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【ボイス:9月23日】「ホワイトスペース特区先行モデル」記者会見

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株式会社湘南ベルマーレと株式会社日立システムアンドサービスは共同で、総務省より選定された「ホワイトスペース特区先行モデル」として、平塚競技場におけるエリア限定のワンセグ配信実験を2010年9月18日から開始することになり、同日、総務省副大臣 内藤正光氏と株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役 眞壁潔による記者会見が開催されました。

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【総務省副大臣 内藤正光氏】
voice_100923_02皆様こんばんは。

まずは本日より、湘南ベルマーレさんが「ホワイトスペース特区」として具体的な実証実験を始められるわけではございますが、心からお喜びを申し上げさせていただきます。
簡単に「ホワイトスペース特区」を説明させていただきます。

そもそも「ホワイトスペース」とはテレビの周波数帯として配分されながらも、使われていない周波数帯でございます。具体的に言いますと、実は全国一律同じ周波数帯幅が割り振られているのですが、地域によってその使用状況が大きく異なります。山が多いような所は中継局等でその電波を沢山使いますから、意外と使い切っているのですが。平地が多いような所、東京・神奈川もそうだとは思いますが、中継局の数が少ない。したがって電波が使われずにいると。しかしながら今日まで、使っちゃいけないよということになっていたのですが、政権交代以降、私はやはり電波は貴重な国民共通の財産であると。

それをもっともっと活用して地域の活性化に寄与してもらいたい、そんな思いから昨年からこのホワイトスペースの再活用に向けて、研究会を設置しながら検討を進めてきました。
そして更に先に進めようということで、本来だったらば完全にホワイトスペースの再活用が進むのは、地デジの完全移行が終わり、そしてリパックが一年かかるのですが、それ以降ということになるのですが、やはりホワイトスペースの再活用と言ってもまだ具体的なビジネスモデルというものが確立されていません。

そこでいち早く実証実験を始めていだたきながら、具体的な地域活性化だとかビジネスモデルを確立してもらいたい。

この7月から「ホワイトスペース特区」として、全国いくつかの箇所を選んで始めてもらいたい、ということで私が宣言をし、実は10社11案件の皆様方が厳しい審査を通過していただき、7月から開始をするという事になったわけでございます。

具体的には今、TBSさん、栗原市さん―これは防災の利用という観点で9月1日から始めたそうですが―、そして3件目として、この湘南ベルマーレさんが具体的な実証実験を始められたわけでございます。

ホワイトスペースというのは、地域に根ざした活用という制限があるものの、やはり今回のようにスタジアムの中で使うというのは、典型的な再活用の方法だと思います。スポーツ観戦しながらも、臨場感はスタジアムで感じられながらも具体的な情報が伝わってこない。これを例えばワンセグでしっかりと情報を見られると。そしてなおかつ地域の情報、例えばこの試合が終わったらレストランに行こうとか、飲みに行こうとか、こういう情報を得られる。つまりそこに宣伝広告モデルというビジネスモデルが回るのではないかなと思っています。
私は湘南ベルマーレさんがこれからどんなビジネスモデルを展開していくのか、大変大きな期待を持って見守っているわけでございます。

がんばってください。よろしくお願いします。

【株式会社湘南ベルマーレ 代表取締役 眞壁潔】
voice_100923_03皆さんこんばんは。

今、副大臣からお話があったように非常に貴重なチャンスを頂きました。

私たち湘南ベルマーレは、フジタ撤退の1999年以降2000年から再生したわけですけれど、スポーツの実験室だと言って、今まで走ってきました。

色々な大きな山や谷がある中で、特に2001年からスポーツNPO法人を立ち上げましたが、当時まだほんの数団体しかなかったかと。今ではスポーツNPO法人は1000を越えると言われています。その中で試行錯誤でやってきましたが、結果としてなんとかここまで存続できる大きな力の礎となりました。そして新しいチャレンジを次々にしていかなければならないという中で、今回特に首都圏のスポーツチームの情報発信に関する色々な制限と言いますか、10年間の悩みと言いますか、一つこの大きな実験をする事によってクリアできないかと思っています。
と、同時に我々と一緒で大変苦労しているたくさんのプロチーム、アマチュアチームがありますが、こういったチーム達にいいモデル例になればなと思っています。

今後とも、皆さんの色々なご支援を頂きながら、一歩一歩着実にやっていき、また出た結果を皆さんと共有して、よりよいスポーツの環境のために貢献したいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

【質疑応答】
Q.湘南ベルマーレに許可をした理由を教えてください。

A.【総務省副大臣 内藤正光氏】
voice_100923_04何点かあろうかと思います。まず一つは企画そのものが大変素晴らしいものだと実感できたわけでございます。私たちが掲げた条件は幾つかございます。まず一つは、今回お金を出すわけではございません。補助金は出しません。というのは、補助金を出してやる事業というのは大体補助金の終わりがプロジェクトの終わりになってしまうのです。ですからこれから自立して頂くためにも、最初からお金は出しません、電波はお貸ししますという厳しい条件です。ですからしっかりとしたビジネスモデルが確立されていなければならない。その点がまず通ったという事でございます。

そしてまた、特にJリーグというのは地域と密着したスポーツでございます。やはりこの情報発信というのは、地域活性化にも資するわけですから、その点が我々の思いと湘南ベルマーレさんのプレゼンというか考え方と合致した、という観点から大変厳しい審査ではございましたが、湘南ベルマーレさんを10社11案件の一つとして選考させていただいたという次第でございます。

A.【眞壁社長】
補足させて頂くと、有難いことに本当に皆さんご存知のように、わたくしども本当にお金がございません。そうはっきり言わせていただいた中で、更に審査をいただいて採用いただいたという事です。逆に責任を感じますし、(お金が)ない中でいかに効果を上げるかというのが、我々の一つのテーマだと思っています。

Q.来年の6月末までとなっていますが、事業の見通しはどうなっていますか?

A.【総務省副大臣 内藤正光氏】
まず、総務省の立場でお答えをいたしますと、私たちはこれを必ずしも一年経ったら終わるよ、というつもりはありません。一回電波を開放させていただいております、ただ一年一年しっかりとPDCAサイクルを回して行こうと。本当に上手く事業としてビジネスモデルとして回っているのか、というのをチェックをさせていただこうと。その節目として一年おきに見ていくわけでございますが、そこで上手く行っていたら、もっともっと使い続けていただきたいと思っております。

Q.102件の応募があったそうですが、他のJクラブからの応募はありましたか?

A.【総務省副大臣 内藤正光氏】
私が認識しているのは、湘南ベルマーレさんだけです。

Q.運営するのにお金がかかりますが、スポンサー収入にするのか、視聴するのに課金収入にするのでしょうか?

A.【眞壁社長】
判りやすく言うと、お金は「価値のある人しかくれない」という事ですよね。
その中で、実はこの電波もそうですし、リーグもそうですし、色々実は複雑な契約形態があります。その中で皆さんの権利がバッティングしないという前提がありますので、色々な事を想定して動いている所です。その時に今回ありがたいのは、実験をさせていただける、その中で一個一個解決できるのではないかと。あらゆる可能性を考えています。

取材・文 小西なおみ
協力 森朝美、藤井聡行