ボイス
【ボイス:2019年6月11日】山﨑凌吾選手
トップリーグの戦いに刺激される日々
「1年目は苦しかったですね。怪我も多かったですし、自分自身大卒で即戦力として入った身なのに試合に出るという壁が高くて、結局リーグ戦も1試合、5分くらいの出場でした。苦しかったし、悩んだ時期でもありました」
4月28日に開催された第9節はアウェイの鳥栖戦。ちょうどリーグ戦、ルヴァン杯を含めて勝てない試合が続いたなかで迎えた試合だった。
「やはり思い入れはありますね。大学のときに特別指定で呼んでもらって、プロ1年目を過ごしたチームなので。鳥栖のスタジアムで試合をするのは楽しみにしていたし、成長した姿を見せられるようにという思いもありました。特に今年の試合は、いろんな思いがありました」
前線にフレッシュな選手が入り、チームに刺激と勇気を与えるプレーで勝利を引き寄せた。山﨑選手も得点こそなかったものの、攻守にわたってアグレッシブにプレーし、存在感を示した。成長した姿を見せたいという願いは、叶ったのではないだろうか。
プロ2年目、2016シーズンに期限付きで徳島へ移籍した。
「そのときも徳島には、前目に実績のあるフォワードの選手が結構いたので、試合に出られる保証はなかったんですけど、それでも1回外に出て、チャレンジしたい、成長したいという思いがあって、行かせてもらいました」
2016シーズンに徳島で指揮をとった長島裕明監督(現松本山雅FCトップチームコーチ)のもと、40試合に出場して5得点を挙げ、完全移籍のオファーを受ける。完全移籍後は前述の通り、ロドリゲス監督のもとで躍進した。
「2018シーズン、徳島で開幕を迎えて僕自身チームの中心として徳島をJ1に上げることは、必ず成し遂げたいと強く思っていました。そうしたなかで夏に湘南からオファーをもらって、徳島の監督やスタッフ、社長をはじめいろんな人に相談して、そんな簡単な決断ではなかったですけど、それでも僕自身、明確な目標や夢というのがあって。いろいろ複雑な気持ちはありましたけど、今は湘南に来て良かったと思います」
明確な目標、それは日本代表だ。
「徳島で結果を残せて、自信がついた。それがあったから多分、代表が明確な目標になったと思うし、そのために湘南にも来ました。14得点は、すごく重要なポイントだったなと思います。だから監督にも湘南に移籍する決め手も含めて、僕は本気で代表を目指してサッカーをやっているし、J1でプレーするチャンスなので、行きたいですっていう話をしました。でも、このチャンスがいただけたのも徳島で成長できたからだと思うのですごく感謝しています」
徳島で得た自信を糧にベルマーレへの移籍を決断して、代表が目標であることを言葉として発信するようになった。それは、さらなる成長のステップへ、自分自身を後押しするため。ベルマーレでプレーすることは、必ず代表選出に繋がると信じている。
「代表を目標にしてますけど、その目標にはまだまだ全然足りないところがある。まず結果という部分で、自分自身のゴールが少ないので、そこはやっぱり結果を残さないとそういう舞台にも行けないし、プレーの質ももう少し上げないといけない。逆に言えばまだまだ伸び代はあると思うし、そこは練習からやっていくしかない。まだまだ足りないとこばかりですけど」
ベルマーレのサッカースタイルは明確だが、実際にプレーする選手には一筋縄で理解できないところもある。しかし、山﨑選手は、なんなく乗り越えた。
「湘南ってもう、『湘南スタイル』っていう印象があるじゃないですか。移籍前に、そのなかに自分が入って自分の特徴を出せるかな? 活きるかな? って考えたんですけど、そこで『やれる』っていう感覚と自信はありました。徳島で2年半プレーしたことは間違ってなかったって思うし、それがJ1の舞台でもやれるっていう大きな自信につながったと思います」
実際、J1のピッチに立ってみれば、J2との差を感じることは少なからずあった。しかし、その差を感じさせるのは自分のプレーの質というより、相手の巧みさだ。
「フォワードなので、ディフェンスの選手と対峙する機会が多いですけど、強い選手、うまい選手、ずる賢い選手がいるなっていう印象はすごくあります。ボールが入ってくる前にすごくコンタクトしてきたり、自分がトラップしたところ、あえてトラップさせてそこを狙ってきたり。そういう駆け引きがすごくうまい。そういうところにJ1を感じました」
トップリーグで戦えば、当然日本代表に選ばれるディフェンダーとも対峙する。
「現代表選手だったり、元代表選手だったり、そういうディフェンダーを相手に、やっぱり僕自身は点を取らないといけない。そういうポジションなので。そこはやっぱりまだまだ練習していかないといけないですし、そこで結果を残せれば、もっともっと高いところを目指せる。毎試合毎試合、本当に刺激が多い。頑張りたいです」
「頑張りたい」その言葉にあるのは、もっともっとの思い。チームとして、その一員として、手応えを感じるからこそ、さらなる高みを望むのだ。
取材・文 小西尚美
協力 森朝美