馬入日記

【馬入日記:7月20日】引っ張る、支える

DSC_3478日に日に暑さが増す中でも、選手の声が止まることなく響く馬入。前向きな空気が流れる様子のチームを見て、今のチーム状態は、と尋ねると「教えないです、秘密ですよ」とおどけるのは秋元陽太選手。頼もしい守護神のその表情の明るさが、今のチーム状態を表しているようです。

姿勢を正して話し出した言葉からは、チーム全員の試合に向ける想いの強さがうかがえます。

「このチームは良い時も悪い時も、練習はちゃんとやれる。特にいまは良い時だからこそ謙虚にやるんだという意識が根付いているから、それは良いことだと思います。夏場は厳しい時期だし、累積警告とかもこれから出てくるだろう中で、自分に出番が回ってきそうになってから準備をしても遅いですし、いまはそうじゃなくみんなが毎試合出る、出たいという気持ちが強いので、それが良い雰囲気につながっているんだと思います。続けていきたいですね」

先日の東京V戦で勝利を収め、7戦負けなしとなったベルマーレ。曺監督は試合後の会見で、ピッチに立つ責任を負える選手が多くなってきた、とチームの成長を語りました。秋元選手もピッチに立つ仲間の様子に、いくらか変化を感じているよう。

「リーグの前半戦が終わるくらいから、みんなに”チームを引っ張っていく”という意識が出てきたと思う。特に若い選手、秋野(央樹)だとか、ボランチを組む(石川)俊輝も頑張っていますし、後ろも(山根)視来は声が出るようになってきた。そうやって若い選手がどんどんチームを引っ張って行ってくれるのはありがたいことだと思います。それは勝てているからという面もあると思いますけど、守備のところで最後に体を張れば無失点に繋がるということがわかってきて、耐える時間をしっかり耐えるということができるようになってきたから。そういう面でも成長していると思います」

若い選手の成長を感じる秋元選手。そんなチームにあって、ここ最近はキャプテンマークを巻いて試合に出場する機会が増えています。高山薫選手と菊地俊介選手がピッチを不在にする中、「全くキャプテンらしいことはできてないけれど」と話しつつ、しかしチームに対し自分なりのアプローチを欠かしません。

「もう年齢も年齢だし、ここ最近の試合のメンバーではバイアやジネイに次ぐ歳になってきた。その中でチームを落ち着かせようということは意識してやっています。練習の時はフィールドとは別でやる機会が多いですけど、GKはGKでしっかり良い練習ができるよう、僕から声を出したり、良い雰囲気でできるようにしています」

その秋元選手の立ち振る舞いには、これまで共にプレーした2人の選手が影響を及ぼしているそう。

「飯倉大樹さん(横浜FM)といまは浦和の榎本哲也さん。(当時横浜FMで)あの2人がいたから本当に練習からレベルが高くて、2人に比べて劣っている自分が手を抜けばどんどん差が開いて行ってしまう緊張感があった。それでいてあの2人は、どちらかが試合には出られなくてもそういう空気を表に出さずに、すごく声を出したりしていた。そういう2人の姿勢を見られたのは僕のサッカー人生の中でも良い影響を与えていると思う」

偉大な先輩の姿を思い起こしつつ、いまは秋元選手も周囲にとってそんな存在であらんと日々の練習に臨んでいるよう。「そんなキャラじゃないよ」と笑いながらも、しかし成長真っ只中の若い選手達が秋元選手の存在に助けられていることは間違いありません。チームに流れる前向きな空気、それは積極的に引っ張っていこうとする選手達と、彼らの成長を促す秋元選手によって下支えされているようです。