ボイス

【ボイス:2018年9月21日】梅崎 司選手

一歩一歩を大切に、
プロセスが実ったゴール
 この日、何本目のシュートだったろうか。ベルマーレの選手として、待望のリーグ戦初ゴールをアウェイ長崎のスタジアムで決めた。

「運命的なものを感じます」

 8月31日に開催された平日・金曜日のナイトゲーム、第25節対V・ファーレン長崎戦。アウェイとはいえ梅崎選手にとっては生まれ故郷のスタジアム、子どもの頃から慣れ親しんだ場所だった。そこで今季のリーグ戦初ゴールが生まれた。
 「待望」とは言っても、ここ最近のプレーには常にゴールの予感はあった。開幕から半年、梅崎選手が出場したどの試合のピッチにも日々積み重ねている努力が見えるプレーがあった。

「めちゃくちゃ点を取りたいし、もっと貪欲に行きたいというところはありますけど、でもそれをやったらいけないなっていうのをなんとなく感じていて。いまは、それ以上にプロセスを大事にしているし、積み重ねていることが1歩1歩進んでいるっていう感覚のほうが強い。プロセスを大事にしたいし、しなきゃ先が見えてこない気がするんです」

 これは、リーグ戦でゴールを挙げる前にゴールについての問いに語った言葉だ。偶然やラッキーではなく、積み上げた結果がゴールを呼ぶ、そんなプロセスを踏んできた。

「偶発的なゴールより、僕もそっちがいいなと思っていて。プロセスを積んで『やっぱり取れたな』みたいな。で、続けざまにどんどん取れるような状態に入っていくほうが。そうなっていけるかなという感覚もあるんで、1個超えればいい。簡単じゃないですけど、本当に前向きに、ここ数年はなかった課題が日々出てくるので、いい循環だなと感じています」

 積み重ねたプロセスが長崎で実を結んだ。そして思いはチームへと還る。

「得点はうれしいし、プロセスなしにここまではたどりつけてないと思います。本当に何を意識するか、どういうプロセスを踏んでいるか、そこに尽きる。でもそこに意識を置いておくことも大事ですけど、やっぱりチームとしてのスタイルのなかで、自分がどういう役割を果たすかが大事なので。そこを怠ったらゴールなんて生まれないし、ましてや試合に出られない。そこのバランスを大切にして、もっと高いものを自分に要求していきたいなと思ってます」

 個とチームが一体となっている実感があるからこそ感じるチームの成長。

「確実に強くなってますよ、そこが一番変わってきてるなと思います。僕らはやるべきことをやらないと勝利に結び付けられないと思うし、1つほころびが生まれたら失点するし、敗戦につながるし。そういう意味でもチーム全員で戦っている感じがある。やっぱり自分がここでサボって一歩行かなかったことが原因で負けるのはイヤだし。勝つためにやれることはなんでもしたいなって思う。それは声かけとか何かを発信していくことだったり、最前線から僕が戻ってクリアしたりということも一つの表れかもしれないし。勝たなきゃ進めないというのは、レッズ時代から感じてきたことなので、純粋に勝ちたい。でもプロセスも大事にしないといけない。自分のプレーで勝たせたいですけど、でもそれだけじゃないって感じます」

 勝つ喜びを知っているからこそ、チームを強くしたい。梅崎選手の進化の先にあるのは、ベルマーレの成長だ。

取材・文 小西尚美
協力 森朝美