今シーズン、チームが新たに掲げたテーマは「Acceleration-加速-」。加速とは、すでに積み上げたものがあることが前提だ。松田選手も自分なりに加速するために自分ができることを考えている。

「やっぱりポジションとか関係なく近い人をどんどん追い越していく。そのためには判断の速さが必要だし、予測しなくちゃいけない。判断の速さというところは、今、自分的に加速っていう部分で意識してます。そこがチームとしての加速につながるのかな、と思うし」

　加速を実現するためだろう、選手たちは練習の内容から去年との違いを訴える。

「面白いんですけど、難しいんですよ、本当に。ビブスの種類も6色くらいあるし、その中で判断するって相当頭を使わなきゃいけないし、見てなきゃいけない。最初の頃はみんな苦労してたと思う。僕とかは、正直まだ全然できてない状態ですね」

　しかし、この難しい練習をすることで試合中のプレーに変化を感じているのも確か。まさに手応えを感じている。

「感覚が全然違いますね、サポートが速くなるし、見ておかなきゃいけないという意識も持てる。練習が試合に活きているのを僕は感じてますし、まだまだ積み上がる部分だと思います」

　サッカーのトレーニングばかりが加速を実現するわけではない。インタビューを行った日、加入2年目の選手たちは、ピッチ外での研修があった。それは、目標設定とその目標を達成するためにどう行動すれば良いかといった、社会人1～2年生の誰もが受けるような内容ものだ。こうした取り組みもまた、加速をサポートする。松田選手も長期・中期・短期の目標を立てた。

「長期的な目標は、僕でいうとやっぱり代表に入るというのは目標ですし、代表に入ってワールドカップ出場だったり、海外でプレーしたりしたいというのもある。長期の目標だけど、近いうちになれたらいいなというものですね。中期の目標は、チームの目標であれば、J1制覇というのを書いたし、個人的には日本代表で活躍するのも中期の目標に入ってくるかなと」

　短期の目標は、今シーズンのこと。

「今年の目標は、チームではACL圏内ってずっと言っているんですけど、それプラス個人としてはやっぱりチームの中心になるというのが目標の一つ。数字で表すと、5得点5アシストくらいはしたいなって思ってます。やっぱり、目に見える結果は大事だと思うんで」

　チームの中心になるには、信頼を得ることが必要だと考える松田選手。それは、チームメイトからばかりではない。

「今年は、少し違う自分を見せたいなって思ってるし、やっぱりサポーターにも信頼されるような選手になりたい。なんていうんだろう、チームを勝たせられる存在。絶対になっていくんで」

　チームの加速を牽引するために、チームの中心となり、サポーターに信頼される存在となる。この目標を達成するために、シーズン序盤からエンジン全開で加速する日々を送っている。