トップチーム
記者会見内容について
10月4日(金)18:00より、Jリーグからの制裁内容を受け記者会見を行いました。
記者会見の内容につきましてご案内いたします。
【出席者】
・株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役会長 眞壁潔
・株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役社長 水谷尚人
・湘南ベルマーレ 監督 曺貴裁
・コンプライアンス委員会 担当役員 水戸重之
・曺監督 代理人弁護士 今井史郎氏
【記者会見内容】
●代表取締役会長 眞壁潔
この度は、曺貴裁監督のパワーハラスメント問題で大変辛い思いをされた方にお詫び申し上げたいと思います。申し訳ございませんでした。
また、大変なご心配をおかけしている湘南ベルマーレの支援者の皆さん、ホームタウンの皆さん、そして同じサッカーを戦っているJリーグのクラブの皆さん、同じサッカーファミリーの皆さんに心からお詫びすると共に、日本中のスポーツを楽しんでいる多くの皆さんにお詫びしたいと思います。申し訳ございませんでした。
本日12:00、公益社団法人日本プロサッカーリーグに行きまして、村井チェアマンより今回の案件に関する通知書をいただきました。簡単にご紹介いたします。
湘南ベルマーレ監督 曺貴裁殿、貴殿の違反行為に対する制裁の種類及び内容について決定しましたので、本書をもって通知いたします。
(1)制裁の種類及び内容等
・けん責(始末書をとり、将来を戒める)
・公式試合5試合への出場資格停止
※後者については、すでに自粛している5試合をもって、本制裁を科したものとする。
(2)違反行為の内容
1.曺氏は、多数のスタッフに対して暴言及び有形力を行使するといったパワーハラスメント行為を長期間且つ、多数回繰り返しており、その結果、スタッフが出勤できなくなったり、精神的に辛い思いをするなどの被害が複数生じた。
2.曺氏は選手に対してパワーハラスメントに該当する不適切又は問題となり得る言動が少なからずあり、一部の選手において精神的な苦痛を感じたり、移籍をせざるを得なくなったりするなどの被害が複数生じた。
株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役社長 水谷尚人殿
貴殿クラブトップチーム監督の曺氏に関わる制裁の種類及び内容に関し、下記のとおり決定しましたので本書をもって通知いたします。
(1)制裁の種類及び内容等
・けん責(始末書をとり、将来を戒める)
・制裁金200万円
(2)違反行為の内容
曺氏に関し、Jクラブとして容認し難い(パワーハラスメント等に該当する又は該当し得る)言動があったことを認識し又は認識し得たにもかかわらず、積極的・能動的な事実関係の詳細把握や、同氏に対して改善を求めるなど、被害の発生・拡大防止や職場環境の改善に努めるべきであった。にもかかわらず、何ら積極的な行動に出ることなく、曺氏の言動を事実上容認し、多くの関係者が理不尽な目に遭ったりする等の被害が生じ、社会的非難を受け得る状況を招いた。
以上、2つの通知書をいただいております。
続きまして、私ども湘南ベルマーレが本日通知書をいただくまでの経緯について、Jリーグでも説明済みかと思いますが、私どもの経緯をもう一度説明させてください。
7月上旬に、JFAの暴力等規制相談窓口に投書がございました。運用規則によりJリーグのほうに通知が出され、Jリーグが調査をするということで、調査日を8月20日に設定いたしました。
8月11日の磐田戦後、日をまたいでいますので実質12日ですが、曺貴裁のパワハラという一部報道が出まして、私どもも調査内容については一切知らされておりませんでしたので、この段階で初めて曺貴裁のパワハラでの調査だったという認識をいたしました。
翌日幹部でミーティングをしまして、曺監督に現場に来ないように自粛をお願いしました。彼自身も起きている事象をはっきり調べてもらったほうがいい、そういうことを続けてきた認識はないのでぜひそうしていただきたいということで自粛をすることになりました。
その後、Jリーグの調査が始まり、9月の上旬頃、私どもからベルマーレのコンプライアンス委員会として再発防止を目的としたヒアリングをしたいとお願いをしました。これは、Jリーグの調査は守秘義務契約をしておりまして、その内容を詳細に、今日一部出ましたが、私どもにくる可能性は低いと当時思ったため、起こっている事象に早く対応するためには早い段階から起きている事実を我々が認識をしなければいけないと考えました。
