「去年は、戦うというところ、自分が本当に得意としているところは通用すると感じられたんですけど、試合で慌てちゃうというか、ボールをもらってどうしよう？　みたいなシーンが結構あった。それで目の前の相手に引っ掛けてしまうことがすごく多かった。技術面とか基礎的なところから、もうすべてに差を感じました。ボールを受けてからゴールに向かうとか、ゴールに直結するようなプレーのアイデアのところは全然ダメでした」

　ルーキーイヤーを過ごしたのはJ2、カテゴリーは今シーズンより下だ。しかし、プロの洗礼はより厳しかったと感じている。その経験がある今シーズンは、むしろやるべきことに集中するだけと考えられるようになった。

「J1は、ワンプレーで勝負が決まっちゃうというのをすごく感じる。でも、個人としてはJ1でもJ2でも対面する選手は自分よりも上だと思うし、その選手に食らいついていくっていうところは変わらないので、カテゴリーで差は大きくは感じてないです。むしろ、去年より今年の方ができているかなと感じる。自分がやれることをしっかり出せればJ1でも通用すると思うし、そこの自信はだいぶついてきたんで、相手のことはあまり気にしたことはないです」

　自分自身の成長も試合のなかで感じるシーンが増えている。

「周りを見られるようになったこと。ボールを落ち着いて受けられるようになったというか。ボールを受けたあとに味方の選手をうまく使うとか、少しずつですけどアイデアも増えてきているのかなと。守備の面では、変わらずにやれているので、成長を実感するのはそういうところにあるかなと思います」

　変わったのは、心の保ち方だ。特に試合に入る前の気持ちを大切にしている。

「去年は、『やってやろう』という気持ちを持ちすぎたり、イメージをし過ぎちゃったりして、変に力んじゃうことが多かった。今年は、そういうことは考えずに力まずリラックスして試合に入れている。ちょっとの差だと思うけど、少し落ち着きが出てきたのかなと思います」

　シーズン前半は、カップ戦を中心に出場を重ね、試合出場数はJ2を戦った昨年をシーズン途中で上回った。レベルの高い戦いを続けるなか、自身も手応えを感じている。

「一対一で勝つシーンっていうのがJ1の選手相手にできてきたり、攻撃面でもアシストが2回できたり、ゴールに繋がるプレーが少しずつ増えてきている。まだ自分自身のゴールはないですけど、自分がやるべきことは、チームのために走るだったり、ゴールに向かうプレーだったり、そこは変わらない。そういうプレーをもっと増やせたらもう少し良くなるかなとは思います」

　1つできれば1つ課題が見えてくる。それもまた成長への貪欲な思いの結晶。課題こそが次へのステップの道しるべだ。