ボイス

【ボイス:2018年11月30日】石原広教選手

高いレベルを目指すからこそ
基礎からやり直す日々
 自分にとって最も重く感じる課題は、昨シーズンから変わらない。日々積み上げるしかないものだ。

「技術のところ。ゴールに繋がるプレーとかもですけど、キックもそうですし、パスひとつ、トラップひとつ、基礎的なところがまだ足りないって感じています。もっとやらなきゃいけない」

 試合中、局面に応じて大きなサイドチェンジや最終ラインからのロングフィードが味方選手から繰り出されるが、サイドの選手はそういったパスをファーストタッチで自分の思ったところへコントロールする技術が必須。石原選手も難なく受けているように見えるが、これこそ日々の練習の賜物だ。

「最近は、ロングボールが来ても落ち着いてトラップできるようになってきたけど、でも他の選手と比べたらまだまだというのは感じている。ラストパスを出せるような選手じゃないし、技術のところはもっと練習したほうがいいと思っている。やっぱりベテランの選手でも長生きする選手、レベルの高いところでやっている選手はみんな技術が高いと思うから。サッカー選手として長生きするためにも技術面はキックも含めて全然足りないと今も感じているので、課題だと思っています」

 インサイドのパスやトラップといった本当に基礎の練習を、技術を高めることを目標に日々のトレーニングに個人的に加えている。

「トラップも練習してなかったら乱れてしまうから。本当に単純な練習でも鍛えられると思うし、去年からこういう練習が本当に大事だなという実感があります。
 技術が足りないのは、ユースの頃からわかっていたんですけど、トラップが多少乱れても勢いで乗り切れちゃうというのが普通にあったんで、本当の意味では気づけていなかった。本当に良くないことなんですけど、なんとかなっているからいいやというのが正直あった。プロになって、周りの選手を本当に上手いなって思うところから始まって、試合に出て、トラップ一つでも正確にやるのが難しいことから本当に基礎練習が大事だなって感じるようになりました。曺さんには『下手くそ』ってずっと言われてたんですけど、本当には感じられてなかったですね」

 今も曺監督と課題の話をすると、技術面について説かれる。

「選手としてどうあるべきかっていうことから、自分の良さと課題っていうのをしっかり自分で理解して、という話をするので、そこはちゃんと考えるようにしてます」

 今、石原選手本人が感じている良さと技術面以外の課題とは。

「良さは、ハードワークして、自分の対面の選手に走り負けないで自分からアクションを起こして、相手の先手を取るところ。一対一の対人の強さだったり、仕掛けていく姿勢だったりというのは良さだと思う。課題としては、基礎的なところ。試合の進め方だったり、状況判断するところだったり、攻撃のアイデアだったりというところですね」

 技術面の向上も含めた課題は、一朝一夕で身につくものではないものばかり。しかし、先輩たちの導きがこうした課題をクリアし、成長を加速させてくれていることも実感している。

「ゲーム形式の練習などで僕がボールを持ったときに周りの選手がアクションしてくれたことに対して、自分が違うプレーを選択してしまったりすると、先輩たち、ウメさん(梅崎)とかもそうですけど『ここは、そこに出してくれたらそこから崩せると思うよ』というように、否定的なことは言わずに選択肢を増やせるような話をしてくれる。『こういうときは相手の状況をよく見て、あそこが空いてる、じゃあシンプルにあそこに出していいよ』とか。『ああ、なるほどな』って、すごく気付かされることが多い。実際、味方に預けてもう1回動き直したり、詰まってしまったときにもワンツーで相手をはがせるようなったり、もちろんまだまだですけど少しずつはやれるようになってる実感はあります」

 同じ年ながら昨年からリーグ戦にコンスタントに出場し、年代別の代表にも選ばれ続ける杉岡大暉選手は、左右の違いはあれど、同ポジションを争うライバルでもある。

「意識してないって言ったら嘘になります。でも、そんなに意識しているわけではない。ただ、やっぱり自分の目の前でああやって試合に出ているんで、それは本当に悔しい気持ちはある。同い年の選手の存在っていうのは、大きい。自分も運動量とスピードでは負けてないと思うんで」

 また、アシストはもちろんだが、自身でゴールを決めたい思いも強い。

「逆サイドからのクロスにもう少し入っていけたらいいなと思います。そういう局面のときにゴール前にもう少し顔を出せるようになれれば、得点のチャンスが増えると思うんで」

 シュートシーンも多く、守備でも強さを見せる岡本拓也選手のような存在は、まさに身近にいるお手本。得点力のあるディフェンダーは目標とするところの1つでもある。

「チームを助けられるような選手になりたいって思うから」

 石原選手の口から何度も出る「チームを助ける選手」。掲げた理想こそが、石原選手の成長を後押ししている。

>ここまでの道を切り開いたライバルとの切磋琢磨