J1リーグ第33節 湘南vs浦和 試合後監督・選手コメント
監督コメント
曺監督 総括
お疲れ様でした。
J1は残り2試合となって、J2の昇格チームは1チームを除いて決まりました。この11月というのはこれまで、来年のステージが決まったあとにホームゲームをやることが多くてなんとも言えない気分でいましたが、今日の勝利は次につながるものだと思っています。
浦和さんの技術の高いプレーに少々戸惑うところはありましたけれど、サッカーというのは不思議なもので、前節のガンバや清水、磐田との試合のほうが我々の良さを出せた場面がたくさんあったもののそのときは入らず、今日みたいに粘りきってやっているときにスーパーな2点が入るという、改めてサッカーの難しさを感じられた試合になったと思います。
この今日の試合はもう「徹底」するしかないなと思っていました。まっすぐ行って右にここで曲がれと言ったのに右じゃなくて左にというのは許さないつもりでこの1週間作ってきました。その中で攻守ともに非常に徹底した空気がチームの中に根強く残っていて、ミスが大きなミスにつながらない、逆に相手が隙を見せたときに仕掛けられる、というような試合になったのかなと思います。
今年1年だけでなく、11月のこの時期の選手たちを見て、非常に成長したと思いますし、もっと良いことは、これが終着点ではなくて通過点であると僕が思ってるってことだと思います。30過ぎた選手も18歳の選手も、同じようにサッカーに対して真摯に向き合い、サッカーを本当に愛して、仲間を大切にする気持ちがあれば、後退することはないということを、今年のチームは僕にも皆さんにも示してくれたと思います。残り1試合になりましたけれども、本当に真摯にサッカーに向き合う週にしたいし、戦術的にも、相手の分析においても、躍動感がさらに増すように作っていきたいです。残り1試合で来年のJ1の切符を取れるように選手と一緒に戦いたいなと思います。
ここで言うことが正しいかどうかわからないですけれども、前節の試合を終えて、長崎さんをこのステージまで昇格させ、僕が言うのもなんですが非常にハードでタフな戦いをされたチームの指揮を執っていた高木(琢也)さんが今年限りでお辞めになると聞いて、本当に自分としては残念だなと思います。また僕も所属した柏レイソルが今日の結果をもってJ2に降格するというのが、(小林)祐介とか秋野(央樹)を預かっている立場でもありますし、非常に残念というか、そんな余裕はないんですが複雑な気持ちでいます。勝者と敗者がいる世界ですが、本人たちもそういう気持ちでいるんだなということを推し量ったときに、うちはそういう経験をたくさんしているので、今ここにいるからこそ、そういう人たちの気持ちを忘れず、周りに感謝してやらなきゃいけないなと、そういう気持ちが強くあります。
曺監督 質疑応答
- 決定機を作られる前によく防いだ印象だが、守備についてどう臨んだか?
「てってい」という言葉を選手には話していました。普通ぎょうにんべんの徹底が「徹底」で、その徹底というのは貫いていくとか、自分たちがやるべきことを最初から最後までやり抜くという意味。一方で「撤退」で使われるてへんの「撤」という字は、取り除くという意味があると辞書で調べて改めてわかった時に、両方の「てってい(徹底・撤底)」があるなと。後者の「撤底」という字は実際にはないのですけど、この状況においては弱気になったり守りに入ったりということは我々の空気から取り除かなくてはいけない、そして自分たちの姿を出すために90分間徹底しないといけない。言葉にすると「1歩」とか「1ミリ」、「ちょっと」ということをおざなりにしてしまうとそれは我々ではないという話をして、今日は最後1歩身体を寄せることや、シュートシーンにおいても1歩(梅崎)司が前に出たからあそこのコースにシュートが入ったし、(菊地)俊介が1センチ右側に置いたからキーパーの逆に打てたというような、そう言ったちょっとしたことが実は人生を変えてしまうと。なんてことないことをやらないばかりにそれまでの苦労が水の泡になるということを僕は選手の時も指導者になってからもたくさんのシーンでそう感じていたので、それを伝えました。それが少し良いようになったかなと思います。
- 先制点を挙げた梅崎司選手、この1年でどういった成長を感じているか?
