馬入日記
【マラガ日記:2月3日】「試合に勝つためにやるべきこと」
スペインキャンプ初の対外試合が2月3日午後、当地で行なわれた。韓国1部の水原三星との一戦に臨むにあたり、「まずは自分の力を見せてくれ」指揮官は選手たちにそう伝えたという。
「年が改まり選手も入れ替わったなかで、いい意味で組織に埋もれずに、自分になにができるかをもう一度見せてくれと話した。選手の可能性を知っているという驕りを僕も捨てて、もう一度みんなのことを知ろうと思っていると、チームのためにやれとずっと言ってきたけど今日は個人を見せろと言いました」
ここ2年連続でACLに出場し、昨季は国内カップ戦も制した水原三星は、立ち上がりからポゼッションを強めてゴール前の攻防に持ち込んだ。かたや体を張って粘り強く応戦する湘南の姿に、昨季からの学びが映される。
曺貴裁監督は言う。
「去年の失点の傾向を踏まえ、今年は試合開始直後の時間帯や得失点後の時間、最後5分の戦い方をずっと言ってきている。いままではスタイルを貫くことにフォーカスしていたけど、試合に勝つためにはスタイルうんぬんの前にやるべきことをしっかりやらなければいけない。そこを取れなければ試合には勝てないという話をしているので、今日も最初少し危ない場面があったときに体を張って凌ぎ、リズムがうちに来るまで我慢しようと全体的にやっていたと思う。そこはひとつ進歩かなと思います」
前後半ともにポゼッションは相手に分があった。だが立ち上がりがそうであったように肝の時間帯をチームとして抑えると、限られたチャンスは逆に鋭さを増し、カウンターやセットプレーを含めて脅威を示していく。支配すべきはボールではない。
タフな球際に巧さも備える水原三星との熱戦は互いに譲らずスコアレスドローに終わった。「いいものが見えた選手も多い」そう指揮官が振り返る一方で、もちろん課題も浮かぶ。
「奪ったあとのボールにガっと来る相手に対して慌てるプレーが多い。取ったボールを渡すとか運ぶとか、そこにもう少し意志が欲しい」
しかし海外の強豪と肌を合わせて得られる感覚は、課題も収穫もともに得難い気付きに違いない。
「韓国のチームらしく球際の強さやフィジカルの高さがあり、体の使い方を含め、小さな失敗ひとつで寄せられず、少しでも隙を見せたら奪われてしまうなど、すごくいい経験ができたと思う。あと4試合もすごく楽しみです」
初戦としては上々の感触を得た。さらに深めるべく、キャンプの日々は続く。
(TEXT:隈元大吾/マラガキャンプ中は隈元大吾氏によるレポートを毎日お届けします)