J2リーグ第42節 湘南vs町田 試合後監督・選手コメント
監督コメント
曺監督 総括
お疲れ様でした。
本当に1年間、今、サポーターの皆さんと選手に感謝の念をセレモニーで述べましたけれども、ここにいるメディアの皆さんも、いつも正直に感じたことを紙面や番組にのせていただいて、たまに納得いかないな、なんてことを思ったこともありましたけれども、それも含めてありがたいなと思います。ありがとうございました。
僕がいつも話してるんで、今日は質問メインにしましょう。
--改めて今日で最終節が終わりましたが、今年1年振り返ってどうだったか?
今日の試合もそうですけれども、最初から最後まで強さを見せつけて、完膚なきまでに相手を叩いた試合というのは、本当に数少ないシーズンでした。ギリギリのところで勝ったり負けたり引き分けたりしてきたな、というシーズンを象徴するような今日の試合でした。
ただ、こういう昇格の仕方というのは、間違いなく狙ってできるものでもはなくて、僅差の勝負をモノにしてくという時に、選手の成長度とか、充実度が明らかに上がっていくという瞬間にも立ち会えました。年間通して良い時も悪い時もありましたけど、試合に絡んで出ていく選手はどんどんどんどん成長を遂げましたし、それに引っ張られるように練習の中でのクオリティが上がった選手もたくさんいました。2017年の湘南は、本当に選手は100%、120%の力で年間通して我々のスタイルも含めて、新しいものを作ってもらえたな、という気持ちでいます。
ただ、先ほどセレモニーの挨拶で言ったように、J1はまとまりとか、サッカーに対する気持ちとか、思いやりだけでは乗り越えられないリーグだということは、僕が1番よくわかっています。今年は本当に頑張っている選手たちに、さらにそれに上塗りするように辛辣なコメントを述べて彼らの成長を促すようなマネジメントをしてました。そういう事が、また次に繋がっていくようになって欲しいし、今年でこのチームを離れる選手や、また来年このチームに残って続けていく選手含めて、すべての選手や関係者が次のステージで活躍してくれる事を心の底から祈ってます。
曺監督 質疑応答
- あえてセレモニーの場で「自分たちは強くない」と語ったのにはどんな想いが?
選手も思っているし僕も思っているということです。「強くない」というのは別にネガティブな言葉ではなくて、周りを圧倒して勝たないといけないというような、2014年の湘南やこれまでの湘南を見てきた人からの期待というのは、折につけ選手は直接的にも間接的にも感じていたと思いますし、その中で攻撃も守備も全部の局面で相手を上回ろうとやってきました。ただ結果的に上回れなかった試合もありましたし、そういう意味で僕らには力がなかったと思います。ただそれは同時に自分たちが力をつけてきた証拠でもある。自分たちが強くはなかったけど、今年のチームは本当に100%試合の結果や内容に向き合って次への歩みを止めなかったというのは、目に見えない部分も含めて僕は個人的に彼らにありがとうと言いたいですし、お疲れ様と言いたいです。もっともっといい選手になってもらえることを期待しているだけです。
- J1を戦う上で、どの部分をさらに上塗りして行く必要があると感じているか?
10個あったら10個直す必要はないと思います。ただそのうちの3なのか4なのか5なのかは、意識もそうですけれどコンビネーションの組み合わせややるサッカーの質を含めてバリエーションは当然必要になってきますし、その中でも今日で言えば相手の足が止まった時間にカウンターで仕留められていない。そのカウンターで仕留められるかどうかを一生懸命やっているかどうかだけで片付けずに、それをゴールまで持って行くということが我々の最大の課題であり、そこを選手全員で共有してやって行くことが大切だと思っています。
- 今季1番印象に残った試合やシーンはどこか?