司は18歳、19歳の時にJヴィレッジで見たのが初めてでしたけれど、本当にきかん坊で強気で前にいく力がある選手だなと思っていました。大分さんのトップに上がってからも非常に良いパフォーマンスを見せて、オシムさんの代表に一回呼ばれて、グルノーブルに移籍したあたりで世界に出て行く選手になるのかなと期待をして見ていました。そこから浦和さんに行って、自分が思い描いたようなシーズンもあったとは思いますけど、怪我もしてなかなかそれを連続してというところが叶わなかった。ちょうどその時に我々が浦和さんと練習試合をしに行った時に、向こうの隅の方でリハビリをしていた彼を見た時に、(山田)直輝の時もそうでしたけれど、なんか表情が変わったように思えていました。それから約2年後、縁があって我々のチームに来てもらえることになりましたけど、僕の1番の強みは、その人がどういうふうに過ごしてきたかをちょっと知っている、ということだと思っています。もちろん知らない選手もいますけど、いろんな指導者の人との繋がりとかで彼らが小さい時に何をしていたかを知っているということは大人になった彼らを教える上で非常に大きいことです。
司が今日取った得点については、それ以上も以下もなく「諦めない」ということで表現できると思います。人間、諦めたらそれ以上は絶対行かないけれど、諦めずに、その時にうまくいかなくてもいずれうまくいくと思えるかどうか。それがまさかベルマーレというチームで今年こういう感じでプレーしているとは、去年の同じ時期に想像していた人はたぶんほとんどいなかったと思いますけれど、それを彼ができたということは、今うちにいる選手も日本中のサッカー選手にも意味のあるものだったと思います。「俺はFWだから、FWで使われないから俺の成長は止まった、DFさせられたからダメだ」と思うんじゃなく、すべてにおいて諦めない気落ちを持っていれば必ず成功につながる、僕はどちらかというとそう信じている方なので。そういうことを彼が示せたというのは、浦和サポーターの方に対しても、非常に胸を打つシーンだったんだろうなと思います。
- 最後の1試合、引き分けでも残留できるという状況で、選手たちにはどんなことを求めるのか?
引き分けでも良いと思ってやる試合をお互いにやるとしたら、最初から攻めないで後ろでずっとボール回すしかないので、それはショーとしては間違っていると思います。ただ状況は考えたいと思います。「何も知らないで突っ込んでいけ」と言うのは今のうちの選手たちには通用しないと思いますし、我々は名古屋さんとホームでやった時に0–0だったので、その決着をつけに行く気持ちでいきたい。(風間)八宏さんもそのように思われてると思いますし、僕たちのスタンスもそれで変わらずやろうかなと思っています。
- 島村毅選手が引退発表をしましたが、島村選手が残してくれたものは何か?
挨拶で言っていましたけれど、ずっと前をやっていた選手がディフェンスになって、そこから常に試合に出ていた選手ではないですけれど、日々若い選手も入りながら自分より若い選手がレギュラーになっていって自分は出られないという状況でも、明るくチームのことを思ってやってきた選手だと思っています。だからこそ大事にな時に得点などで記憶に残るシーンを演出してくれた選手だと思うし、決して上手い選手ではなかったですけれど、そういうところを湘南ベルマーレというチームの中で示せたというのはさっきの司の話と同じで、次につながる選手たち、もしくは子どもたちの励みになるんじゃないかなと思います。
- 大卒ルーキーで加入してからチームを支えている菊地俊介、石川俊輝が今日も効いていたと思うがどう評価しているか?