Jリーグ側との協議の結果、進めて構わない、と。但し処罰に関してはJリーグがすべて管轄としてやるので、そこに対抗する軸の調査ではないことを約束してほしいということだったので、我々はあくまでも、起きた事象から再発防止策を考えるということで、大変申し訳なかったのですが、再度選手とスタッフに協力してもらい、私どもは58名でしたがヒアリングを9月12日までさせていただいています。
9月25日にこのコンプライアンス委員会から概要の報告書を受理しました。と同時に、再発防止に関しての組織のありかた等を検討する作業に入り今日に至っています。
同時に、スポンサーが約700社ほどいらっしゃいますが各社に、また株主333社に、今回の事案に関するご意見をいただきたいとお願いしました。120件ほどのご意見をいただきました。
引き続き、9月27日に取締役会で、我々の調査から出た内容を共有させていただき、この裁定がどう出るか分からなかったものですから、もう二度と曺監督が戻れないパターン、曺監督が何らかペナルティを受けながらも戻るパターン等々をご説明し判断をご一任いただきました。
翌9月28日に株主の皆さんに懇談会という形で同じようにご説明をし、皆さんのご意見をいただきました。翌29日に、サポーターの皆さんに何も発信できずにいましたので、クラブカンファレンスという通常年に3回行われるサポーター向けのカンファレンスで、前の2日間でやった中での、話せるところまでの我々の考え方をお示ししたつもりです。
9月30日に湘南ベルマーレスポーツ評議会を開きまして、ここで今回のことの説明と決断のご一任をいただいています。
このスポーツ評議会は2011年に海外では事例があるのですが、私ども取締役の役員は現場で執行している人の集まりで、スポーツ評議会は権限や責任はないのですが、我々の上部に位置して、NPO法人も含めて我々の活動に対して、例えば大きな借金をするとか、今回RIZAPの傘下に入りましたので、そういった重要な案件をお諮りし承認をいただくということになっています。各ホームタウンの商工会議所の会頭が中心で、ホームタウンによっては市長が名前を連ねているところもございます。
そういった経緯で、先ほどご説明しましたJリーグからの通知を2通いただいたのが経緯でございます。
引き続きまして曺貴裁監督より謝罪をさせていただきたいと思います。
●曺貴裁監督
Jリーグ及び、ベルマーレに関わる関係者の皆様、そしてこの僕の問題で苦しい思いをされた全選手、スタッフの皆様、そして将来プロを目指している子どもたち、その他大勢の人に自分の至らなさで、こういった問題を引き起こしてしまい、またご心労をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
今回出たJリーグの裁定を真摯に受け止めるだけではなく、受け手の人たちがどう感じたかというものにもっと想いを馳せて行動しなければいけないですし、皆様からのお声を、自分自身が本当に突っ走ってきた指導者人生の中で、振り返る大きなきっかけにしなければいけないと思っています。
そして、心からだけではなくて、自分の全身全霊をかけて内省を深め、自分が犯したこういった事象に向き合い、乗り越える努力をしていきたいと思います。
本当にサッカーに関わる皆様、サポーター、スポンサーの皆様、すべての関係者の皆様に、心よりお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。
(眞壁会長)引き続きまして、Jリーグの調査委員会と協力してやってまいりました私どものコンプライアンス委員会の担当取締役の水戸より報告をさせていただきます。
Jリーグの調査より簡単なものだと思われるかもしれませんが、私どもの調査では、極力個人が特定できない表現の仕方でやっております。ここでも多くその可能性がありますので少し量を控えた報告書になっております。
●コンプライアンス委員会 担当役員 水戸重之
担当取締役の水戸でございます。私のほうから独自の調査についてご説明申し上げます。4名で調査委員会を立ち上げました。この4名の先生は湘南ベルマーレとは直接の取引、関係のない、第3者性の高い方にお願いしました。この4名の先生に加え6名の弁護士にもご協力いただき10名体制で調査をしました。
Jリーグの調査と並行して行う意味については先ほど眞壁会長からお話をいただいたとおりなんですけど、大事なことだけ申し上げますと、重点としてはいまのクラブの体制にどういう問題があって、改善するにはどうすべきかということに重点を置き、そのための調査ということになります。Jリーグの調査を待ってからでは遅いという我々の判断もありました。
調査対象としては2016年1月から2019年7月までの4年間で、クラブの管理体制を確認するということになりました。
調査委員会の報告書をいただいておりまして、そこで認定されている事実としては、固有名詞は避けますが以下読み上げます。