ひとつに絞るのはすごく難しいです。ひとつというより、僕が初めて監督になった2012年に比べて、2017年のこの湘南のスタジアムの雰囲気は、やっている選手たちと見ている観客の方々との温度が一緒だなと感じることが多かったです。例えば前に運べるのに下げてしまったり、ボールを取りに行けば良いのに下がってしまったり、クロスをあげられるのにあげなかったり、そういったものを見分けるサッカー文化は間違いなくこの街に根付いてきているんじゃないかということは今年感じました。だから選手はそれを真に受けて最後で緊張してしまったりクオリティが伴わないことがありましたけど、ドイツのサッカーがすごく好きな僕としては、あの街にこのクラブがある、このクラブは緑色で、こういう選手がいるんだということを街の人が誇りにしてスタジアムに来て、俺たちのサッカーはこういうものなんだという想いを抱き、声援を送って、ダメな時はブーイングをして選手を鼓舞するというような文化は間違いなくこの5、6年、もしくは10年でクラブを取り巻く空気は変わって来たと思います。だからこそそういう選手たちを支えるものをまた全員で作って、今日もサポーターが「強くなって世界に出て行こう」というようなことを書いてくれていましたけど、本当にそうだと思いますし、目指すなら1番上を、それは夢としてでなく向き合っていかなければいけないなと、今年のチームや今年の皆さんの応援を聞いて強く感じさせられました。
- 高山薫選手が久々に平塚のピッチに帰ってきたが、彼への評価は?
彼のいないこの場で評価を語ることはできないですが、ただ薫はずっとうちにいてチームを強くしたい、上手くなりたいという気持ちの強い選手なので、その分神経質になりがちなところもありますが、半歩でも一歩でもいいのでひとつずつ乗り越えながらこれからも大きくなってほしいというのが僕の間違いない気持ちです。キャプテンとしてピッチに立てなかった彼の忸怩たる想いは想像に難くないですが、そういう立場で最後に改めてキャプテンマークを巻いたことにもプレッシャーを感じていたでしょうし、ただこの1年間の経験は、彼にとっても必要だったんじゃないかなと最近は思います。だから彼の未来にも同時に期待したいと思います。
- 監督自身がこの1年で学んだことはどんなことか?
いい内容の試合で勝ちきれるということはそんなに多くないんだなということを思いました。ロマンチストなところがあるのでそういうものを目指したいとずっと思ってきた反面、選手の温度に僕が乗っかってやらないといけないなということも学びましたし、状況を読むということも前よりはできるようになったかなと思います。ただサッカーの本質はプレーしている選手が目をキラキラさせながら前に進んで行く、ボールを奪いに行く、俺たちがやりたいんだと思っているものを出すのが基本的なものだと思っているので、僕がそう見ていているからといって彼らが良いプレーをしたかというのは全く別のものです。優勝したからといって当たり前ですけど、あぐらをかくことなくそこに向き合ってやっていかなければいけないなと思っています。
相馬監督 総括
まずはリーグ最終戦、アウェイですけれども我々をサポートしにまたたくさんの方に来ていただきました。本当に今年1年間ずっと支え続けてくれた方々ですので、感謝、ありがとうという言葉を伝えさせていただきます。
ゲームの方は、最終節という意味でもそうですが、少し勝ちから遠ざかっていることも含めて、今日は勝ちにここに乗り込んで来ました。もちろん力のある湘南さん、優勝した湘南さんですから簡単なことではありません。もしかするとこちらがチャレンジすればするだけやっつけられる可能性もあったと思います。ただ選手たちは立ち上がりからタフにアグレッシブに、重心を前に乗せて戦ってくれたと思います。なかなか90分続けることは難しいですし、何度かあったチャンスを決めきれないというところを含めて今年の勝ちきれないというところが出てしまったと思いますが、来季J1を戦う湘南さんを相手に今日見せてくれた姿勢は僕は誇りに思っています。こういう試合を、もちろん勝たなければいけませんが、試合が終わった時に「出し切った、やりきった」と思える試合を、またこれから少しでも多く、簡単なことではないですが目指していきたいですし、それができることは今日選手が示してくれたと思います。そこをしっかりつないでいけるよう、そして勝点3に変えていけるよう、僕が1番勉強しなければいけないなと思っています。今日はシーズン最後のゲームでしたので、1年間応援してくださった、サポートしてくださった方々、そして戦った選手たちにありがとうございましたとこの場で述べさせていただきます。
相馬監督 質疑応答
- シーズン終えての成績についてはどう感じているか?