俊介はナイーブなところがありながらも副キャプテンですし、今日のように得点に絡めるプレーというのはここ1、2年ですごく増えてきました。昔はボランチでしたけれどその中で一つ違う色を見せられるようになりましたし、昨日実は彼を呼んでいろんな話をしたんですけど、それが良かったかなと思います。
(石川)俊輝は今年1年で非常に伸びました。本当に目立たない、オシムさん流に言うと「水を運ぶ選手」だと思います。ただ目立たないけれど本当に効いている選手になったと思いますし、それを金子(大毅)とか(齋藤)未月とか、若い選手がしっかり学んで欲しいですし、そういう意味でこの2人は大学卒で入ってきてから、2人とも大宮さんのアカデミーにいた選手ですけど、湘南ベルマーレの色に染まって、湘南ベルマーレを大事にしてる気持ちというのはすごくある選手だと思ってるんで、彼らに支えられている部分はもちろんあると思います。
俊介は司と一緒で怪我がここ最近多くて、シーズンの中で前十字靭帯を切った年は2割くらいしか出ていないし、その他も5割とか、一番出たシーズンが2015年で85%くらいだったのですけど、その怪我になった時に自分がどうしないといけないとか、自分にちょっとマイナスな要素が入ってきた時でもプレーをがっちりするというところではまだ課題があったので、そういうことを話ししました。今日もミスは多かったですけれど、折れずに徹底したことがあのゴールにつながったなと思います。
オズワルド オリヴェイラ監督 総括
非常に戦いの激しい試合となりました。両チームとも違った目的の試合ではありましたけれど、勝ちたい試合でした。そして浦和はたくさんのチャンスを作りながらもゴールを決めることができなかった。湘南は数少ないチャンスをうまくものにしたと思います。そのチャンスで決めるかどうかという違いが生まれた試合となりました。
オズワルド オリヴェイラ監督 質疑応答
- 2点目を奪われてからはどのようなプランを持っていたか?
特に右サイドから試合を通じてうまく形を作って攻めることができていましたが、そこでのパフォーマンスが少し低下してきたところで2失点目を喫してしまった。そこから少し形を変えて、ズラタンをターゲットにして相手ゴールの近くにボールを届けるという方法を採りました。そこで形を作ることはできましたが得点に至ることができませんでした。
- 茂木力也選手、武富孝介選手が久々の出場だったが評価は?
いつも良いトレーニングをしていて、そして今回の緊急事態に試合に出てくれた選手たちです。武富の場合は本来のポジションではなかったですが、柏木が出られないという状況の中で練習試合ではプレーしたことのあるポジションだったので使いました。もちろん彼は役割をこなそうと頑張ってくれて、良いプレーも見せてくれましたが、やはり本来のポジションではなかった部分はありました。
茂木の場合はボランチ、サイドバック、ウイングバック、センターバックといろんなところができますが、今日は1番向いていないであろうセンターバックで使いました。というのもセンターバックというのはもっと力強さ、背丈がもしかすると必要かもしれないからです。それでも危なげないプレーを見せてくれましたし将来性のある選手なので、今後も他のポジションで見てみたいです。
- リーグ3位でのACL出場の望みは絶たれたが、残す天皇杯に向けて意気込みを。
もちろん天皇杯も含めて集中して、我々はACLに臨んでいきたいという望みを持っています。今までもリーグと天皇杯両方でACLを目指していましたが、リーグでの望みがなくなった今、天皇杯では必ず優勝してACLにつなげたいというふうに思っています。
選手コメント
MF 2菊地 俊介
(得点シーンは)俊輝から良いボールが来て、ファーストタッチで良い場所に置けたので思い切って逆サイドに脚を触れたので、良いゴールだったと思います。相手にボールを持たれる時間が長かったですけれど、湘南らしく粘り強く戦えたかなと思います。ルヴァンで優勝してからリーグ戦で勝てていなかったので、どうしても勝点3が欲しかったですし、ホーム最終戦でたくさんのサポーターの方が来てくれていたので、残留はまだ決まっていないですけど、次に向かう良い勝利だったんじゃないかと思います。個人的にはミスも多くて全然納得できない試合でしたけど、得点という形でチームの勝利に貢献できたことは嬉しいです。次節は勝てば自力で残留を決められるので、アウェイですけど湘南らしく、粘り強く戦いたいです。
