馬入日記
【馬入日記:5月24日】チームの勝利に貢献する
今季、人一倍「チームのために」というフレーズを使っていた彼だからこそ、その言葉には少し驚かされました。
自身のゴールが決勝点となり勝ち星を挙げた松本戦に触れ、「自分に点が欲しかった」山田直輝選手が切り出します。
「露骨に点が取れていない、という感じが自分の中にあったし、これまでは特に意識していないかったけれど、FWというポジションでこれだけコンスタントに試合に出させてもらっている。そういうシーズンを送ること自体が初めてだったし、だからこそ今回は個人的にも嬉しかった」
山田選手のリーグ戦出場数のキャリアハイは、実に2009年まで遡ります。プロ1年目のルーキーイヤーにJ1で20試合に出場。しかし以降、幾度となく負傷に見舞われ、年間1桁の出場数となるシーズンも。ベルマーレに加入以降も、2015年は17試合、2016年は11試合と、シーズンの半分以下の出場にとどまってきました。しかし今季は15試合を終えすでに13試合に出場し、その全てが先発出場。2009年の先発出場が15試合であったことを考えれば、すでにそれが目前に迫るいま、手応えと責任感を両手に感じるシーズンとなっていることは間違いありません。そして、気づけば山田選手も中堅と呼ばれる年代に差し掛かってきました。
「自分が試合に出させてもらっているからということもありますけど、あとは今、ピッチに立っている選手の中でもかなり年上の方になってきたのでしっかり自分が責任を持ってやらなきゃと思っています。バイアやジネイ、シキーニョのように外国籍で経験のある選手もいますけど、言葉の壁というものはありますし、伝えるという作業は自分がしっかりやらなければと。若い選手にも自分が手本となれるようにと思っていますし、少なくとも頑張る姿というのは見せないとと思っています」
「周りがどう感じているかはわからないけど」と謙遜しますが、山田選手の意識するその姿は確実に周囲の選手にも伝わっています。とかく若い選手に聞けば、彼のプレーはいつも見ている、と。そして山田選手自身、チームメイトの成長は願ってやみません。
「もちろんライバルではありますけど、その選手がよくなることでチームがよくなるのであればと思って色々話はしています。そういうのは年齢は関係ないと思いますし、逆に若い選手から自分も何か言われれば素直に聞いていますし。年齢関係なく、ただみんなとそういう関係だということ」
重ねた試合出場と年齢が、周囲への想いをより一層強くさせる、そう感じさせる山田選手。冒頭のコメントには、自分の得点に対するこだわりを見せながらも、しかし後にこう続きます。
「やっと自分の得点でチームの勝利に貢献できた」
目に見える形として刻まれた1点は、山田選手がチームの勝利を願う証。「まだまだ全然、これからももっとチームの勝利に貢献できるよう、引っ張っていきたい」試合前にコールされる”勝利導者”のフレーズを、日々身をもって体現します。