「曺監督により、選手スタッフに対する暴言、長時間にわたる一方的な叱責、それらの際にものを叩いたり蹴ったりするなど、不適切な指導が日常的に行われており、それによって選手スタッフに対し決して軽微ではない心身の不調が生じ、練習に参加できなくなったような事例も複数存在した。それらの事例における曺監督の言動はパワーハラスメントに該当すると言わざるを得ない。また、曺監督が選手のケガやそこからの復帰に関し、選手やメディカルスタッフに不適切な内容・方法で指示を行い、ケガの悪化等に繋がったと認められる事例も複数存在した。そのような指示は典型的なパワーハラスメントではないにしても、チーム内における優越性を背景とした不適切な指導としてパワーハラスメントと同様の評価を受けるべきである。尚、以上の判断は公益財団法人日本サッカー協会の懲罰規定、独立行政法人日本スポーツ振興センターの第三者相談委員会のパンフレット「スポーツからハラスメントをなくそう」などを参考にしつつプロサッカーチーム及びプロサッカー選手という特性を踏まえて行ったものであります」
という報告を受け、我々としては真摯に受け止めております。
これを受けてクラブとしては再発防止策を考えております。監督のみならず、クラブ全員に対するハラスメントに対する教育の徹底、監督に対する監督指導体制、強化部の強化、チーム内のスタッフの役割の明確化とその尊重、ハラスメント相談窓口の整理を考えております。以上です。
(眞壁会長)続きまして、再発防止のさらに詳しい内容について、短い時間ですが我々が検討し明日から実行する内容について、社長の水谷より報告させていただきたいと思います。
●代表取締役社長 水谷尚人
湘南ベルマーレの水谷でございます。クラブで設置したコンプライアンス委員会の調査、提言及び、本日Jリーグから裁定の結果をいただきました。この内容をしっかり受け止めて、真摯に向き合って取り組んでまいりたいと思います。二度とこのようなことが起こらないために、再発防止策として大きな柱で4つ考えております。
ひとつは強化体制の強化です。そして相談窓口の設置、そしてコンプライアンス研修の実施、湘南ベルマーレとしてのきちんとした基準作りという4つを掲げてまいりたいと思います。
まず、強化体制の強化についてですが、トップチームの強化体制につきまして、私自身、社長が陣頭指揮を執ってしっかり管理してまいりたいと思っています。
そして、GM(ゼネラルマネージャー)職を設置したいと考えております。そしてGMの下にスポーツダイレクター、そしてメディカルチームという柱でいきたいのですが、ここが今回ひとつ調査結果を受けてのひとつの反省でもあります。メディカルチームの独立性を改めてしっかり持ちたいと思い、この2本柱にしております。
また、我々の中ではなく外部の相談窓口を設置したいと考えています。選手から、あるいはコーチングスタッフから、メディカルスタッフから直接コンタクトができるように、また本人の守秘義務がしっかり守られるような空間を作りたいと考えています。
相談窓口に関してはこれまで縁のない方を紹介していただいて、弁護士先生のところにお願いしたいと思っています。また、法的なことになる以前に、メンタリストを設置したいと思っています。
そこで、本人の承諾を得てですが、基本的にはそこからの情報は本人との間なんですけど、必要であれば社長の私に直接情報がまわるような形を作っていきたいと思います。
また、外部の窓口はJリーグの選手協会も設けていますし日本スポーツ協会、そういった複数の相談窓口も紹介していきたいと考えております。
3つ目のコンプライアンス研修の実施に関してですが、経営サイドも含めてコンプライアンスの認識の甘さが指摘されています。これを深く反省すると共に、この研修はフロントスタッフも含めてですが、しっかりコンプライアンスについて勉強していきたいと思っております。
もうひとつ、報告書でもいくつか指摘をいただいているのですが、今回基準となっていますのは、当然ながら一般企業の基準となっております。そんな中、プロスポーツである湘南ベルマーレとしてそこに向き合っていきたいと考えています。何がコンプライアンスの違反になるのか、何が正しいのかというところを、クラブが勝手に作るのではなくて、ベルマーレの選手協会、選手と一緒に作っていきたいと思っています。
これはすぐにできるものではないかもしれませんが、そこに向き合って作っていきたいと思います。
多くの地域の方、支援者の方に支えていただきながら、共に歩んできたクラブがこのような事態を起こしてしまいまして、本当に皆様に申し訳なく思っているところでございますが、二度とこのようなことがないように、私自身が会長と一緒に先頭に立ってこの問題に取り組んでいきたいと考えております。
【質疑応答】
—(眞壁会長へ)クラブ幹部が状況を改善できなかったというJリーグの裁定があったが、クラブ内部での処分というのはあるのか?
