J1リーグ第15節 湘南vs磐田 試合後監督・選手コメント
監督コメント
曺監督 総括
お疲れ様でした。
今日のナイトゲームはJリーグの中で我々と磐田さんの試合だけだったので、全国的にも注目されている中での試合だったと思います。ここ最近リーグ戦で連敗していましたけれど、内容どうこうというよりも、選手がやろうとするエネルギーはピッチの中にあったと思っていました。それが裏目に出たという部分は確かにあったと思いますが、物事は表目には出ずに裏目に出る事もあるもので、結果は出ていなかったですけれども、非常にチームは良い流れで来ていたというふうに思っていました。前回のルヴァンの試合も非常に良い試合が出来ましたし、そういう意味では、今日、前半は磐田さんに多少ボールを動かされて危ないピンチもありましたけども、全員がその時間に何をするかという事をしっかり共有できていましたし、逆に我々がボールを取った時に、ゴールを取るための動きやパスはいつも以上にあったと思います。(ボール)保持率自体はそんなに高くなかったですけれど、前半からの相手のボールを奪ってゴールに向かっていた矢印が、後半ジュビロさんの足を少し止めたのかなと自分では感じています。
ジュビロさんは試合を見ていても実際にやった中でも、非常に技術も高くて戦術的な理解度も選手全員が持っていて、本当にJ1のチームだなと改めて思いました。そのJ1のチームに臆せず自分たちの良い所を出して、得点を挙げて1-0で勝ったというのは、決して守ろうとか守り切ろうと思った試合ではないですし、選手が本当に良くやってくれたと思います。今日ベンチには若い選手が多かったですけれども、今日入れなかった選手、年齢の高い選手も含めて全員の勝利だったと思います。
僕はルヴァンカップでまだ決勝トーナメントに監督として行ったことがなくて、その見たことのない景色の中でプレーすることも楽しみにしていますし、天皇杯もあります。これからワールドカップが始まるので少し中断しますけれども、色んな意味で目と頭と肉体を、色んな意味で鍛えて次の後期のリーグ戦に向かっていきたいと思います。
曺監督 質疑応答
- 後半選手の配置を少し変えたが意図は?
山田大記選手と松浦拓弥選手が結構嫌な位置に降りてきて、そこに蓋をしなければと思って配置を変えました。後半の方がプレスに行きやすかったのかなと思いましたけれど、磐田さんは選手が出入りしてボールを動かして来るチームなので、配置を変えたことよりも前半から圧力をかけ続けたことが後半のそういうところに繋がったのかなと感じています。選手は良くやってくれたと思います。
多少背後を取られるシーンもありましたけれど、3バックの横ずれやカバーリングはちゃんとできていたので、真ん中のところで穴が空きそうなところはほとんどなかったと思います。1、2回ピンチはありましたけれど、戦術的にも大人にできたかなと思います。
- 守備で身体を張ってよく守った試合だと思うが、その点の手応えはあるか?
そういう場面に関していうと、厳しいことをいえば(ボールの)取られ方が悪い。やってはいけない取られ方をして真ん中で蓋をするしかないという状況でしたけれども、あそこで一歩、1cm足が出るかどうかというのは僕は能力でなく努力でできることだと思っています。その努力を怠らなかったらああいった場面でああいったプレーにつながる。抜かれたから良いやという姿勢で普段から取り組んでいるとオウンゴールにもなるでしょうし、やられていると思います。「僕たちはこういうサッカーをする」ということはもちろんチームとして大事ですけれども、試合に勝つためには例えばスローインを相手に投げていては勝てないですし、CKで良いボールを蹴れなかったら勝てないでしょうし、ゴール前で身体を張らなければ勝てない。そういうことは100年前からわかっていること。それをしっかりやらせなければいけないなと、化粧がかったサッカーにはしてはいけないなと思っている中でのワンプレーだったと思います。それができなくて仙台戦の前半戦でやられてしまったなと思っていたので、選手はよく学んだなと思います。
- 今日もメンバーを多少入れ替えて臨んだが、そうすることでチームに刺激を与え続けるマネジメントの狙いはどこにあるか?
