ボイス
【ボイス:2017年10月14日】山根視来選手
ディフェンダーの喜びを知る
「福岡(第14節)、山雅(第15節)、山形(第16節)の3試合で、全部ミドルレンジからシュートを決められて。そのあとの1週間、最後の寄せとか身体を張る練習をしたなかでの長崎戦(17節)、僕が中途半端な寄せ方をしてミドルシュートを決められたということがありました」
曺監督からは、開幕当初の方がマークや最後に身体を張るという部分がよくできていたという言葉があったという。自分自身、ディフェンダーというポジションに慣れたことで気持ちが緩んだつもりはない。しかし、指摘を受けたあとの試合で似たようなミスを繰り返して失点したことで、少し自分を振り返る時間を指揮官から与えられた。
「これだけそういう対応について練習して、監督にも言われていたにもかかわらず、あのプレーで失点というのは、もう本当になんていうか、みんなに申し訳なかった。ベンチ外になりましたけど、そこはもうしょうがないというか。失点したことで勝点2を落としているんで、自分自身でもすごく重く受け止めました」
長崎戦、ビルドアップの途中で全体的に前かがりになったところを自陣でボールを奪われた。カウンターに転じたその選手が早いタイミングで放ったシュートは秋元選手の手をかすめてゴールに吸い込まれていった。
「周りの状況が見えてなかった。落ち着いて対応すればどうということはないのに大変な状況になっていると思い込んで、身体の寄せが中途半端になってしまったら打たれたという。あとで映像を見返したら、なんでこんなことになったのか、という感じで」
ディフェンダーとしての経験の浅さが出たミスと言えなくもない。しかし、山根選手はそれを言い訳にしてはいけないことを重々承知している。
「そんな変な逃げ道を作って御託を並べてもしょうがない。ただシュートを打たれる瞬間にもう一つ身体を寄せるという練習をしてきたなかだったので。経験とかは関係なく、あそこにいたのがフォワードの選手でもあのプレーには寄せることができる練習をしていたので。言い訳はできないです」
徳島戦はバックアップメンバーとなって馬入に残り、自分のプレーを考え直した。次にチャンスを掴んだのは、第19節ホームで迎えた京都サンガF.C.戦。前線には、大黒将志選手や若手の岩崎悠人選手といった個人能力の高い選手がいた。
「もう本当にそういうプレーをやらせないというか。身体のどこかに当たればシュートは入らないし、フリーにしたら決められるからマークも絶対に外させない。セットプレーは特に得点の割合も高いと思うから、そこを抑えられれば勝つ確率は上がる。うちはセットプレーは本当に厳しい練習をしているので、責任感があればでかい選手にも負けないと思う。
京都戦は、大黒選手のマークについたんですけど、逆に絶好の相手でした。試合中、ずっと動き直していてすごくつきづらかったんですけど、90分間集中してできて。チームも無失点だったので、それはちょっと自信になりました」
大黒選手といえば、ゴール前の動きは天下一品、どこのチームのディフェンダーも手こずらせることで有名だ。
「今シーズン、試合に出てオフェンスでは手応えを感じていたんですけど、センターバックの役割としては、手応えを持てたのは京都戦が初めてくらいです。この試合を無失点で終われたのは、どの試合よりもうれしい」
どの試合も無失点で抑えたい。それが達成できた試合こそに喜びを感じる。そんな少しずつの変化に、ディフェンダーとしての自信と自覚が芽生えてきたことを自分自身も実感している。