MF 6石川 俊輝
少し後手を踏んでしまった部分もあった中で、ずっと攻められっぱなしで構えるというだけではなかったですし、チームとしてそこを裏返して点を取ろうという考えもありました。そういった部分は一人ひとりのこの試合に対する思いだったんじゃないかなと思います。(アシストは)ラッキーなところもありましたけどその瞬間チャンスだと思いましたし、手前の味方と(菊地)俊介も見えていたのでどっちにも出せる状況でした。相手の選手が少し中に絞ったので、ちょっと山なりなボールでも越えるなと思って出しました。
MF 7梅崎 司
本当に力のある相手でしたし、立ち上がりから苦しい展開でしたけど、勝利だけを目指して準備してきたのでそれが実になって良かったです。立ち上がり森脇(良太)にインターセプトされたシーンがあって、彼は前に強さがあるしその意識が強いので、そこからそれを逆手に取ろうと思っていました。僕を超える楔が入ったその瞬間にモリ(森脇良太)の背後をついて、広大なスペースを使うことができましたし、最後のシュートシーンはすごく自分の中でもアイデアのあるシュートだったなと思います。(西川)周作とは高校時代からやっていますけど、何としても今日は点を取りたいという思いがあったので、今日はそれを出せて良かったです。
このチームは決してうまいチームじゃないし地力がすごくあるチームじゃないので、守備している中でも挑戦心をもってやらないといけない。その中でもチームとしてここまでこれたのはステップアップできた証だと思うし、それは僕自身もそう。攻撃の部分でこのチームをもっと助けたいという思いがあるので、次の試合でも何か掴める、成長できるという思いで臨んでいきたいです。次も勝つしかないですし、チームとしてもう一つステップアップするという強い気持ちで臨んでいきたいです。
FW 38山﨑 凌吾
梅さん(梅崎司)、俊くん(菊地俊介)と良い関係でプレーできたので自信になりました。いつもと同じようにプレーした結果ですけど梅さんとも距離が近かったと思いますし、良い関係が作れてゴールまで行けたと思います。得点シーン以外にもその関係からシュートまで行く場面があったので、今日は非常に良かったと思います。練習の中から良いイメージはできていたし、それが今日は出せたと思います。特に変わったことはせず、いつも通りやった結果だと思います。先頭で身体を張ったり起点になったりというプレーで90分出て貢献したいと思っていましたし、僕が出ることで出られない選手もいるので、そういった選手の分までやらなければいけないというのは常に思っています。
DF 28石原 広教
拓也くん(岡本拓也)が出られない試合で、人によっては拓也くんの代わりはいないという考えを持っていたとは思いますけど、自分の中では僕なりの良さでチームをプラスの方向に持っていけるというのは思っていました。ハードワークするということやスピード、プレッシャーをかけるというところでプラスにできる自信はあったので、本当に自信を持ってプレーできたと思います。その上でチームが勝つことができたというのが、次に繋がる、また自信を持ってプレーできる要素になったと思います。自分の課題は多かったけれど、勝てて良かったです。
攻撃のところで、1対1で仕掛けることだったりやりきるプレーがあまりできなかったので、運んだあとの最後、ゴールに繋がるようなプレーは今季課題にしてきたところですし、もう少し出せれば良かったです。
ここからまた謙虚に自分たちと向き合って、次は直接対決になりますけど、今週テーマにしてきた「徹底する」ということをまたみんなで同じ方向を向いて、勝ちに向かってやっていきたいと思います。
J1リーグ第33節 湘南vs浦和 試合後監督・選手コメント
監督コメント
曺監督 総括
お疲れ様でした。