管理監督責任に関しては重く感じております。今日の裁定を受けて私と水谷が代表ですが、勝手に処分内容を決めるわけにはいかないので、役員会、大株主の皆様に審議をしていただいて、我々のペナルティを早い段階で決めていきたいと思います。
またスタッフの配置換え等も考えながら対応していきますが、現時点では、先ほど裁定が出て今ですので、内容を確認してからと思っておりますので決めておりません。
—(眞壁会長へ)曺貴裁監督の去就、進退については?
Jリーグからは5試合の出場停止、また自粛期間を含むという裁定をいただきました。ただこの間、Jリーグの調査が終わって曺と話していいよということになってから、たくさんの会話をしてきました。大変落ち込んで、反省をしてという日々だったと思います。皆さんご存知のとおり曺監督のサッカーとは、選手やスタッフもそうですが、曺自身もエネルギーが生まれてこないようではとても指揮は執れないと考えています。今日この通知を受けて、また難しい状況の中を向き合って検討していきたいと思っています。
—(眞壁会長へ)今日Jリーグから裁定が出て、選手やスタッフには伝わっているのか?あるいはどのように説明されるのか?
先ほど経緯でご説明したように、たらればの設定でしたが役員会、株主総会、評議会等でご報告させていただいて、同時にご意見をいただいたスポンサー企業が120社ございましたが、いろんなことを加味して方向性をいくつかに絞りました。その上で、今日のお昼の時間帯に通知をもらって、選手に詳しく説明するのは難しいだろうと思いましたので、実は前の日に、全選手・スタッフにこうなったらこう、こうなったらこうクラブは考えるという通知をいたしました。同時に、今回選手・スタッフの中に辛い思いをした方が入っている可能性がありますので、昨日の朝7:00から41名個別に水谷と二人で話を聞いて、彼らの考え方を共有させていただきました。
そして今日の通知を受けて、なんとかクラブに早く帰れそうでしたので、選手たちにまた集まってもらって15:00前から、Jリーグの会見がおそらく終わったあたりだと思いますが、今日の通知について説明をし解散をしました。
—(眞壁会長へ)クラブ内の処分の期日の見通しはどれくらいか?
期日は設けておりません。そんなに簡単な話ではないと思っているので、再度主要株主の方、役員の方のご意見を拝聴しますし、サポーターの意見を優先したいところですがなかなかそうもいかないので、社会の中で我々ベルマーレとして今後生きていくためにも、今回の裁定は、時間をかけると言っているわけではありませんが、それなりの充分な検討、協議を経て決定したいと思います。
—(眞壁会長へ)曺監督が自ら会見に出られた経緯は?
昨日の段階で皆さんへのご案内には出席者は私と水谷でございました。曺に関しては通知内容が全く分からない状態でしたから、どうすべきかというのがあり、来れなくなるかもしれないのに名前を入れておくよりは、通知内容を確認した後に本人に意思を確認してから出席させるべきだと思いました。本人が出席してお詫びをしたいというかなり強い意志がありましたので、出席をさせました。
—(眞壁会長、水谷社長へ)行き過ぎた指導を会長、社長が直接注意する機会はあったのか?