やはり今日のゲームもそうですけれど、勝ちきるというところ、特に試合終盤でうちが取って追いつく、うっちゃるというようなゲームがなかなかできなかったなと感じています。そこのところ、チーム全体のゲームプランをまず僕が見直す必要があると思います。ここをどう変えて行くか、今日のゲームを見てもわかっていただけると思いますが、来季も我々はチャレンジャーであるという立場であることは変わらないと思います。そのなかで上に上がっていこうとすると本当にギリギリまで出し尽くすということが大切になると思っています。そういうものをゲームプランの中でどういうふうにコントロールしてやるか、それが簡単にできるようなリーグだとは思っていませんし、我々の良さが出ずに相手に飲み込まれてしまうゲームも出て来てしまうんじゃないかということも思いますが、今の戦いぶりをキープし、上回るものを出しながら、最後勝ちきれる、守りきれる、追いつくひっくり返す力をつけられるようやっていかなければいけないなと思います。それはもう一度またスタッフとも話をしながらやっていきたいなと思っています。
- 来季に向けて上積みしなければいけないのはどんなところか?
私も今シーズンでこのチームを預かって4季目、来季で5季目になりますけれど、やはり少しマンネリというようなものがいろんな部分で出てくるかもしれません。そういったところで勝てるゲームがドローになったり、負けなくても良いゲームでドローに持ち込めなかったり、そういうことにつながるのかなと思っています。そこのところをもう一度リフレッシュして、1年間、42試合という長丁場ですけれど、スタートから毎試合で今日のような勢いで戦えるチーム、グループ、雰囲気というものを作らなければいけないかなと感じています。その上で止める蹴るだったり、戦術的にも徹底すべきところと幅をつけるところをやっていきたい。まず1番はグループのマインドをリセット、リフレッシュさせる、その部分ではまずは私が1番そういう意識を持っていないといけないかなと思っています。
- 今年の試合で印象に残っている試合は?
パッと浮かばないですが、アウェイの福岡戦は少し劇的という言葉がふさわしいゲームだったと思いますし、それ以外にももちろんあると思いますが、試合を終えた後に選手が本当に力を出し切ったと言える試合、今日もそうだったと思いますが、夏場の山形との試合とか、そういった試合を1試合でも多く増やして、勝ちにしていきたいなと思います。
選手コメント
FW 23高山 薫
(久々の先発だったが)単純に感動しました。7年もサッカー選手をやっているとある意味で慣れてしまうようなところがあるかもしれないけど、ピッチに立ってアップしている時の応援とかは長い怪我をして改めてすごく感じることができました。これだけサッカーができなかった期間がこれまでの人生でなかったから、サポーターの方がたくさんいる中でピッチに立てるってすごい幸せなんだなと改めて思いました。試合としてはなかなか難しい部分がありましたし、もっと得点やチャンスに絡みたかったです。身体は動くようにはなってきましたけど、まだまだだなという感じです。長く怪我していたし、ここからの練習もまたしっかりやりたいなと思います。しっかりコンディションを戻すことに専念してやっていきたいです。
MF 8山田 直輝
1年間を締めくくる最後の試合で、このメンバーでできる最後の試合でしたけど、もったいない前半を過ごしてしまったなというのが正直な気持ちです。後半はらしさを出せたところもあったので、後半の戦いを前半からできていれば、最後勝利で飾れたのかなという気持ちもありますけれど、これもまたサッカーだと思います。苦しい中でも勝ってきたという今年のチームの姿を後半で見せたかったですけど、一歩足りなかったです。
優勝が決まってから気を抜いたということはみんなのなかでは本当に無かったと思いますけど、ほんのちょっとの目に見えない何かの緩みがあったのかもしれません。苦しい試合を1試合1試合戦って、それをモノにしてきたチームだったので、その何かがちょっと緩んで勝てなくなったというのは、自分たちの力の無さだなと思います。
サポーターの皆さんには、1試合も「今日は完勝だったな」という試合はなかったかもしれないですけれど、そういうハラハラドキドキの試合をいつも温かく厳しく見守ってもらえたおかげで勝つことができたので、本当に感謝しています。1年間ありがとうございました。
DF 36岡本 拓也
相手も勢いがあってちょっと難しいゲームになりましたけど、勝つチャンスはあったので、内容的に少し物足りなさは感じています。前半はシンプルに球際のところで押されてしまってセカンドボールを拾えずにいたところがありました。チャンスになったシーンはセカンドボールをシンプルにつないで逆サイドに展開できたようなシーンだったので、そういうところがもう少し出せれば良かったと思います。
