ボイス
2017.08.29
【ボイス:2017年8月25日】山田直輝選手
短いようで長いと感じる、今シーズン
チームへの責任を感じればこそ
チームへの責任を感じればこそ
「今年は開幕前、キャンプの時にちょっと怪我しちゃいましたけど、それ以外は、試合を欠場するような怪我はないです。こんなシーズンは、初めてですね。半年間、これだけ試合に出させてもらったのも、初めてです」
これまでのリーグ出場数のキャリアハイは、プロ1年目、2009年の20試合。今シーズンは、開幕からスタメンを掴み、2試合を除いた全試合で出場を果たし、シーズン折り返し後2試合目で、その数を上回った。2015年にベルマーレに加入して3年、もっとも多く公式戦出場の機会を掴むシーズンを送り、充実の日々を過ごしている。
「試合に出られないと自分の気持ちのなかで浮き沈みがあるというか、モチベーションを維持するのは難しかったです。だけど今は、身体は疲れるときはありますけど、やっとサッカー選手をできてるなっていう充実感で、メンタルは高まってますね」
試合出場を重ねることで勝つことへの責任も感じるようになり、勝敗に責任を持つことで選択するプレーも変わってきた。
「何でもかんでも自分の思ったことをやるんじゃなくて、チームのためのプレーを選択するだったり。それは自分の感覚ですけど、自分は変わりました。現に監督にも『お前はもう勝負の責任を負え』と言われているんで。そうしなきゃいけない歳でもあるし。意識はだいぶ変わりました」
勝負の責任を負うということを意識し始めたのは、やはり試合出場を重ねるようになってから。
「去年はそこまでは。僕がスタメンで出はじめた頃は、もうほとんど降格が決まっているような状態だったので、責任を持つも何も勝つしかない感じだった。試合に出ないと責任も何も負えないし、それありきのことだと思います。曺さんも信頼して使ってくれてるのかなって思うし、使ってもらっているからには勝負の責任だけは絶対に負わないといけないと思ってます」
曺監督が求めるのは、勝負への責任だけではない。チームとして継続していくもの、その担い手となることであり、チームとして成長するための牽引者となること。山田選手自身、その要求に応えるだけの年齢とキャリアを重ねてきたことを自覚する。
「このチームは、1年で半分近くの選手が入れ替わる。僕は3年目だし、年齢的にもキャリア的にも、このチームにいる日本人の中ではどっちかというと上なんで。このチームでの在籍歴とかも含めて、そういうことだと思います」
毎年チームは生まれ変わり、表現されるサッカーは選手の個性によって変化する。しかし、スタイルの根幹は脈々と受け継がれている。年を追うごとにその根は太くなってより地中深くへ広がり、幹はたくましさを増していく。曺監督のもと、その時をプレーする選手達が、勝負への責任を負いながらバトンを確かに繋ぐからこそ、その木は毎年蒼く茂る。
「そうは言っても僕一人じゃないんで、それは。でも、今シーズンここまで、短かったようで長かったと感じるのは、多分その責任を負う気持ちがあるからだと思います。その気持ちがなかったら、長いようで短いって思っていたと思うんです。1試合1試合の重みが若い頃とは違う」
27歳にして感じる、チームの中での自分の立ち位置。自分が若かった頃は、それを担ってくれている人がいたのだ。その感謝も込めて、今、戦う。
「10代の選手が出始めた最初の頃は、出るたびに『お前らは勝敗の責任を負わなくて良いから、思い切ってやれ』って言ってました。今はもう理解していると思うので、言わないですけど。すごく溌剌として、良いと思います。若い選手には本当にプレッシャーを感じないでやってほしい。僕が若い頃、そうやらしてもらったように」
チームを引っ張る立場として自覚を持ってピッチに立つ今、感じることも多い。特に初めてのJ2という舞台には、J1にない難しさもある。
