ボイス

【ボイス:2017年11月18日】ジネイ選手

チームのコンセプトを体現
成長と深化を示したハットトリック
 曺監督が「ゼロからのスタート」と位置付けた今シーズン、ベルマーレのサッカースタイルにも新しい深化の風が吹き込んでいる。スタイルの軸をより強固なものにしながら幅を広げ、新たなコンビネーションなども築いていかなければならない。それはシーズン終盤の今でも進行形だ。
 とはいえ、そうした積み重ねが実を結んだ一例が9月9日開催の第32節レノファ山口FC戦で実現したジネイ選手のハットトリックではないだろうか? 1点目と3点目は、ジネイ選手の動きに合わせて山田直輝選手や石川俊輝選手が送ったスルーパスから見事な得点を挙げている。

「シーズンの最初の頃は、お互いタイミングだったり、どんなプレーが得意なのか、合わない部分も多かったんですけど、試合を続けていくことによってどのタイミングでどういうようなボールがいいとか、どの角度でどういうパスが欲しいとか、そういうことがわかってくる。そういったコンビネーションが高まったり、お互いの共通理解が深まったりしていると思います」

 また、ジネイ選手の献身的なチームプレーが実ったのが2点目のシーンだ。相手選手の甘いバックパスを見逃さずに奪い、そのまま得点に結びつけた。

「あれは湘南のスタイルが出たんじゃないかと思います。やっぱり前からプレッシャーに行くスタイルということもあってあのボールをカットできたと思うし、得点にできたのはすごく良かったです」

 どのゴールもジネイ選手の巧みなシュートテクニックがあればこその得点だが、ここに至るまでのジネイ選手のベルマーレのサッカーを理解しようとする姿勢無くして得られなかった成果だろう。その一つが守備への献身。もともとチームのためにプレーする姿勢を持つジネイ選手だが、それでもここまで守備でのタスクを担うのは初めてだという。

「これほど守備に貢献するといったところまではなかったです。以前は、ボールが後ろの方にあるときは、『もうディフェンス陣に任せたよ』と。自分たちはもうちょっと点を取ることをより強く意識していました」

 曺監督はチームのコンセプトとしてどのポジションの選手にも攻守両面での献身を求めている。その要求は、ジネイ選手に新たな境地を拓いている。

「確かに攻撃にかける時間は少なくなっているのかもしれないんですけど、前からプレスに行くといった守備ができるようになって、自分にとってそれが武器になっていると思うし、それがまた自信になっています。自分は今、34歳になりましたが、そこから学んだことが自分にとってすごくプラスです。若くはなくても幅は広げられるというのはすごくいいことで、本当に自信になっています」

 アスリートの世界で34歳といえば、ベテランの域。練習量を落とす選手もいると聞くが、ベルマーレでは全員が共にトレーニングに取り組む。

「体力的なコンディションは良くなっているんですよ。日々のトレーニングのおかげだと思うんですが、インテンシティ高く日々の練習をしていくことで、体力のコンディションが良く保たれていて、そのおかげでそういったことができているんだと思います。
 坪井(慶介)選手も38歳ですが、湘南は、年齢などは関係なく同じトレーニングをするし、彼を見るとやはりすごいと思う。例えばジムで、最初は5kgしか上げられなかったけれど、トレーニングをするともっと重いものを上げられるようになります。それには時間や日々のトレーニングが必要だし、やらなければできない。でも、やればできる。坪井選手はそういったことを見せていて、そういう意味でもすごく参考になる選手です。ベテラン選手が頑張っている姿を見せると若手の選手にはすごく刺激になると思いますし」

 ベテランと呼ばれる立場に甘んじることなくチームを理解する努力を続けるジネイ選手。その実りとして34歳にして成長を感じ、その成長が自信になっていると語る。シーズンの終わりに向けて、さらなる進化を見守りたい。

>チームとして選手として勝利のために成長したい