今日はアンドレバイア、ミキッチ、アレン(ステバノヴィッチ)、そしてキャプテンの高山(薫)も特に怪我をしていませんがメンバーからは外して、その他にも経験のある選手を入れずにガラッと大きく替えたということには僕の中にはやっぱりメッセージがあります。30歳を過ぎてベテランの域に入ったから経験を活かしていこう、とするのがこの世の中のほとんどだと思いますけれど、経験を生かすというのは基本的にできないことだと思っています。むしろ何も経験せずに初めて30歳でピッチに立った選手の方がエネルギーを発揮する可能性は十分にある。そういう中で、やっぱり若い選手がそういった選手に取って代わってピッチに立つことで、それは若い選手のためというよりもチーム全体、所属する選手全員が前向きになる、彼らに負けていられないという気持ちになる。とかく日本の社会では年上の人間が年下の人間をとりあえず3年間修行をして、それから試合に出ろよというような空気が、プロの世界とは言え少しある。それを僕は崩したかったというか、もちろんパフォーマンスがよければメンバーに入れますけれど、そういうすごくわかりやすい世界をここで作ったほうが我々のチームにとってはよかったと思うので、それがたまたまこういう形で出たということです。これでボロボロになってしまえば、なんでそういうことをしたんだと選手の中でもなるとは思いますが、僕としてはこれをやるということが大事で、結果はその次についてくると思っています。ただこれが好転するか、退転するかは正直あまり考えなかったというか、ただこれをやらなければいけないんだという気持ちでメンバーは選びました。結果的に勝ちましたけれど、負けても同じことを言わなければいけないんだろうなという気持ちでいます。
- そのメンバーを入れ替えるタイミングはなぜ今日の試合だったのか?
こう言うと「本当にそう思っていたの?」と言われそうですが、目が輝いている選手、エネルギーのある選手というのはやっぱりいるんです。薫もキャプテンとしてこのチームをなんとかしなければいけないと言う思いはネガティブでなくもちろん持っていますし、今日の試合を見て彼はまたエネルギーを充電してまた戻ってくると思います。そういう眼力とか、持っているオーラとか、そういうものを大事にしたいなと僕は思っています。おそらくそういうものがないとピッチに立っても良いプレーができないと思うので。ただそれはテクノロジーで測れるものではなくて、やっぱり目視で感じるものだと思いますし、格好良く言えばここではその自分の目視を信じたということです。
- 一般的にはカップ戦ではそういう采配をしやすいと考えがちだが、なぜリーグ戦でできるのか?
そこについてはリーグ戦だからといって全く躊躇はなかったです。リーグ戦だからこそやらなければいけなくて、例えばブンデスリーガとチャンピオンズリーグ、リーグアンとチャンピオンズリーグを2つ戦うチームが、どちらかに力を偏らせるような選手の替え方はしません。要はその時、その日にエネルギーのある選手がピッチに立つ、その中にローテーションという考え方もあるかもしれませんし、対戦相手のこともありますけれど、リーグだからカップだからというわけ方は日本だけだと思います。チャンピオンズリーグの方が賞金が高いからブンデスリーガでは違う選手を出す、ということは絶対にないし、そこは24、25人のパッケージ全員が戦力だと思っています。「この試合はプレッシャーが少ないからこの選手を出そう」ということをしていても選手は絶対に育たない。そう思っているし、そこでメンバーを決める責任、そこを決めることが僕の仕事だと思っているので、リーグ戦でこうすることへの迷いは全くなかったです。
名波浩 監督 総括
ゲームを総括する前に、まずは湘南ベルマーレのサポーターの方々が、我々がバスで入り口に入ってきた時に盛大な拍手をして迎え入れてくれて、アウェイ17クラブの中で断トツで迎え入れの対応というのがナンバーワンだなと。我々も見習いたいなという立ち居振る舞いをしていただきました。非常に感謝しております。
今日のゲームとしては人もボールもよく動いて、タッチ数も少なくゴールに向かっていく回数の競争だという中で、我々の方がそのどれもが圧倒できたと思いますし、あのアグレッシブで後ろから2ウェーブ3ウェーブ出てくる湘南相手に、そこも我々が圧倒できたと思っています。ゴールシーンはなかったですけれどシュートシーンが非常にたくさん生まれて決定的な場面も何個か生まれたというのは自信を持っていいんじゃないかと思います。
志向するサッカーが僕個人としては曺さんとちょっと似てるかなと思っていますが、そこでも圧倒出来た自信と、ただ一方でサッカーの怖さ、押していてもあの一本の失点で3ポイントを取れないという、その怖さもよく理解した上で今日はやっていました。案の定、向こうのゲームプラン、我慢強く我慢強くワンチャンスというところにやられてしまったのかなというふうに思っています。
選手に言ったのは顔を下げることは全くない、と。チームはけが人、もしくは解雇の選手が出て非常に厳しい苦しいこの中断期間までの戦いでしたけれど、自力で21ポイントを取ったこの自信というのは今後につながっていくと思いますし、今日のようなゲームが続けていけば、さらに高みにも行けそうな気がするということは言いました。
現状6位ですけれど、また明日おそらく抜かれると思いますし、上からは離されると思うんで、まあどっちつかずの順位になってきます。そうなることでなかなか選手のモチベーションが上がらない可能性がありますけれど、このリーグ戦の連敗というのをひとつのパワーに変えて、また中断明けから頑張っていきたいですし、プレーオフ(YBCルヴァンカップ)2試合が選手の力で我々のカレンダーに組み込めたので、この2試合も重要視して戦っていきたいなと思います。
名波浩 監督 質疑応答
- 高いクオリティーの攻撃があったが試合としては湘南のペースに巻き込まれたようにも感じたがどうか?