皆で考えて修正できるのが今年のチームだったので、今日も修正はできましたけれど勝ちきることができませんでした。ただ課題はありますけれど、後半はそんなに悪くなかったんじゃないかなと思います。個人的にも最初ワイドの時にもすごい前に行けていて、体も動いていたので、悪くはなかったんじゃないかなと思います。
今季はチーム事情もありましたけどワイドを長くやって意外とできるなという新しい自分を見つけられたし、より選手としての幅が広がって成長を感じられたシーズンだったなと思います。ただ手応えは半々、まだ改善していかなければならない課題はたくさんあると思っています。
MF 16齊藤 未月
スタメンとしてボランチで出場したのが今シーズン2回目でしたけどやれる自信はありました。相手は球際で戦ってくるチームだということもわかっていたなかで、そこの部分は最低限できたとは思いますけど、それ以外のクオリティの部分だったり、ボールを受けてからというところはまだまだ質が足りていないところが多かったと思いますし、もっともっとボールに絡んだり、その精度を高めていかないといけないなと感じました。ただそういうことを感じられたのは良いシーズンの終わり方だったかなと思います。チームとしては、自分たちがファールをしてしまって相手に流れが行ってしまう時間がありましたし、相手の方がボールに人数をかけて来ていた感じがあったので、そこでしっかり勝つことが今日の試合では大事だったので、そういう球際や競り合いのところは追求したいかないとと感じました。
今日の試合でも感じた通り、ボールを奪うことや球際を戦うというところは今シーズン自分の中で自信が持てるようになりましたし、そこは来年もトライしていきたい。ただ相手が引いてくるチームやボールを大きく蹴って攻めてくるチームに対して、自分がもっとボールを受けて攻撃に推進力を持たせていくようなプレーは、ボランチで出てもシャドーで出てもやっていかなければいけないとシーズン通して感じました。今日の試合でも自分の課題が明確にわかりましたし、プラスに捉えてまたやっていきたいです。
シーズンが始まってからずっとJ1昇格や優勝を目指してサポーターの皆様も応援してくださっていたと思いますし、個人的にはゴールを期待してもらっていたと思うのでその結果を出せなかったことは悔しいです。ただ曺さんも言っていたように自分たちは強いチームではありませんけど、みなさんの声が支えになって、一体感があったから優勝できたと思います。来年はもっと厳しい環境になりますけど、もっと成長して、もっと強くなっていきたいです。来年も応援宜しくお願いします。
J2リーグ第42節 湘南vs町田 試合後監督・選手コメント
監督コメント
曺監督 総括
お疲れ様でした。
本当に1年間、今、サポーターの皆さんと選手に感謝の念をセレモニーで述べましたけれども、ここにいるメディアの皆さんも、いつも正直に感じたことを紙面や番組にのせていただいて、たまに納得いかないな、なんてことを思ったこともありましたけれども、それも含めてありがたいなと思います。ありがとうございました。
僕がいつも話してるんで、今日は質問メインにしましょう。
--改めて今日で最終節が終わりましたが、今年1年振り返ってどうだったか?
今日の試合もそうですけれども、最初から最後まで強さを見せつけて、完膚なきまでに相手を叩いた試合というのは、本当に数少ないシーズンでした。ギリギリのところで勝ったり負けたり引き分けたりしてきたな、というシーズンを象徴するような今日の試合でした。
ただ、こういう昇格の仕方というのは、間違いなく狙ってできるものでもはなくて、僅差の勝負をモノにしてくという時に、選手の成長度とか、充実度が明らかに上がっていくという瞬間にも立ち会えました。年間通して良い時も悪い時もありましたけど、試合に絡んで出ていく選手はどんどんどんどん成長を遂げましたし、それに引っ張られるように練習の中でのクオリティが上がった選手もたくさんいました。2017年の湘南は、本当に選手は100%、120%の力で年間通して我々のスタイルも含めて、新しいものを作ってもらえたな、という気持ちでいます。
ただ、先ほどセレモニーの挨拶で言ったように、J1はまとまりとか、サッカーに対する気持ちとか、思いやりだけでは乗り越えられないリーグだということは、僕が1番よくわかっています。今年は本当に頑張っている選手たちに、さらにそれに上塗りするように辛辣なコメントを述べて彼らの成長を促すようなマネジメントをしてました。そういう事が、また次に繋がっていくようになって欲しいし、今年でこのチームを離れる選手や、また来年このチームに残って続けていく選手含めて、すべての選手や関係者が次のステージで活躍してくれる事を心の底から祈ってます。
曺監督 質疑応答
- あえてセレモニーの場で「自分たちは強くない」と語ったのにはどんな想いが?