「チームによってやり方も全然違う。で、やっぱりJ1から落ちてきたチームに対して『倒してやる』っていう強い気持ちがすごく伝わってくる。そういう相手にも勝たなきゃいけないのは難しいですね。
始まった当初は、曺さんからは勝っても結構厳しい言葉が多かったりしたんですけど、ある日、『お前らに向かってくる相手の気迫が、そのチームが他のチームと対戦しているときと全然違っていた。そのチームに対してきれいに勝とうと思っていた俺も間違っていた』というようなことを言ったんです。僕らも、開幕前はもうちょっと楽な試合もあるのかなって思ってましたけど、ここまで一つもなかった。J2は、本当に難しいし、だからこそやりがいがあるなと感じました。そういう意味で気づくまでにちょっと時間がかかりましたけど、その間も勝点は取れていたんで、残りの試合はこれまで以上の成績を残していきたい」
圧倒的な力の差を見せつけて勝利をものにしていく。それはJ1から降格してきたチームとして理想的な戦い方かもしれないが、J2というリーグはそんなに甘くない。むしろJ1から降格してきたチームに一泡吹かせることを狙って、より高いモチベーションで向かってくる。ここまでのリーグ戦で、むき出しの敵意を受け止めて戦う難しさを学んできた。だからこそ、この後の試合はさらに勝負にこだわっていく。その戦いへ、サポーターと共にあろうと望む。
「選手たちも勝利のために一丸となって戦っているんで、今まで通り少しでも後押しをして一緒に戦ってくれると、すごく心強い。
僕は、負けたときはもうちょっと厳しくてもいいかなと思います。負けても拍手をしてもらえるのは、本当に温かすぎて逆に申し訳なくなっちゃって。負けてブーイングされるのは、僕らは当たり前だと思ってます。負けたときにブーイングをしても、勝ったときに僕らと同じように喜んでくれたら、そうしたらもう何も言うことはない。それがチームだと思うんで、そうしてくれたらありがたいなと思います」
負けたときは自分の責任、勝ったときは自分がヒーロー、選手全員がそう思っているチーム。山田選手はサポーターもチームの一員であると思うからこそ、同じ喜びを分かち合いたいと願っている。
これまでのリーグ出場数のキャリアハイは、プロ1年目、2009年の20試合。今シーズンは、開幕からスタメンを掴み、2試合を除いた全試合で出場を果たし、シーズン折り返し後2試合目で、その数を上回った。2015年にベルマーレに加入して3年、もっとも多く公式戦出場の機会を掴むシーズンを送り、充実の日々を過ごしている。
「試合に出られないと自分の気持ちのなかで浮き沈みがあるというか、モチベーションを維持するのは難しかったです。だけど今は、身体は疲れるときはありますけど、やっとサッカー選手をできてるなっていう充実感で、メンタルは高まってますね」
試合出場を重ねることで勝つことへの責任も感じるようになり、勝敗に責任を持つことで選択するプレーも変わってきた。
「何でもかんでも自分の思ったことをやるんじゃなくて、チームのためのプレーを選択するだったり。それは自分の感覚ですけど、自分は変わりました。現に監督にも『お前はもう勝負の責任を負え』と言われているんで。そうしなきゃいけない歳でもあるし。意識はだいぶ変わりました」
勝負の責任を負うということを意識し始めたのは、やはり試合出場を重ねるようになってから。
「去年はそこまでは。僕がスタメンで出はじめた頃は、もうほとんど降格が決まっているような状態だったので、責任を持つも何も勝つしかない感じだった。試合に出ないと責任も何も負えないし、それありきのことだと思います。曺さんも信頼して使ってくれてるのかなって思うし、使ってもらっているからには勝負の責任だけは絶対に負わないといけないと思ってます」
曺監督が求めるのは、勝負への責任だけではない。チームとして継続していくもの、その担い手となることであり、チームとして成長するための牽引者となること。山田選手自身、その要求に応えるだけの年齢とキャリアを重ねてきたことを自覚する。