もしもそういうふうに見られるのであれば、一つの原因として田口(泰士)と山本(康裕)のところで何回か食われるシーン、特に田口が何度も食われるシーンがあって、あそこでプレッシャーのスピードが上がっている、それからプレスバックも含めて囲まれることがありました。その密集の速さから奪われてシュートまで持ち込まれるシーンというのが、野田(隆之介)がポストに当てた前半のシーン、あれが典型的だったんですけれど、あそこがとにかく狙いだぞという中で食われだしてから田口が隠れ出してリズムがなくなってきて、そこから湘南のペースになっていったのではないかと思います。
選手コメント
GK 1秋元 陽太
3連敗して、その3連敗をどう受け止めるかということを選手で話し合ってきた中で今日のプレーができたので、3連敗は無駄ではなかったと思いますし、それを乗り越えられたからこそ今日の結果が出たと思います。今日は前半を失点ゼロで抑えられたことが大きかったと思いますし、立ち上がりからみんな身体も張っていました。そういった中で大きく崩れることなく90分戦えたことは良かったと思います。ここからはまずルヴァンのプレーオフがあるのでそこに向けてしっかり準備したいです。そこから天皇杯もありますし、まずはこのオフをしっかり利用して精神的にリフレッシュして、みんなで同じ方向を向いて戦っていきたいと思います。
FW 15野田 隆之介
チーム一丸となって掴んだ勝利だと思います。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間はすごく嬉しかったです。試合前からみんなで前からアグレッシブに行こうという話はしていたので、それを相手にかわされることもありましたけれど、奪うことができたシーンもありましたし、そこから最後ゴール前までいけるシーンもあったので、そこを決められればもっと良かったと思います。(2試合連続のゴールだが)自分の得点はあまり意識していないです。みんなで掴んだゴールだと思いますし、次につながるゴールになったと思います。
MF 2菊地 俊介
ルヴァンでは2連勝していましたけれど、リーグ戦では勝てていなかったので、中断前にひとつ勝つことができて良かったと思います。相手が結構後ろでボールを動かしてくるチームだったので、前の選手で連動してプレッシャーをかけて相手のボールホルダーに自由を与えないプレーというのは心がけていました。試合は入りのピンチがあって少しバタバタはしてしまいました。ただ先に点を取られなかったというのは大きかったと思いますし、ピンチはあったかもしれませんけれど結果的に守れているという感覚はありました。攻撃もそこまで多くのチャンスは作れなかったと思いますけれど、しぶとく戦った結果としての勝利になったので、結果が欲しかったのでそれが1番かなと思います。
ルヴァンのプレーオフがまだあるので、そこへ向けて切り替えてやっていきたいですし、リーグ戦については少し期間が空くので、もう一度チームの課題を見つめ直してトレーニングをしていきたいです。ここまでは良い試合の方が多かったと思います。もちろん結果が出ない試合もありましたけれど、チームとしてやろうとしていることを多くの試合で出せたと思っています。それをもっと結果に結びつけていけるようにしていきたいです。
DF 36岡本 拓也
(ゴールシーンはゴール前に入っていたが)その前にインターセプトをして、そのまま入っていって、(杉岡)大暉はああいうタイミングでクロスを上げてこれる選手なので来るかなと思って飛び込みました。ただ僕はボールには触っていませんでした(笑)。
何回か前から相手のパスを引っ掛けて奪えていましたけれど、もう少し前からいきたかった中で剥がされてしまう場面が多くて、それでも後ろは割り切って最後のところで守れていたと思います。後半の頭からはらセカンドボールも拾えてうちのペースにできたと思います。