J1は残り2試合となって、J2の昇格チームは1チームを除いて決まりました。この11月というのはこれまで、来年のステージが決まったあとにホームゲームをやることが多くてなんとも言えない気分でいましたが、今日の勝利は次につながるものだと思っています。
浦和さんの技術の高いプレーに少々戸惑うところはありましたけれど、サッカーというのは不思議なもので、前節のガンバや清水、磐田との試合のほうが我々の良さを出せた場面がたくさんあったもののそのときは入らず、今日みたいに粘りきってやっているときにスーパーな2点が入るという、改めてサッカーの難しさを感じられた試合になったと思います。
この今日の試合はもう「徹底」するしかないなと思っていました。まっすぐ行って右にここで曲がれと言ったのに右じゃなくて左にというのは許さないつもりでこの1週間作ってきました。その中で攻守ともに非常に徹底した空気がチームの中に根強く残っていて、ミスが大きなミスにつながらない、逆に相手が隙を見せたときに仕掛けられる、というような試合になったのかなと思います。
今年1年だけでなく、11月のこの時期の選手たちを見て、非常に成長したと思いますし、もっと良いことは、これが終着点ではなくて通過点であると僕が思ってるってことだと思います。30過ぎた選手も18歳の選手も、同じようにサッカーに対して真摯に向き合い、サッカーを本当に愛して、仲間を大切にする気持ちがあれば、後退することはないということを、今年のチームは僕にも皆さんにも示してくれたと思います。残り1試合になりましたけれども、本当に真摯にサッカーに向き合う週にしたいし、戦術的にも、相手の分析においても、躍動感がさらに増すように作っていきたいです。残り1試合で来年のJ1の切符を取れるように選手と一緒に戦いたいなと思います。
ここで言うことが正しいかどうかわからないですけれども、前節の試合を終えて、長崎さんをこのステージまで昇格させ、僕が言うのもなんですが非常にハードでタフな戦いをされたチームの指揮を執っていた高木(琢也)さんが今年限りでお辞めになると聞いて、本当に自分としては残念だなと思います。また僕も所属した柏レイソルが今日の結果をもってJ2に降格するというのが、(小林)祐介とか秋野(央樹)を預かっている立場でもありますし、非常に残念というか、そんな余裕はないんですが複雑な気持ちでいます。勝者と敗者がいる世界ですが、本人たちもそういう気持ちでいるんだなということを推し量ったときに、うちはそういう経験をたくさんしているので、今ここにいるからこそ、そういう人たちの気持ちを忘れず、周りに感謝してやらなきゃいけないなと、そういう気持ちが強くあります。
曺監督 質疑応答
- 決定機を作られる前によく防いだ印象だが、守備についてどう臨んだか?
「てってい」という言葉を選手には話していました。普通ぎょうにんべんの徹底が「徹底」で、その徹底というのは貫いていくとか、自分たちがやるべきことを最初から最後までやり抜くという意味。一方で「撤退」で使われるてへんの「撤」という字は、取り除くという意味があると辞書で調べて改めてわかった時に、両方の「てってい(徹底・撤底)」があるなと。後者の「撤底」という字は実際にはないのですけど、この状況においては弱気になったり守りに入ったりということは我々の空気から取り除かなくてはいけない、そして自分たちの姿を出すために90分間徹底しないといけない。言葉にすると「1歩」とか「1ミリ」、「ちょっと」ということをおざなりにしてしまうとそれは我々ではないという話をして、今日は最後1歩身体を寄せることや、シュートシーンにおいても1歩(梅崎)司が前に出たからあそこのコースにシュートが入ったし、(菊地)俊介が1センチ右側に置いたからキーパーの逆に打てたというような、そう言ったちょっとしたことが実は人生を変えてしまうと。なんてことないことをやらないばかりにそれまでの苦労が水の泡になるということを僕は選手の時も指導者になってからもたくさんのシーンでそう感じていたので、それを伝えました。それが少し良いようになったかなと思います。
- 先制点を挙げた梅崎司選手、この1年でどういった成長を感じているか?
