馬入日記

【マラガ日記:1月24日】「そこでチームのためにジャンプしたことがどれだけ大事だったか」

IMG_6005先日行なわれたスペインリーグに素晴らしいシーンがあったという。概要はこうだ。アラベス対レガネスの一戦、ホームのアラベスは後半早々2点をリードした。一方のレガネスも1点を返して迎えた終盤、試合終了も押し迫る後半42分のことだった。レガネスのGKが蹴ったロングボールを背の小さな選手が必死に競ると、アラベスのセンターバックの手が偶然その選手の顔に当たり、2枚目のカードで退場してしまう。リードしているアラベスが10人になったわけだ。

曺貴裁監督は振り返る。「負けているけど一生懸命競ったらなにかが生まれるかもしれない。このときそう思って観ていたら、ほんとうに次のプレーで得点が入った」。レガネスは0-2から同点に追いついた。

くだんのシーンを掘り下げながら、さらに指揮官は自分たちに目を向ける。
「そこでチームのためにジャンプしたことがどれだけ大事だったかを選手には学んでほしい。去年の湘南はそういうプレーがすごく多かった。それは続けていかなければいけない。なぜなら調子がいいときばかりではないから。そういうプレーの大切さは、選手がいちばん理解してくれていると思う」

キャンプ最初のトレーニングで体を起こした彼らは24日、午前はフィールドプレイヤーとGKがそれぞれにタフなトレーニングで追い込んだ。午後はスペインに来て初めてミーティングを行ない、チームのベースとなる戦術を確認し、それを踏まえてトレーニングを行なった。ミーティングが例年よりも少ないのは、選手自ら考えてほしいという指揮官の想いの表れだ。

「テンポが速く、インテンシティも高い。非常にいいトレーニングができている」今季加入したアレンステバノヴィッチは言う。
「まずはチームのコンセプトをしっかりと理解し、チームメイトや監督スタッフと協力して自分の力を出していきたい。求められていることを吸収し、学んで成長していきたいし、責任を持って仕事をしたい」

コミュニケーションを深めながら、チームとして大切にしていることを皆で共有する。生活をともにするなか、着々とチームづくりは進んでいる。

TEXT:隈元大吾