DF 20坂 圭祐
3連敗はしてしまっていましたけれど、個人的には一戦一戦必死に戦うつもりでいたので、連敗でそんなに気落ちすることなく臨んでいました。そのなかで今日の試合に勝てたというのは嬉しかったです。
前節の清水戦の後にみんなで本音で話し合うことができて、練習からも本音をぶつけ合うことが増えたと思います。それが今日の勝利にも繋がったと思います。横にも縦にもコンパクトにすることやセカンドボールを拾うことなど、気づいたことは前の選手にも言うようにしていたのでそれも結果に繋がって良かったです。オフ期間でもう一度自分たちの現状を確認して力をつけていかないといけないと思いますし、これからも続けていくべきところを明確にして、練習から全員で取り組んでいきたいです。
MF 16齊藤 未月
3連敗をしていましたけれど、「だから今日は絶対に勝たなければいけない」と言うよりも、この3連敗で悪かったことに対してチームとしてどういうふうに自分たちらしさを取り戻していくかということに目を向けていました。結果的に1-0で勝てたことはよかったですけれど、意識としては自分たちらしさを出すことを考えていました。守備の部分では身体を張ること、前からボールを奪い切ってフィニッシュまで行くこと、ここ数試合はそれが少なかったと思いますし、今日自分が先発で出た理由というのはそういう部分でエネルギーを持ってプレーしてほしいというメッセージだったと思います。そこを表現することは意識しました。
ここから中断に入りますけれど、中段明けからはどこも違うチームになっていると思いますし、この中段期間で立て直してどんどん成長して来ると思います。自分たちもしっかり練習から成長していかなければなと思います。
J1リーグ第15節 湘南vs磐田 試合後監督・選手コメント
監督コメント
曺監督 総括
お疲れ様でした。
今日のナイトゲームはJリーグの中で我々と磐田さんの試合だけだったので、全国的にも注目されている中での試合だったと思います。ここ最近リーグ戦で連敗していましたけれど、内容どうこうというよりも、選手がやろうとするエネルギーはピッチの中にあったと思っていました。それが裏目に出たという部分は確かにあったと思いますが、物事は表目には出ずに裏目に出る事もあるもので、結果は出ていなかったですけれども、非常にチームは良い流れで来ていたというふうに思っていました。前回のルヴァンの試合も非常に良い試合が出来ましたし、そういう意味では、今日、前半は磐田さんに多少ボールを動かされて危ないピンチもありましたけども、全員がその時間に何をするかという事をしっかり共有できていましたし、逆に我々がボールを取った時に、ゴールを取るための動きやパスはいつも以上にあったと思います。(ボール)保持率自体はそんなに高くなかったですけれど、前半からの相手のボールを奪ってゴールに向かっていた矢印が、後半ジュビロさんの足を少し止めたのかなと自分では感じています。
ジュビロさんは試合を見ていても実際にやった中でも、非常に技術も高くて戦術的な理解度も選手全員が持っていて、本当にJ1のチームだなと改めて思いました。そのJ1のチームに臆せず自分たちの良い所を出して、得点を挙げて1-0で勝ったというのは、決して守ろうとか守り切ろうと思った試合ではないですし、選手が本当に良くやってくれたと思います。今日ベンチには若い選手が多かったですけれども、今日入れなかった選手、年齢の高い選手も含めて全員の勝利だったと思います。
僕はルヴァンカップでまだ決勝トーナメントに監督として行ったことがなくて、その見たことのない景色の中でプレーすることも楽しみにしていますし、天皇杯もあります。これからワールドカップが始まるので少し中断しますけれども、色んな意味で目と頭と肉体を、色んな意味で鍛えて次の後期のリーグ戦に向かっていきたいと思います。
曺監督 質疑応答
- 後半選手の配置を少し変えたが意図は?