(眞壁会長)皆さんがお目通しになっているJリーグの報告書にも、管理責任のところに私のそういったことが書かれています。報告書に行き過ぎた発言があってそれを是正できたのではないか、と書かれていますが、私の目の前では過度な叱責というのは目撃したことがありませんし、試合後のロッカールームに曺の勧めで、2016年の10月から入るようになりましたけど、確かに怒ることはありましたが、そこでいわゆるハラスメントだととれるような怒り方をしたことはありません。
昨日、何人かの選手に、あの試合のあと曺に怒られていたけどどう感じていたのか等を聞きましたら、言われていることは間違いないし、最もだと思うことも多かったということでした。
練習場にはほとんど行かれないので、練習では見たことはありませんが、試合後のロッカールームではそういったことはなかったので、それを諫めようということもなかったです。
(水谷社長)私自身もなかなか練習を見に行けないですし、スタッフルームにいることもなかなかないものですから、直接それを見て、直接注意をしたということはございません。ただ、もしそういうことを受けていた選手がいた場合に、我々は勝手に思ってたんですけど、選手たちが辛ければ、直接私なり会長なりに話しかけられる空間、雰囲気を作っていたつもりでいました。昨日も実は選手とそういう話をしたんですけど、なかなかそこはうまく機能しなかったということは反省をしております。
その雰囲気づくりは引き続きやっていきたいと思うと共に、そのために今回GMという職を置きます。彼は監督の近くにいて監督を見ながら、選手を見ながら、選手もざっくばらんに相談できるような、当然我々にきてもらってもいいんですけど、そういった役目を担ってもらいたいと思います。それもひとつの再発防止だと思っています。
—(水谷社長へ)湘南ベルマーレの基準づくりという話があったが、ハラスメントを一般の社会と照らし合わせても、スポーツは特殊な部分があると思うがそのあたりの難しさはどう克服していくのか?
まさにそこを考えていかなければいけないと思っています。厳しい言葉とか大きな声とか、一般企業ですと例えば20人くらいのオフィスで大きな声を出すとそれに該当するかもしれないですが、サッカーの場合は当然広いピッチですし違いがあります。
ただこれから検討するんですけど、今の段階で思っているのは、人格を否定することや言ってはいけない言葉はしっかり取り組まなければいけないと思っています。ただ、今回基準をみんなで作る中でその意識を高めるために、こういう基準がありますよということを入団してくる、入社してくる前に提示することによってその誤解も多少は省かれるかなと思います。
「湘南スタイル」ということでサッカーのカラーを明確にしていることでそれを選んだ選手が集まってきたりしていますので。当然ながら社会を構成する者として一般社会のルールは守っていきますが、その中で我々の基準作りというものに取り組んでいきたいなと思います。
—(曺監督へ)普段試合を観ている我々としては、監督本人のパワーやエネルギーが重要なことは分かっている。それを理解した上で曺監督はもう一度ベルマーレでの指揮を執るということに関しては、現時点でどういう心境なのか?
僕は指導者として大人のカテゴリーだけでなく小学生、中学生、高校生と様々なカテゴリーに関わる中で、選手の成長に手を貸したいというか最終的に選手が成長したなと思えるような、自分自身がそういうことを乗り越えて次に向かっていけるようなそういった逞しく、観ている人に感動を届けられるような選手でいてほしいと、その一心でやってきました。それがプロチームのフィールドでも、スクールの子どもたちでもまったく同じ気持ちでやってきたつもりですし、今回のこのような周りの方々に迷惑をかけてしまったそのことが、僕が一番自分自身で起こしてはいけないと思っていたことでした。選手との関係性やスタッフとの一体感を最も大事にしてきたつもりだったので、その自分のマネジメント力の低さや先見性のなさ、指導者としての浅はかさなどを自分の中で痛切に感じているいま、湘南ベルマーレとかどのチームとかということを考える立場にありません。
僕がああしたいこうしたいということを、この場で申し上げても全く説得力はないですし、ただ一言もし許されるならば、自分は、人に対してそれが大人でも子どもでも、親しくてもそうでなくても、嫌がらせの類とか意地悪とか、嘘をついてその場を乗り切ろうといったことは自分の中で最も恥ずべき行為だと思っているので、そういうものが結果的に今回、意図はそうでなくても起きてしまったということに向き合う時間は必要でしょうし、この時間サッカーを集中して見ることも正直ほとんどできなかったですし、なので、自分の未来については自分がこうしたいということよりも、もし求められるものがあるのなら、僕のこの今の姿を真摯に見せられる場所があるなら、とは思っていますが、今日のこの時点で、僕を育ててもらったベルマーレのチーム、選手やスタッフの皆さんに対して、僕からこうです、ということはできないと思っています。
—(眞壁会長へ)監督の処分については株主やスポンサーや選手スタッフの意向を踏まえた上でないと判断できないものなのか?会長、社長の立場で今日決めるということはできないのか?