「このチームは、1年で半分近くの選手が入れ替わる。僕は3年目だし、年齢的にもキャリア的にも、このチームにいる日本人の中ではどっちかというと上なんで。このチームでの在籍歴とかも含めて、そういうことだと思います」
毎年チームは生まれ変わり、表現されるサッカーは選手の個性によって変化する。しかし、スタイルの根幹は脈々と受け継がれている。年を追うごとにその根は太くなってより地中深くへ広がり、幹はたくましさを増していく。曺監督のもと、その時をプレーする選手達が、勝負への責任を負いながらバトンを確かに繋ぐからこそ、その木は毎年蒼く茂る。
「そうは言っても僕一人じゃないんで、それは。でも、今シーズンここまで、短かったようで長かったと感じるのは、多分その責任を負う気持ちがあるからだと思います。その気持ちがなかったら、長いようで短いって思っていたと思うんです。1試合1試合の重みが若い頃とは違う」
27歳にして感じる、チームの中での自分の立ち位置。自分が若かった頃は、それを担ってくれている人がいたのだ。その感謝も込めて、今、戦う。
「10代の選手が出始めた最初の頃は、出るたびに『お前らは勝敗の責任を負わなくて良いから、思い切ってやれ』って言ってました。今はもう理解していると思うので、言わないですけど。すごく溌剌として、良いと思います。若い選手には本当にプレッシャーを感じないでやってほしい。僕が若い頃、そうやらしてもらったように」
チームを引っ張る立場として自覚を持ってピッチに立つ今、感じることも多い。特に初めてのJ2という舞台には、J1にない難しさもある。
「チームによってやり方も全然違う。で、やっぱりJ1から落ちてきたチームに対して『倒してやる』っていう強い気持ちがすごく伝わってくる。そういう相手にも勝たなきゃいけないのは難しいですね。
始まった当初は、曺さんからは勝っても結構厳しい言葉が多かったりしたんですけど、ある日、『お前らに向かってくる相手の気迫が、そのチームが他のチームと対戦しているときと全然違っていた。そのチームに対してきれいに勝とうと思っていた俺も間違っていた』というようなことを言ったんです。僕らも、開幕前はもうちょっと楽な試合もあるのかなって思ってましたけど、ここまで一つもなかった。J2は、本当に難しいし、だからこそやりがいがあるなと感じました。そういう意味で気づくまでにちょっと時間がかかりましたけど、その間も勝点は取れていたんで、残りの試合はこれまで以上の成績を残していきたい」
圧倒的な力の差を見せつけて勝利をものにしていく。それはJ1から降格してきたチームとして理想的な戦い方かもしれないが、J2というリーグはそんなに甘くない。むしろJ1から降格してきたチームに一泡吹かせることを狙って、より高いモチベーションで向かってくる。ここまでのリーグ戦で、むき出しの敵意を受け止めて戦う難しさを学んできた。だからこそ、この後の試合はさらに勝負にこだわっていく。その戦いへ、サポーターと共にあろうと望む。
「選手たちも勝利のために一丸となって戦っているんで、今まで通り少しでも後押しをして一緒に戦ってくれると、すごく心強い。
僕は、負けたときはもうちょっと厳しくてもいいかなと思います。負けても拍手をしてもらえるのは、本当に温かすぎて逆に申し訳なくなっちゃって。負けてブーイングされるのは、僕らは当たり前だと思ってます。負けたときにブーイングをしても、勝ったときに僕らと同じように喜んでくれたら、そうしたらもう何も言うことはない。それがチームだと思うんで、そうしてくれたらありがたいなと思います」
負けたときは自分の責任、勝ったときは自分がヒーロー、選手全員がそう思っているチーム。山田選手はサポーターもチームの一員であると思うからこそ、同じ喜びを分かち合いたいと願っている。
取材・文 小西尚美
協力 森朝美