司は18歳、19歳の時にJヴィレッジで見たのが初めてでしたけれど、本当にきかん坊で強気で前にいく力がある選手だなと思っていました。大分さんのトップに上がってからも非常に良いパフォーマンスを見せて、オシムさんの代表に一回呼ばれて、グルノーブルに移籍したあたりで世界に出て行く選手になるのかなと期待をして見ていました。そこから浦和さんに行って、自分が思い描いたようなシーズンもあったとは思いますけど、怪我もしてなかなかそれを連続してというところが叶わなかった。ちょうどその時に我々が浦和さんと練習試合をしに行った時に、向こうの隅の方でリハビリをしていた彼を見た時に、(山田)直輝の時もそうでしたけれど、なんか表情が変わったように思えていました。それから約2年後、縁があって我々のチームに来てもらえることになりましたけど、僕の1番の強みは、その人がどういうふうに過ごしてきたかをちょっと知っている、ということだと思っています。もちろん知らない選手もいますけど、いろんな指導者の人との繋がりとかで彼らが小さい時に何をしていたかを知っているということは大人になった彼らを教える上で非常に大きいことです。
司が今日取った得点については、それ以上も以下もなく「諦めない」ということで表現できると思います。人間、諦めたらそれ以上は絶対行かないけれど、諦めずに、その時にうまくいかなくてもいずれうまくいくと思えるかどうか。それがまさかベルマーレというチームで今年こういう感じでプレーしているとは、去年の同じ時期に想像していた人はたぶんほとんどいなかったと思いますけれど、それを彼ができたということは、今うちにいる選手も日本中のサッカー選手にも意味のあるものだったと思います。「俺はFWだから、FWで使われないから俺の成長は止まった、DFさせられたからダメだ」と思うんじゃなく、すべてにおいて諦めない気落ちを持っていれば必ず成功につながる、僕はどちらかというとそう信じている方なので。そういうことを彼が示せたというのは、浦和サポーターの方に対しても、非常に胸を打つシーンだったんだろうなと思います。
- 最後の1試合、引き分けでも残留できるという状況で、選手たちにはどんなことを求めるのか?
引き分けでも良いと思ってやる試合をお互いにやるとしたら、最初から攻めないで後ろでずっとボール回すしかないので、それはショーとしては間違っていると思います。ただ状況は考えたいと思います。「何も知らないで突っ込んでいけ」と言うのは今のうちの選手たちには通用しないと思いますし、我々は名古屋さんとホームでやった時に0–0だったので、その決着をつけに行く気持ちでいきたい。(風間)八宏さんもそのように思われてると思いますし、僕たちのスタンスもそれで変わらずやろうかなと思っています。
- 島村毅選手が引退発表をしましたが、島村選手が残してくれたものは何か?
挨拶で言っていましたけれど、ずっと前をやっていた選手がディフェンスになって、そこから常に試合に出ていた選手ではないですけれど、日々若い選手も入りながら自分より若い選手がレギュラーになっていって自分は出られないという状況でも、明るくチームのことを思ってやってきた選手だと思っています。だからこそ大事にな時に得点などで記憶に残るシーンを演出してくれた選手だと思うし、決して上手い選手ではなかったですけれど、そういうところを湘南ベルマーレというチームの中で示せたというのはさっきの司の話と同じで、次につながる選手たち、もしくは子どもたちの励みになるんじゃないかなと思います。
- 大卒ルーキーで加入してからチームを支えている菊地俊介、石川俊輝が今日も効いていたと思うがどう評価しているか?