選手も思っているし僕も思っているということです。「強くない」というのは別にネガティブな言葉ではなくて、周りを圧倒して勝たないといけないというような、2014年の湘南やこれまでの湘南を見てきた人からの期待というのは、折につけ選手は直接的にも間接的にも感じていたと思いますし、その中で攻撃も守備も全部の局面で相手を上回ろうとやってきました。ただ結果的に上回れなかった試合もありましたし、そういう意味で僕らには力がなかったと思います。ただそれは同時に自分たちが力をつけてきた証拠でもある。自分たちが強くはなかったけど、今年のチームは本当に100%試合の結果や内容に向き合って次への歩みを止めなかったというのは、目に見えない部分も含めて僕は個人的に彼らにありがとうと言いたいですし、お疲れ様と言いたいです。もっともっといい選手になってもらえることを期待しているだけです。
- J1を戦う上で、どの部分をさらに上塗りして行く必要があると感じているか?
10個あったら10個直す必要はないと思います。ただそのうちの3なのか4なのか5なのかは、意識もそうですけれどコンビネーションの組み合わせややるサッカーの質を含めてバリエーションは当然必要になってきますし、その中でも今日で言えば相手の足が止まった時間にカウンターで仕留められていない。そのカウンターで仕留められるかどうかを一生懸命やっているかどうかだけで片付けずに、それをゴールまで持って行くということが我々の最大の課題であり、そこを選手全員で共有してやって行くことが大切だと思っています。
- 今季1番印象に残った試合やシーンはどこか?
ひとつに絞るのはすごく難しいです。ひとつというより、僕が初めて監督になった2012年に比べて、2017年のこの湘南のスタジアムの雰囲気は、やっている選手たちと見ている観客の方々との温度が一緒だなと感じることが多かったです。例えば前に運べるのに下げてしまったり、ボールを取りに行けば良いのに下がってしまったり、クロスをあげられるのにあげなかったり、そういったものを見分けるサッカー文化は間違いなくこの街に根付いてきているんじゃないかということは今年感じました。だから選手はそれを真に受けて最後で緊張してしまったりクオリティが伴わないことがありましたけど、ドイツのサッカーがすごく好きな僕としては、あの街にこのクラブがある、このクラブは緑色で、こういう選手がいるんだということを街の人が誇りにしてスタジアムに来て、俺たちのサッカーはこういうものなんだという想いを抱き、声援を送って、ダメな時はブーイングをして選手を鼓舞するというような文化は間違いなくこの5、6年、もしくは10年でクラブを取り巻く空気は変わって来たと思います。だからこそそういう選手たちを支えるものをまた全員で作って、今日もサポーターが「強くなって世界に出て行こう」というようなことを書いてくれていましたけど、本当にそうだと思いますし、目指すなら1番上を、それは夢としてでなく向き合っていかなければいけないなと、今年のチームや今年の皆さんの応援を聞いて強く感じさせられました。
- 高山薫選手が久々に平塚のピッチに帰ってきたが、彼への評価は?
彼のいないこの場で評価を語ることはできないですが、ただ薫はずっとうちにいてチームを強くしたい、上手くなりたいという気持ちの強い選手なので、その分神経質になりがちなところもありますが、半歩でも一歩でもいいのでひとつずつ乗り越えながらこれからも大きくなってほしいというのが僕の間違いない気持ちです。キャプテンとしてピッチに立てなかった彼の忸怩たる想いは想像に難くないですが、そういう立場で最後に改めてキャプテンマークを巻いたことにもプレッシャーを感じていたでしょうし、ただこの1年間の経験は、彼にとっても必要だったんじゃないかなと最近は思います。だから彼の未来にも同時に期待したいと思います。
- 監督自身がこの1年で学んだことはどんなことか?