今の話で確認をしておきたいのですが、先ほど経緯で申し上げたように、曺に関してはJリーグにすべてお任せをする、と。我々は事象を勉強して同じことが起きないように苦しんでいる人が再生できるように、そういう策をやるということで役割分担を分けて、このコンプライアンス問題に向き合ってきました。
処分に関しては、Jリーグの出した処分を100%順守していくだけでございます。
その後、曺ができるかできないかというところで言うと、本人の気持ちと我々の主要ステークホルダーの皆さんのご意見を聞いて決めたい。僕と水谷で決められるものではない、あるいは役員だけで決められるものではない。
なぜなら、私どものクラブは1999年よりたくさんの市民に助けられてここまできたクラブです。その成果は去年、ルヴァンカップで示すことができ、あのたくさん来てくれた皆さんの顔を思えば、この二人で決めることは当てはまらないと思います。
—(眞壁会長へ)判断をする際に一番大事にするのはどういうところか?
一番大事にという順番はつけられないのですが、本人の気持ちとRIZAPさんと三栄建築設計さんは上場企業ですので、コンプライアンスの色々な規約がございます。これに合わせた考え方もあると思います。ヒアリングはしてありますが、これまでご意見いただたスポンサーの皆様や株主の皆様がおっしゃっていたこと等々をもう一度整理して決めたいと思います。誰が一番、何が一番という優先順位ではありません。
—(曺監督へ)自粛の期間、一人で過ごした時間も長かったと思うが色々なことを考えたと思う。調査結果が出たがご自身の哲学、信念が結果的にこういう捉え方をされていることをどう整理しているか?
僕はJリーグの中でも非常に長くひとつのチームを指揮している立場にあったので、とにかくチームを強くしようとか選手を成長させようということが、初年度よりも2年目、2年目よりも3年目とクラブの規模にかかわらず、頭の中をフル回転させて前に進まなければならないという想いだけでやってきました。去年ルヴァンカップで優勝して今年に臨むにあたっても非常に厳しいシーズンになるなと思ってピッチに立ったことは事実です。
ただ自分だけがそういう想いを加速させて、周りのスタッフや選手の本当に気持ちや本当はこうしたいんだけど言えなかったとか、その人そのものの真実のようなものを半ば度外視してしまった。プロの監督としてはそういう厳しさは必要というものもありながら、そういうものだけを重視して、本当に見えているものが見えなくなっていたのかなとこの50日近い時間の中ですごく考えることが多かった毎日でした。
人としてもそうですが、指導者としても自分のそういう信念そのものを今後さらに磨いていける材料にしなければいけないですし、先ほども言いましたが、許されるならばそういったものがまた自分の本当のものになっていくように真摯に努力するしかないと思っています。
—(曺監督へ)Jリーグの調査報告書では供述に対し監督が否定されているものもあったと思うが弁明があれば?
(今井弁護士)曺監督代理人の今井でございます。Jリーグの報告書のほうで多くの関係者の皆様の供述をもとに認定されているということなのですが、報告書にも記載がありますが、客観的な証拠が存在しているものが少ないと。ほとんどが供述により認定していると記載されています。また認定事実につきまして、一言一句、一挙手一投足正確なものとは言い難いということも記載されています。
こちらにつきましては、事実自体が何年も前の古いものもございます。その時の出来事において人の記憶だけで行動や言葉を正確に再現することは難しい部分がございます。そこまで言っていない、やっていないといった認識のずれはございます。ですが、具体的な内容につきましては、関係者の心情やプライバシーの問題もございますので、この場では内容を申し上げることは難しいと考えます。
事実につきまして、客観的な事実として例えば司法機関等で確定されたようなことではございませんので、その点は記載された事実が確定したものとして一人歩きすることはないようにご留意いただきたい、ということは代理人として感じております。結論として、パワーハラスメントに該当するが事実があったという評価自体を争う趣旨ではございません。
—(曺監督へ)Jリーグの会見でチェアマンから再起を歓迎するようなコメントもあったがどう感じているか?
裁定に関してはすべてまっすぐ受け入れようと最初から思っていましたので、どんな裁定であっても何かを発言する立場にありません。ただチェアマンからの再起をしてほしいという言葉は、再起と言うよりも、もう一度生まれ変わって、そういうものを含めてサッカーを通じて社会に貢献してほしいという強いメッセージをいただいたと思うので、いま僕が言うことではないと思いますが、有難く受け取っています。