ボイス

【ボイス:2018年4月30日】杉岡 大暉選手

ヤングキャプテンの役職に感じる
新たな責任感の芽生え
 市立船橋高校在籍時から高校No.1ディフェンダーの呼び声が高かった杉岡選手。プロからのオファーも当然、ベルマーレだけではなかった。その中で、J2への降格の可能性もあったベルマーレを選んだのには理由がある。

「やっぱり曺さんの存在が大きいですね。チームとしてサッカーが明確だし、僕が高校時代にやっていたサッカーに似ている部分もあったんで。それに練習にも参加して、練習から成長できる場所というのを実感できた」

 加入が決まった後にJ2への降格が決まったが、この現実もポジティブに捉えた。

「意識してないって言ったら嘘になりますけど、結果的にJ2はいい経験になったと思う。いきなりJ1だったらあんなに試合に出られなかったかもしれないですし、いきなりJ1でプレーが通用したとも思えない。いい段階を踏んで、今年J1に来れたなっていうのはすごく思います。今のところは、思い描いてた通りになってますね」

 着実に踏んできたステップ。J2を経験することで大きく成長できたと感じている。

「守備の対応とかプレースピードとかは、慣れた部分があって、成長できていると思います。特に去年一番成長したなと思うのは、対人の部分。より強く行けるようになったし、守備でも抜かれることも少なくなった。そこは自分の武器だと思っているんで、すごく自信を持てるようになりました。攻撃面ではファーストタッチが大事だと思うんですけど、最初に比べたら確実に上手くなってると思うし、ファーストタッチが安定するからこそ、プレーの選択も広がったかなと思います」

 今シーズン、まだ数試合ながらJ1の経験もものにしている実感はある。

「やっぱりJ1は、来るところで一気にプレスをかけてきますし、そういう意味ではワンタッチプレーもより多く必要。プレースピードも上がってきてるかなと思います」

 すべての経験が杉岡選手の現在の攻撃のスタイルを構築している。

「クロスもただ上げていただけだったのが、しっかり狙いを持って上げられるようになりました。速いボールでディフェンダーとキーパーの間をすり抜けるというか、その軌道はコーチングスタッフにも結構褒めてもらえるんで、そこは伸ばしていこうと思って。それを伸ばしつつ、それを武器と相手に思ってもらえればディフェンスはそちらを抑えてくるので逆にマイナス方向が空いてくる。そういう工夫もこれからしていければより良いかなと思います」

 日々の成長は、自分自身を冷静に見つめ、分析して練習に臨む賜物だ。こうしたプレー面での成長に加えて、今シーズンは曺監督から“ヤングキャプテン”にも指名された。

「曺さんには、『責任を持たせたい』と言われました。僕が成長する機会を作ってくれたのかなと思います。今年は若手が多いんで、そういう選手たちの意見を集約して上の選手に伝えたり、逆もそう。でも、僕を通す必要もない感じですけどね」

 高卒ルーキー1人を合わせた10代選手5人と大卒ルーキー4人を含めた若手をまとめるキャプテンだ。やることはないと笑うが、それでもそうした“役職”がついたことでサポーターからも声をかけられ、自覚は増している。

「役職があると自然と。やっぱりそういう責任は少なからずありますよね。サポーターにも声をかけてもらって、そういう目で見られているんだなと意識もしますし」

 同世代の仲間を代表する責任を負う。曺監督が託したこの役割がどのような変化を導くのか、また、その結果がピッチの中にどのように反映されるのか、その成長にも期待したい。



取材・文 小西尚美
協力 森朝美