いい内容の試合で勝ちきれるということはそんなに多くないんだなということを思いました。ロマンチストなところがあるのでそういうものを目指したいとずっと思ってきた反面、選手の温度に僕が乗っかってやらないといけないなということも学びましたし、状況を読むということも前よりはできるようになったかなと思います。ただサッカーの本質はプレーしている選手が目をキラキラさせながら前に進んで行く、ボールを奪いに行く、俺たちがやりたいんだと思っているものを出すのが基本的なものだと思っているので、僕がそう見ていているからといって彼らが良いプレーをしたかというのは全く別のものです。優勝したからといって当たり前ですけど、あぐらをかくことなくそこに向き合ってやっていかなければいけないなと思っています。
相馬監督 総括
まずはリーグ最終戦、アウェイですけれども我々をサポートしにまたたくさんの方に来ていただきました。本当に今年1年間ずっと支え続けてくれた方々ですので、感謝、ありがとうという言葉を伝えさせていただきます。
ゲームの方は、最終節という意味でもそうですが、少し勝ちから遠ざかっていることも含めて、今日は勝ちにここに乗り込んで来ました。もちろん力のある湘南さん、優勝した湘南さんですから簡単なことではありません。もしかするとこちらがチャレンジすればするだけやっつけられる可能性もあったと思います。ただ選手たちは立ち上がりからタフにアグレッシブに、重心を前に乗せて戦ってくれたと思います。なかなか90分続けることは難しいですし、何度かあったチャンスを決めきれないというところを含めて今年の勝ちきれないというところが出てしまったと思いますが、来季J1を戦う湘南さんを相手に今日見せてくれた姿勢は僕は誇りに思っています。こういう試合を、もちろん勝たなければいけませんが、試合が終わった時に「出し切った、やりきった」と思える試合を、またこれから少しでも多く、簡単なことではないですが目指していきたいですし、それができることは今日選手が示してくれたと思います。そこをしっかりつないでいけるよう、そして勝点3に変えていけるよう、僕が1番勉強しなければいけないなと思っています。今日はシーズン最後のゲームでしたので、1年間応援してくださった、サポートしてくださった方々、そして戦った選手たちにありがとうございましたとこの場で述べさせていただきます。
相馬監督 質疑応答
- シーズン終えての成績についてはどう感じているか?
やはり今日のゲームもそうですけれど、勝ちきるというところ、特に試合終盤でうちが取って追いつく、うっちゃるというようなゲームがなかなかできなかったなと感じています。そこのところ、チーム全体のゲームプランをまず僕が見直す必要があると思います。ここをどう変えて行くか、今日のゲームを見てもわかっていただけると思いますが、来季も我々はチャレンジャーであるという立場であることは変わらないと思います。そのなかで上に上がっていこうとすると本当にギリギリまで出し尽くすということが大切になると思っています。そういうものをゲームプランの中でどういうふうにコントロールしてやるか、それが簡単にできるようなリーグだとは思っていませんし、我々の良さが出ずに相手に飲み込まれてしまうゲームも出て来てしまうんじゃないかということも思いますが、今の戦いぶりをキープし、上回るものを出しながら、最後勝ちきれる、守りきれる、追いつくひっくり返す力をつけられるようやっていかなければいけないなと思います。それはもう一度またスタッフとも話をしながらやっていきたいなと思っています。
- 来季に向けて上積みしなければいけないのはどんなところか?
私も今シーズンでこのチームを預かって4季目、来季で5季目になりますけれど、やはり少しマンネリというようなものがいろんな部分で出てくるかもしれません。そういったところで勝てるゲームがドローになったり、負けなくても良いゲームでドローに持ち込めなかったり、そういうことにつながるのかなと思っています。そこのところをもう一度リフレッシュして、1年間、42試合という長丁場ですけれど、スタートから毎試合で今日のような勢いで戦えるチーム、グループ、雰囲気というものを作らなければいけないかなと感じています。その上で止める蹴るだったり、戦術的にも徹底すべきところと幅をつけるところをやっていきたい。まず1番はグループのマインドをリセット、リフレッシュさせる、その部分ではまずは私が1番そういう意識を持っていないといけないかなと思っています。
- 今年の試合で印象に残っている試合は?