山田大記選手と松浦拓弥選手が結構嫌な位置に降りてきて、そこに蓋をしなければと思って配置を変えました。後半の方がプレスに行きやすかったのかなと思いましたけれど、磐田さんは選手が出入りしてボールを動かして来るチームなので、配置を変えたことよりも前半から圧力をかけ続けたことが後半のそういうところに繋がったのかなと感じています。選手は良くやってくれたと思います。
多少背後を取られるシーンもありましたけれど、3バックの横ずれやカバーリングはちゃんとできていたので、真ん中のところで穴が空きそうなところはほとんどなかったと思います。1、2回ピンチはありましたけれど、戦術的にも大人にできたかなと思います。
- 守備で身体を張ってよく守った試合だと思うが、その点の手応えはあるか?
そういう場面に関していうと、厳しいことをいえば(ボールの)取られ方が悪い。やってはいけない取られ方をして真ん中で蓋をするしかないという状況でしたけれども、あそこで一歩、1cm足が出るかどうかというのは僕は能力でなく努力でできることだと思っています。その努力を怠らなかったらああいった場面でああいったプレーにつながる。抜かれたから良いやという姿勢で普段から取り組んでいるとオウンゴールにもなるでしょうし、やられていると思います。「僕たちはこういうサッカーをする」ということはもちろんチームとして大事ですけれども、試合に勝つためには例えばスローインを相手に投げていては勝てないですし、CKで良いボールを蹴れなかったら勝てないでしょうし、ゴール前で身体を張らなければ勝てない。そういうことは100年前からわかっていること。それをしっかりやらせなければいけないなと、化粧がかったサッカーにはしてはいけないなと思っている中でのワンプレーだったと思います。それができなくて仙台戦の前半戦でやられてしまったなと思っていたので、選手はよく学んだなと思います。
- 今日もメンバーを多少入れ替えて臨んだが、そうすることでチームに刺激を与え続けるマネジメントの狙いはどこにあるか?
今日はアンドレバイア、ミキッチ、アレン(ステバノヴィッチ)、そしてキャプテンの高山(薫)も特に怪我をしていませんがメンバーからは外して、その他にも経験のある選手を入れずにガラッと大きく替えたということには僕の中にはやっぱりメッセージがあります。30歳を過ぎてベテランの域に入ったから経験を活かしていこう、とするのがこの世の中のほとんどだと思いますけれど、経験を生かすというのは基本的にできないことだと思っています。むしろ何も経験せずに初めて30歳でピッチに立った選手の方がエネルギーを発揮する可能性は十分にある。そういう中で、やっぱり若い選手がそういった選手に取って代わってピッチに立つことで、それは若い選手のためというよりもチーム全体、所属する選手全員が前向きになる、彼らに負けていられないという気持ちになる。とかく日本の社会では年上の人間が年下の人間をとりあえず3年間修行をして、それから試合に出ろよというような空気が、プロの世界とは言え少しある。それを僕は崩したかったというか、もちろんパフォーマンスがよければメンバーに入れますけれど、そういうすごくわかりやすい世界をここで作ったほうが我々のチームにとってはよかったと思うので、それがたまたまこういう形で出たということです。これでボロボロになってしまえば、なんでそういうことをしたんだと選手の中でもなるとは思いますが、僕としてはこれをやるということが大事で、結果はその次についてくると思っています。ただこれが好転するか、退転するかは正直あまり考えなかったというか、ただこれをやらなければいけないんだという気持ちでメンバーは選びました。結果的に勝ちましたけれど、負けても同じことを言わなければいけないんだろうなという気持ちでいます。
- そのメンバーを入れ替えるタイミングはなぜ今日の試合だったのか?
こう言うと「本当にそう思っていたの?」と言われそうですが、目が輝いている選手、エネルギーのある選手というのはやっぱりいるんです。薫もキャプテンとしてこのチームをなんとかしなければいけないと言う思いはネガティブでなくもちろん持っていますし、今日の試合を見て彼はまたエネルギーを充電してまた戻ってくると思います。そういう眼力とか、持っているオーラとか、そういうものを大事にしたいなと僕は思っています。おそらくそういうものがないとピッチに立っても良いプレーができないと思うので。ただそれはテクノロジーで測れるものではなくて、やっぱり目視で感じるものだと思いますし、格好良く言えばここではその自分の目視を信じたということです。
- 一般的にはカップ戦ではそういう采配をしやすいと考えがちだが、なぜリーグ戦でできるのか?
