。多分それが、僕の場合は苦手なプレーも良くしてくれるからというような感じ。僕の良さはやっぱりディフェンスでしっかり守って前に出ていけるところ。いい守備からいい攻撃につなげていくことで思い切ったプレーもできるようになっていくので、守備をしたり、しっかり走ったりっていうのは自分のなかで大事なバロメーター。そうすることで自分があんまり得意じゃないなと思っているプレーに前向きに取り組めるようになるタイプなので。それは曺さんが気づかせてくれたことでもあるし、自分でも確かに『こうやるといいな』というのがわかってきました」

　サイドから中央へ切り込んでいくことも増え、左右どちらの足でも躊躇なくキックを蹴ったり、自ら得点を狙うシーンも多い。

「普段、特別蹴り込んだりはしないんですけど、たとえばアップのときのロングボールとかはほとんど左足で蹴ってるとか。一つひとつの練習のなかの質を上げる。去年ぐらいから左足で蹴るっていうのはちょっと意識して取り組んでたところです」

　できることが増えることで、プレーの幅がまた広がっていく。

「精度はまだ全然高くないですけど、選択肢のうちの一つとして持てるようにはなってきているので」

　変わらないのは「ファイター」なところ。

「それは自分で大事にしているところなので」

　監督が代わったことで担うポジションや役割にもまた変化が生じることがあるかもしれない。それでもここまで磨いてきた武器はさらなる高みを目指すのに役立つはずだ。