パッと浮かばないですが、アウェイの福岡戦は少し劇的という言葉がふさわしいゲームだったと思いますし、それ以外にももちろんあると思いますが、試合を終えた後に選手が本当に力を出し切ったと言える試合、今日もそうだったと思いますが、夏場の山形との試合とか、そういった試合を1試合でも多く増やして、勝ちにしていきたいなと思います。
選手コメント
FW 23高山 薫
(久々の先発だったが)単純に感動しました。7年もサッカー選手をやっているとある意味で慣れてしまうようなところがあるかもしれないけど、ピッチに立ってアップしている時の応援とかは長い怪我をして改めてすごく感じることができました。これだけサッカーができなかった期間がこれまでの人生でなかったから、サポーターの方がたくさんいる中でピッチに立てるってすごい幸せなんだなと改めて思いました。試合としてはなかなか難しい部分がありましたし、もっと得点やチャンスに絡みたかったです。身体は動くようにはなってきましたけど、まだまだだなという感じです。長く怪我していたし、ここからの練習もまたしっかりやりたいなと思います。しっかりコンディションを戻すことに専念してやっていきたいです。
MF 8山田 直輝
1年間を締めくくる最後の試合で、このメンバーでできる最後の試合でしたけど、もったいない前半を過ごしてしまったなというのが正直な気持ちです。後半はらしさを出せたところもあったので、後半の戦いを前半からできていれば、最後勝利で飾れたのかなという気持ちもありますけれど、これもまたサッカーだと思います。苦しい中でも勝ってきたという今年のチームの姿を後半で見せたかったですけど、一歩足りなかったです。
優勝が決まってから気を抜いたということはみんなのなかでは本当に無かったと思いますけど、ほんのちょっとの目に見えない何かの緩みがあったのかもしれません。苦しい試合を1試合1試合戦って、それをモノにしてきたチームだったので、その何かがちょっと緩んで勝てなくなったというのは、自分たちの力の無さだなと思います。
サポーターの皆さんには、1試合も「今日は完勝だったな」という試合はなかったかもしれないですけれど、そういうハラハラドキドキの試合をいつも温かく厳しく見守ってもらえたおかげで勝つことができたので、本当に感謝しています。1年間ありがとうございました。
DF 36岡本 拓也
相手も勢いがあってちょっと難しいゲームになりましたけど、勝つチャンスはあったので、内容的に少し物足りなさは感じています。前半はシンプルに球際のところで押されてしまってセカンドボールを拾えずにいたところがありました。チャンスになったシーンはセカンドボールをシンプルにつないで逆サイドに展開できたようなシーンだったので、そういうところがもう少し出せれば良かったと思います。
皆で考えて修正できるのが今年のチームだったので、今日も修正はできましたけれど勝ちきることができませんでした。ただ課題はありますけれど、後半はそんなに悪くなかったんじゃないかなと思います。個人的にも最初ワイドの時にもすごい前に行けていて、体も動いていたので、悪くはなかったんじゃないかなと思います。
今季はチーム事情もありましたけどワイドを長くやって意外とできるなという新しい自分を見つけられたし、より選手としての幅が広がって成長を感じられたシーズンだったなと思います。ただ手応えは半々、まだ改善していかなければならない課題はたくさんあると思っています。
MF 16齊藤 未月
スタメンとしてボランチで出場したのが今シーズン2回目でしたけどやれる自信はありました。相手は球際で戦ってくるチームだということもわかっていたなかで、そこの部分は最低限できたとは思いますけど、それ以外のクオリティの部分だったり、ボールを受けてからというところはまだまだ質が足りていないところが多かったと思いますし、もっともっとボールに絡んだり、その精度を高めていかないといけないなと感じました。ただそういうことを感じられたのは良いシーズンの終わり方だったかなと思います。チームとしては、自分たちがファールをしてしまって相手に流れが行ってしまう時間がありましたし、相手の方がボールに人数をかけて来ていた感じがあったので、そこでしっかり勝つことが今日の試合では大事だったので、そういう球際や競り合いのところは追求したいかないとと感じました。
今日の試合でも感じた通り、ボールを奪うことや球際を戦うというところは今シーズン自分の中で自信が持てるようになりましたし、そこは来年もトライしていきたい。ただ相手が引いてくるチームやボールを大きく蹴って攻めてくるチームに対して、自分がもっとボールを受けて攻撃に推進力を持たせていくようなプレーは、ボランチで出てもシャドーで出てもやっていかなければいけないとシーズン通して感じました。今日の試合でも自分の課題が明確にわかりましたし、プラスに捉えてまたやっていきたいです。
シーズンが始まってからずっとJ1昇格や優勝を目指してサポーターの皆様も応援してくださっていたと思いますし、個人的にはゴールを期待してもらっていたと思うのでその結果を出せなかったことは悔しいです。ただ曺さんも言っていたように自分たちは強いチームではありませんけど、みなさんの声が支えになって、一体感があったから優勝できたと思います。来年はもっと厳しい環境になりますけど、もっと成長して、もっと強くなっていきたいです。来年も応援宜しくお願いします。