そこについてはリーグ戦だからといって全く躊躇はなかったです。リーグ戦だからこそやらなければいけなくて、例えばブンデスリーガとチャンピオンズリーグ、リーグアンとチャンピオンズリーグを2つ戦うチームが、どちらかに力を偏らせるような選手の替え方はしません。要はその時、その日にエネルギーのある選手がピッチに立つ、その中にローテーションという考え方もあるかもしれませんし、対戦相手のこともありますけれど、リーグだからカップだからというわけ方は日本だけだと思います。チャンピオンズリーグの方が賞金が高いからブンデスリーガでは違う選手を出す、ということは絶対にないし、そこは24、25人のパッケージ全員が戦力だと思っています。「この試合はプレッシャーが少ないからこの選手を出そう」ということをしていても選手は絶対に育たない。そう思っているし、そこでメンバーを決める責任、そこを決めることが僕の仕事だと思っているので、リーグ戦でこうすることへの迷いは全くなかったです。
名波浩 監督 総括
ゲームを総括する前に、まずは湘南ベルマーレのサポーターの方々が、我々がバスで入り口に入ってきた時に盛大な拍手をして迎え入れてくれて、アウェイ17クラブの中で断トツで迎え入れの対応というのがナンバーワンだなと。我々も見習いたいなという立ち居振る舞いをしていただきました。非常に感謝しております。
今日のゲームとしては人もボールもよく動いて、タッチ数も少なくゴールに向かっていく回数の競争だという中で、我々の方がそのどれもが圧倒できたと思いますし、あのアグレッシブで後ろから2ウェーブ3ウェーブ出てくる湘南相手に、そこも我々が圧倒できたと思っています。ゴールシーンはなかったですけれどシュートシーンが非常にたくさん生まれて決定的な場面も何個か生まれたというのは自信を持っていいんじゃないかと思います。
志向するサッカーが僕個人としては曺さんとちょっと似てるかなと思っていますが、そこでも圧倒出来た自信と、ただ一方でサッカーの怖さ、押していてもあの一本の失点で3ポイントを取れないという、その怖さもよく理解した上で今日はやっていました。案の定、向こうのゲームプラン、我慢強く我慢強くワンチャンスというところにやられてしまったのかなというふうに思っています。
選手に言ったのは顔を下げることは全くない、と。チームはけが人、もしくは解雇の選手が出て非常に厳しい苦しいこの中断期間までの戦いでしたけれど、自力で21ポイントを取ったこの自信というのは今後につながっていくと思いますし、今日のようなゲームが続けていけば、さらに高みにも行けそうな気がするということは言いました。
現状6位ですけれど、また明日おそらく抜かれると思いますし、上からは離されると思うんで、まあどっちつかずの順位になってきます。そうなることでなかなか選手のモチベーションが上がらない可能性がありますけれど、このリーグ戦の連敗というのをひとつのパワーに変えて、また中断明けから頑張っていきたいですし、プレーオフ(YBCルヴァンカップ)2試合が選手の力で我々のカレンダーに組み込めたので、この2試合も重要視して戦っていきたいなと思います。
名波浩 監督 質疑応答
- 高いクオリティーの攻撃があったが試合としては湘南のペースに巻き込まれたようにも感じたがどうか?