俊介はナイーブなところがありながらも副キャプテンですし、今日のように得点に絡めるプレーというのはここ1、2年ですごく増えてきました。昔はボランチでしたけれどその中で一つ違う色を見せられるようになりましたし、昨日実は彼を呼んでいろんな話をしたんですけど、それが良かったかなと思います。
(石川)俊輝は今年1年で非常に伸びました。本当に目立たない、オシムさん流に言うと「水を運ぶ選手」だと思います。ただ目立たないけれど本当に効いている選手になったと思いますし、それを金子(大毅)とか(齋藤)未月とか、若い選手がしっかり学んで欲しいですし、そういう意味でこの2人は大学卒で入ってきてから、2人とも大宮さんのアカデミーにいた選手ですけど、湘南ベルマーレの色に染まって、湘南ベルマーレを大事にしてる気持ちというのはすごくある選手だと思ってるんで、彼らに支えられている部分はもちろんあると思います。
俊介は司と一緒で怪我がここ最近多くて、シーズンの中で前十字靭帯を切った年は2割くらいしか出ていないし、その他も5割とか、一番出たシーズンが2015年で85%くらいだったのですけど、その怪我になった時に自分がどうしないといけないとか、自分にちょっとマイナスな要素が入ってきた時でもプレーをがっちりするというところではまだ課題があったので、そういうことを話ししました。今日もミスは多かったですけれど、折れずに徹底したことがあのゴールにつながったなと思います。
オズワルド オリヴェイラ監督 総括
非常に戦いの激しい試合となりました。両チームとも違った目的の試合ではありましたけれど、勝ちたい試合でした。そして浦和はたくさんのチャンスを作りながらもゴールを決めることができなかった。湘南は数少ないチャンスをうまくものにしたと思います。そのチャンスで決めるかどうかという違いが生まれた試合となりました。
オズワルド オリヴェイラ監督 質疑応答
- 2点目を奪われてからはどのようなプランを持っていたか?
特に右サイドから試合を通じてうまく形を作って攻めることができていましたが、そこでのパフォーマンスが少し低下してきたところで2失点目を喫してしまった。そこから少し形を変えて、ズラタンをターゲットにして相手ゴールの近くにボールを届けるという方法を採りました。そこで形を作ることはできましたが得点に至ることができませんでした。
- 茂木力也選手、武富孝介選手が久々の出場だったが評価は?
いつも良いトレーニングをしていて、そして今回の緊急事態に試合に出てくれた選手たちです。武富の場合は本来のポジションではなかったですが、柏木が出られないという状況の中で練習試合ではプレーしたことのあるポジションだったので使いました。もちろん彼は役割をこなそうと頑張ってくれて、良いプレーも見せてくれましたが、やはり本来のポジションではなかった部分はありました。
茂木の場合はボランチ、サイドバック、ウイングバック、センターバックといろんなところができますが、今日は1番向いていないであろうセンターバックで使いました。というのもセンターバックというのはもっと力強さ、背丈がもしかすると必要かもしれないからです。それでも危なげないプレーを見せてくれましたし将来性のある選手なので、今後も他のポジションで見てみたいです。
- リーグ3位でのACL出場の望みは絶たれたが、残す天皇杯に向けて意気込みを。
もちろん天皇杯も含めて集中して、我々はACLに臨んでいきたいという望みを持っています。今までもリーグと天皇杯両方でACLを目指していましたが、リーグでの望みがなくなった今、天皇杯では必ず優勝してACLにつなげたいというふうに思っています。
選手コメント
MF 2菊地 俊介