もしもそういうふうに見られるのであれば、一つの原因として田口(泰士)と山本(康裕)のところで何回か食われるシーン、特に田口が何度も食われるシーンがあって、あそこでプレッシャーのスピードが上がっている、それからプレスバックも含めて囲まれることがありました。その密集の速さから奪われてシュートまで持ち込まれるシーンというのが、野田(隆之介)がポストに当てた前半のシーン、あれが典型的だったんですけれど、あそこがとにかく狙いだぞという中で食われだしてから田口が隠れ出してリズムがなくなってきて、そこから湘南のペースになっていったのではないかと思います。
選手コメント
GK 1秋元 陽太
3連敗して、その3連敗をどう受け止めるかということを選手で話し合ってきた中で今日のプレーができたので、3連敗は無駄ではなかったと思いますし、それを乗り越えられたからこそ今日の結果が出たと思います。今日は前半を失点ゼロで抑えられたことが大きかったと思いますし、立ち上がりからみんな身体も張っていました。そういった中で大きく崩れることなく90分戦えたことは良かったと思います。ここからはまずルヴァンのプレーオフがあるのでそこに向けてしっかり準備したいです。そこから天皇杯もありますし、まずはこのオフをしっかり利用して精神的にリフレッシュして、みんなで同じ方向を向いて戦っていきたいと思います。
FW 15野田 隆之介
チーム一丸となって掴んだ勝利だと思います。試合終了のホイッスルが鳴った瞬間はすごく嬉しかったです。試合前からみんなで前からアグレッシブに行こうという話はしていたので、それを相手にかわされることもありましたけれど、奪うことができたシーンもありましたし、そこから最後ゴール前までいけるシーンもあったので、そこを決められればもっと良かったと思います。(2試合連続のゴールだが)自分の得点はあまり意識していないです。みんなで掴んだゴールだと思いますし、次につながるゴールになったと思います。
MF 2菊地 俊介
ルヴァンでは2連勝していましたけれど、リーグ戦では勝てていなかったので、中断前にひとつ勝つことができて良かったと思います。相手が結構後ろでボールを動かしてくるチームだったので、前の選手で連動してプレッシャーをかけて相手のボールホルダーに自由を与えないプレーというのは心がけていました。試合は入りのピンチがあって少しバタバタはしてしまいました。ただ先に点を取られなかったというのは大きかったと思いますし、ピンチはあったかもしれませんけれど結果的に守れているという感覚はありました。攻撃もそこまで多くのチャンスは作れなかったと思いますけれど、しぶとく戦った結果としての勝利になったので、結果が欲しかったのでそれが1番かなと思います。
ルヴァンのプレーオフがまだあるので、そこへ向けて切り替えてやっていきたいですし、リーグ戦については少し期間が空くので、もう一度チームの課題を見つめ直してトレーニングをしていきたいです。ここまでは良い試合の方が多かったと思います。もちろん結果が出ない試合もありましたけれど、チームとしてやろうとしていることを多くの試合で出せたと思っています。それをもっと結果に結びつけていけるようにしていきたいです。
DF 36岡本 拓也
(ゴールシーンはゴール前に入っていたが)その前にインターセプトをして、そのまま入っていって、(杉岡)大暉はああいうタイミングでクロスを上げてこれる選手なので来るかなと思って飛び込みました。ただ僕はボールには触っていませんでした(笑)。
何回か前から相手のパスを引っ掛けて奪えていましたけれど、もう少し前からいきたかった中で剥がされてしまう場面が多くて、それでも後ろは割り切って最後のところで守れていたと思います。後半の頭からはらセカンドボールも拾えてうちのペースにできたと思います。
DF 20坂 圭祐
3連敗はしてしまっていましたけれど、個人的には一戦一戦必死に戦うつもりでいたので、連敗でそんなに気落ちすることなく臨んでいました。そのなかで今日の試合に勝てたというのは嬉しかったです。
前節の清水戦の後にみんなで本音で話し合うことができて、練習からも本音をぶつけ合うことが増えたと思います。それが今日の勝利にも繋がったと思います。横にも縦にもコンパクトにすることやセカンドボールを拾うことなど、気づいたことは前の選手にも言うようにしていたのでそれも結果に繋がって良かったです。オフ期間でもう一度自分たちの現状を確認して力をつけていかないといけないと思いますし、これからも続けていくべきところを明確にして、練習から全員で取り組んでいきたいです。
MF 16齊藤 未月
3連敗をしていましたけれど、「だから今日は絶対に勝たなければいけない」と言うよりも、この3連敗で悪かったことに対してチームとしてどういうふうに自分たちらしさを取り戻していくかということに目を向けていました。結果的に1-0で勝てたことはよかったですけれど、意識としては自分たちらしさを出すことを考えていました。守備の部分では身体を張ること、前からボールを奪い切ってフィニッシュまで行くこと、ここ数試合はそれが少なかったと思いますし、今日自分が先発で出た理由というのはそういう部分でエネルギーを持ってプレーしてほしいというメッセージだったと思います。そこを表現することは意識しました。
ここから中断に入りますけれど、中段明けからはどこも違うチームになっていると思いますし、この中段期間で立て直してどんどん成長して来ると思います。自分たちもしっかり練習から成長していかなければなと思います。