(得点シーンは)俊輝から良いボールが来て、ファーストタッチで良い場所に置けたので思い切って逆サイドに脚を触れたので、良いゴールだったと思います。相手にボールを持たれる時間が長かったですけれど、湘南らしく粘り強く戦えたかなと思います。ルヴァンで優勝してからリーグ戦で勝てていなかったので、どうしても勝点3が欲しかったですし、ホーム最終戦でたくさんのサポーターの方が来てくれていたので、残留はまだ決まっていないですけど、次に向かう良い勝利だったんじゃないかと思います。個人的にはミスも多くて全然納得できない試合でしたけど、得点という形でチームの勝利に貢献できたことは嬉しいです。次節は勝てば自力で残留を決められるので、アウェイですけど湘南らしく、粘り強く戦いたいです。
MF 6石川 俊輝
少し後手を踏んでしまった部分もあった中で、ずっと攻められっぱなしで構えるというだけではなかったですし、チームとしてそこを裏返して点を取ろうという考えもありました。そういった部分は一人ひとりのこの試合に対する思いだったんじゃないかなと思います。(アシストは)ラッキーなところもありましたけどその瞬間チャンスだと思いましたし、手前の味方と(菊地)俊介も見えていたのでどっちにも出せる状況でした。相手の選手が少し中に絞ったので、ちょっと山なりなボールでも越えるなと思って出しました。
MF 7梅崎 司
本当に力のある相手でしたし、立ち上がりから苦しい展開でしたけど、勝利だけを目指して準備してきたのでそれが実になって良かったです。立ち上がり森脇(良太)にインターセプトされたシーンがあって、彼は前に強さがあるしその意識が強いので、そこからそれを逆手に取ろうと思っていました。僕を超える楔が入ったその瞬間にモリ(森脇良太)の背後をついて、広大なスペースを使うことができましたし、最後のシュートシーンはすごく自分の中でもアイデアのあるシュートだったなと思います。(西川)周作とは高校時代からやっていますけど、何としても今日は点を取りたいという思いがあったので、今日はそれを出せて良かったです。
このチームは決してうまいチームじゃないし地力がすごくあるチームじゃないので、守備している中でも挑戦心をもってやらないといけない。その中でもチームとしてここまでこれたのはステップアップできた証だと思うし、それは僕自身もそう。攻撃の部分でこのチームをもっと助けたいという思いがあるので、次の試合でも何か掴める、成長できるという思いで臨んでいきたいです。次も勝つしかないですし、チームとしてもう一つステップアップするという強い気持ちで臨んでいきたいです。
FW 38山﨑 凌吾
梅さん(梅崎司)、俊くん(菊地俊介)と良い関係でプレーできたので自信になりました。いつもと同じようにプレーした結果ですけど梅さんとも距離が近かったと思いますし、良い関係が作れてゴールまで行けたと思います。得点シーン以外にもその関係からシュートまで行く場面があったので、今日は非常に良かったと思います。練習の中から良いイメージはできていたし、それが今日は出せたと思います。特に変わったことはせず、いつも通りやった結果だと思います。先頭で身体を張ったり起点になったりというプレーで90分出て貢献したいと思っていましたし、僕が出ることで出られない選手もいるので、そういった選手の分までやらなければいけないというのは常に思っています。
DF 28石原 広教
拓也くん(岡本拓也)が出られない試合で、人によっては拓也くんの代わりはいないという考えを持っていたとは思いますけど、自分の中では僕なりの良さでチームをプラスの方向に持っていけるというのは思っていました。ハードワークするということやスピード、プレッシャーをかけるというところでプラスにできる自信はあったので、本当に自信を持ってプレーできたと思います。その上でチームが勝つことができたというのが、次に繋がる、また自信を持ってプレーできる要素になったと思います。自分の課題は多かったけれど、勝てて良かったです。
攻撃のところで、1対1で仕掛けることだったりやりきるプレーがあまりできなかったので、運んだあとの最後、ゴールに繋がるようなプレーは今季課題にしてきたところですし、もう少し出せれば良かったです。
ここからまた謙虚に自分たちと向き合って、次は直接対決になりますけど、今週テーマにしてきた「徹底する」ということをまたみんなで同じ方向を向いて、勝ちに向かってやっていきたいと思います。